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3DS向けのソフトについて。ラインナップを拝見すると、DSの『脳トレ』とかWiiの『Wii Fit』のように、ゲームの定義を変えるようなタイトルといったものが少ないように思えるが、3DSでこの分野に対して御社はどのような形で取り組んでいかれるか。また、3DS向けのタイトルということで、宮本さんに教えていただきたいが、『スーパーマリオ』のDSとWiiで、基本的に2Dのマリオの方が3Dよりも売れているという実績があると思う。この点を踏まえて、3DSでマリオはどうなっていくのかといった点について何かヒントを教えてほしい。 |
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岩田:
まず、ニンテンドー3DSを新しく開発するにあたって、任天堂が「ゲーム人口拡大」ということで進めてきたニンテンドーDSならびにWiiの普及の過程で、私たちがどうしても解決できていなかった問題があるということを考えました。具体的に申し上げますと、DSやWiiは画像の美しさであるとか、処理性能ということよりも、違うところに力点を置いて開発をしたために、映像の奇麗さや処理性能を求められるお客様のニーズには必ずしもその期待にお応えできなかったということがあります。その結果、市場は、ひとつの一番普及したプラットフォームが全体のマーケットをリードするという形にならずに、(日米欧)それぞれの市場で、構造は少しずつ違いますが、お客様が分断してしまった可能性があると思っています。 宮本: マリオに限らず、そういうアクションゲームの抱えている課題として、3Dになる方が臨場感が出るし、それからお客さんのできることの幅が広がりますから、選択肢が広がって自由度が高くなる、だから自主的に遊ぶと言う意味では、3Dにも魅力があります。 岩田: 予想以上に踏み込んだ話でした。私も初めて知りました。 宮本: まずかったですか。ゲーム雑誌の人には言わないでください(笑)。 |
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先ほどから年末商戦が短期集中型になるということで、思えば去年のクリスマス商戦はロングセラーのタイトルもあったが、Wiiのハードの値下げがあって、『Newスーパーマリオブラザーズ』が出て、一部小売店、ウォルマート等の支援もあった。今年については、多少なりとも、多かれ少なかれ3DSを前にしたDSの買い控え的なハンデもあると思うので、具体的にもう少し、年末商戦に向けての戦術というのを教えていただきたい。また、いわゆるレイトマジョリティーをメインにした商戦になると思うが、この結果は3DSの立ち上げ、恐らくアーリーアダプターに向けてということになると思うが、そちらに影響するのか。 設備投資170億円、来年4月までに生産設備というご計画を伺った。もう少し具体的に、どこに、何を、何のためにということと、この結果開発のリソースの配分がどう変わってくるのか。 |
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岩田:
まず、この年末に新しく任天堂の製品を買っていただけるのはどういう方なのかということについてです。もちろん新作ソフトは別としまして、既にこれだけ行き渡ったハードがあり、これだけ行き渡った定番ソフトがある中で、この行き渡った状態からさらに買っていただくのはどういう方かというと、それは、欲しいと思ってすぐに行動される方に対する、欲しいと思ってもゆっくり決断される方、あるいは、欲しいと思っても、なにがしか季節に後押しされる、ムードに後押しされる、「これはお得なのでこの機会に買おう」と踏ん切りをつけると、いろんな要素がありますが、何かの後押しがあるまで決断をゆっくり待たれるお客様、そういう人たちがマーケティングの世界ではレイトマジョリティーと呼ばれるお客様だと思うのですが、そういう人たちが年末に新しくハードを買ってくださるお客様の中心になるというのはたぶん事実だと思うんですね。それは、それだけの量を既にもう、WiiやDSを世界中で販売したためです。 |
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3DS発売以降の今のDSの扱い方について。今のDSはインストールベース(ハード普及台数)では巨大な市場を持っており、ソフトも減速しているといっても大量に売れている。一方3DSは、インストールベースは最初当然小さいわけで、将来的にはすべて切り替えて新しいユーザーを獲得されていくというのが目標だとしても、達成まで数年かかると思う。ソフトタイトルも、サードパーティーのコアタイトルもあって、若干未知数のところもある。来年、御社のソフト開発の重点あるいはマーケティングは3DSに集中されて、今のDSはやはり古いものとして扱われていく場合には、若干業績的に不安定になる可能性もあると思う。逆に3DSの立ち上げが非常にうまくいけば業績は大きく伸びると思うが、リスクが高まってしまう可能性が懸念される。そもそもDSの今の普及台数を活用せずにおくのはもったいないような気がするので、来年以降のDSの扱いについて教えていただきたい。 |
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岩田:
海外でのニンテンドー3DSの価格をまだお話ししておりませんが、日本の価格を見ていただくと、既存のニンテンドーDS、DSiと比べると値段の差が少しあるということはお分かりいただけるかと思うんですが、そういう状況の中でマーケットはどうなっていくのかということが問題になるかと思います。 |