1 | 昨今、タブレットタイプのハードがかなり出てきていて、画面もそこそこ大きく、直感的で、ゲーム機として見ても魅力的な部分があるような印象を持っているが、任天堂のハードまたはゲーム機としてタブレットを見た時の岩田社長の見解を聞かせてほしい。 |
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1 | 岩田: タブレットという形ですね。画面が一定以上の大きさで、直接触ることができるというのは、「タッチスクリーンを使った遊びというものを作る」という観点で見ますと、ニンテンドーDSが流れを作った、タッチスクリーンを使ったゲームの延長線上にあるものを使うという意味では面白いデバイスだと思います。一方で、私たちが新しいゲーム機を作る時にずっと十字キーだったりボタンだったりを捨てずにきているのは、やはりゲーム機にはそういうものがあった方が、反応性のいいゲームを作る上では有利な面もあると思っているからです。そういう意味で、(任天堂には)いわゆるボタンを一切捨てたゲーム機を作るという意識がないので、今のタブレットの構造をそのまま、任天堂でもゲーム機として考えてみようとはあまり考えていません。ただ、ゲーム機として考えるからそうなので、違う意味ではタブレットというのは非常に面白い存在として、これからも普及が進む形態ではないかとは思っています。 |
2 | ソーシャルゲームおよびスマートフォンを中心とするモバイルゲームの急拡大が続いていると思うが、これによる御社のビジネスへの影響をどう見ているか。 |
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2 | 岩田: 任天堂の業績が下降線になった時期と、ソーシャルゲームやスマートフォンの伸びた時期というものが一致しておりましたので、この両者に何らかの因果があるのかということがずいぶん取りざたされ、また報道され、たくさんの記事が書かれたと思います。 |
3 | Wiiの現状分析について。2006年9月の「Wii Preview」の時に、Wiiのコンセプトとして「家族とゲーム機の関係を変える」、「テレビとゲーム機の関係を変える」、「インターネットとテレビの関係を変える」という三つのコンセプトが発表されたと思うが、このうち2番目と3番目については、あまり実現されていないように感じている。この三つのうち、なかなか実現できていないと思われている点に関して、その理由などを教えてほしい。そもそもコンセプト自体が間違っていたのか、方法論が間違っていたのか。 |
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3 | 岩田: (スライドを示して)これは時々この場でお示ししている一覧表ですが、われわれがゲーム人口調査の中で毎回必ず重要な指標としている「世帯当たり、そのゲーム機のお客様は何人いるか」という平均値です。繰り返し申し上げてきましたが、この値が3を超えるというのは非常に特異なことです。といいますのは、これは1人住まいの方も含めた平均なので、大抵の家で家族全員が参加しているという状況が作れませんと、3を超えることというのはまず起きないんです。その意味で、多くの家族が「Wiiは自分に関係のないものではない」という状況を作ることができたという意味では、Wiiはコンセプトどおりの結果が出ていると思います。 |