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2012 E3 アナリスト Q&A セッション
質疑応答
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※この質疑応答は英語で行われたものです。なお、岩田は通訳を通じて回答しました。
Q 1

 Wii Uの価格設定について聞きたい。Wii Uの価格はまだ発表されていないと思うが、ニンテンドー3DSは、発売されてから相当早い段階で値下げされた。御社は、ニンテンドー3DSがニンテンドーDSに比べて同じ時間軸でどれだけ売れているかについて、販売数量においては素晴らしい結果になっていると説明しているが、その要因の一部は、以前のゲーム機に比べて非常に早く値下げが行われたからだと思う。そこで私が聞きたいのは、家庭内の娯楽として他に選択肢があり、例えば500ドルをこのゲーム機のために使うのではなくiPadに使うこともできる中で、Wii Uの価格設定をどのように考えているか。また、引き続きハードウェアに付加価値を付けて販売することができるのか、それともソフトウェアで利益を稼がなければならないのか、どのようにお考えか。

A 1

取締役社長 岩田 聡:

 まず最初にお伝えしておきたいのは、先ほどのプレゼンテーションで説明したニンテンドー3DSとニンテンドーDSの比較についてですが、ニンテンドーDSをアメリカで発売したときの値段($149.99)よりもニンテンドー3DSの値段は(値下げ後の)今でも高い($169.99)ので、ニンテンドー3DSの値段が値下げして安くなったから(ニンテンドーDSより)売れているということではないと思います。

 次に、私たちはニンテンドー3DSの経験から何を学んだかということを話したいと思います。ニンテンドー3DSの最大の問題は、値段の問題以上に、最初にハードウェアが発売されたときに、「ハードを買ってまで遊びたい」と思っていただけるソフトを早期にいくつ供給できたかということに起因していると考えています。一度、最初にご提案した値段に見合う価値を認めていただけずに販売の勢いがスローダウンしてしまいましたので、私たちは値下げをして、再び普及の軌道にのせる必要がありました。

 今回、Wii Uの発売を考えるうえで、「そのようなことが起こらないようにするにはどうすればいいか」ということを重視しています。みなさんにソフトウェアのラインアップを見ていただいておわかりのとおり、ハードウェアを牽引するためのソフトをいくつか用意しました。その中には十分魅力が伝わった手応えがあるものもあれば、昨日の時点では魅力を十分にご理解いただけていないと感じているものもありますので、発売までにその魅力を十二分にお伝えできるようにしていきます。今日の時点で私が申し上げられるのは、ニンテンドー3DSのように、発売から非常に短い期間で値下げをしなければならないような状態を決して作らないための準備をしているということが一つと、お客様にWii Uで実現可能となることに対して、価格がリーズナブルに感じていただけるようにして、その結果「これはすぐに値下がりするんじゃないか」というような受け止め方をされないようにすることの2点になります。

Q 2

 パッケージソフトの既存のパッケージング販売と新しいデジタルディストリビューションの併売に関して、懸念を有していた小売店からは、どのような反応があったか?

A 2

岩田:

 小売店さんはいろいろなお考えをお持ちですから、すべての小売店さんが同じ答えを出されるということはありません。店頭での顧客サービスを重視され、それを得意とする小売店さんから、「あまり店頭では手間のかかるサービスはできない」、あるいは「何かお客様から質問を受けても、店員さんの知識の面で答えることは難しい」とおっしゃる小売店さんまでいらっしゃいます。小売店さんの具体的な名前は申し上げませんが、前者のケースでは総じてみなさん、よりポジティブです。後者のケースでは、「自分たちの店頭ではそのようなものを扱うのに向いていないので、自分たちのオンラインストア上でだけ扱おうと思う」と言われるところもございます。

 ただ、総じて言えることは、小売店のみなさんは、「デジタルディストリビューションが始まったら自分たちはスキップされるかもしれない」と考えておられましたので、私たちの提案(デジタルディストリビューションにおいても、小売店のみなさんに関与していただく方針)に対して前向きな姿勢を示していただいていると思います。お互いにウィン・ウィンになれる可能性について、私たちの説明に対してポジティブに対応してくださっているというのが私の理解です。

Q 3

 インタラクティブ・エンターテインメントの評価は著しく下落してきた。任天堂はおそらくインタラクティブ・エンターテインメントに直接携わる企業の中で、最も強い財務体質を有していると思うが、現在、それだけの財務体質を生かす機会はあるのか?自社株買いについて聞くのはどうかと思うが、自社株買いのためでないとすれば、戦略的な買収を行ったり、マイクロソフトがその財務体質を生かしてやっているように、パブリッシャーと共同でプロモーションを行って独占的な権利を取得するといった機会もある。インタラクティブ業界全体の環境が相対的に落ち込んでいる中で、財務体質の強みを創造的に生かす方法はあるのか?

A 3

岩田:

 まず、任天堂の強固な財務体質をどう生かすべきかということに関してはさまざまな可能性を考えています。もちろん、フェアディスクロージャーの観点から個別の案件をここでお話しできないことはご理解いただけると思います。

 ただし、今、挙げられたいくつかの例に関して、「独占権を買ったらどうか」等については、「どんな場合でも行わない」と完全否定はしませんが、例えばマイクロソフトさんと任天堂が独占権のためのお金の出し合いをして、単純な力と力の競争をするということは、任天堂のやり方として、私は正しくないと思っています。一方で、「Wii U GamePadのようなまったく新しいデバイスができたことで、このゲームは、Wii Uの機能をものすごくうまく活かす可能性がある」ということがあったときに、(開発リスクを大胆に負担するなど)外部のデベロッパー・パブリッシャーと今までにないような組み方をするということは大いに考えられます。来年お会いするときまでに、「任天堂はお金の使い方が下手だ」と言われないように努力したいと思います。


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