1 | Wii Uについて、先ほど岩田社長より「ハードの価値をうまく伝えることができるソフトを充実させる」という話があったが、その時間軸について教えてほしい。「発表済みのラインアップの中にもそういったものがすでに用意されているのか」、それとも「開発そのものを仕切り直す必要があるのか」、「そもそも製品化する際の基準を変えるところまで踏み込まなければいけない話なのか」という点について、岩田社長と宮本専務からコメントをいただきたい。 |
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取締役社長 岩田 聡: 「ハードの魅力が伝わりやすいソフトを充実させていきたい」ということについては、それほど長い時間軸で考えているわけではありません。さすがに、「この1〜2か月の間に今日お見せした『Wii Street U powered by Google』以外のものがどんどん出てくる」ということはありませんが、今年の半ばから年末にかけて発売していくソフトの中で、ハードの新しい魅力を十分にお伝えできるようにしたいと思います。「ハードの魅力を十分にお伝えするという部分によりフォーカスを当て、どのようにお伝えするかを今まで以上に工夫しないと、(Wii Uの魅力は)自然には伝わりにくい」ということについては、これまでの結果である程度見えてきていますが、決して、(これから発売予定のソフトも含めて)今までつくってきたソフトが不十分だと考えているわけではないので、それほど長い時間軸を考えているわけではありません。また、当然のことながら、現時点でまだお知らせしていませんが、今年中にお届けできるソフトも出てくると思います。 専務取締役・情報開発本部長 宮本 茂: Wii Uは、魅力的なポイントが多いのですが、なかなかその魅力を理解していただくのに時間のかかる機械です。エンターテインメントというビジネスは「一言で言える魅力を、ボンと語って一気に広げる」というのが常識なので、任天堂が全く逆のことを言うのもおかしいと思うのですが、「Wii Uは家庭のリビングでの標準機として便利なことを満載したい!」という僕らのデザイン思想でつくっています。もっと見ただけで面白さが伝わるような遊びがあれば良かったのですが、つくれませんでした。しかし、「遊んでもらえば絶対分かっていただける」というソフトはしっかりつくれたと思っていますし、タイトル数はまだ少ないですが、「ソフトが発売されて数週間で販売のピークが終わっていく」という一般的なゲーム市場ではなくて、私たちは同じゲームを3年間売り続けることを目指してきましたので、今ある素材だけでも十分ハードを支持していただける自信は持っています。実際開発していますと、2つの画面を使うことにどんどん馴染んでいって、ついそうではないものまで手元の画面を見てしまうくらいに自分が変わっていっています。2画面を使った魅力にはまだ仕上げまで時間がかかりますけれども、いろいろなアイデアも出ています。それから、開発体制に関しましても、ハードの高性能化に伴ってスタッフの数が必要ですから、社外を含めてどんどん強化を図っていますし、そういう問題以外は、「アイデアが出にくくなっている」とか、「この機械がリビングで支持されない?」という不安は持たずに頑張っています。どちらかというとWii Uの遊びの面白さを理解いただくPRの方法の課題かと思っています。 岩田 私自身、一人のユーザーとして実感しているのですが、Wii U GamePadという存在があることで、明らかに家の中でテレビゲーム機の電源を入れる機会が増えました。「テレビの前に縛られない」ことによって、テレビゲームとの関わりがこれほど変わるのかと自分は実感しているのですが、家に持って帰って自分の生活の中に入らないと、それは経験としては語れませんでした。その意味で言うと、「発売されて初めて実感した」というところが私にもあります。ただ、もう少しソフトが増えてきたときに、もっと(Wii Uによる娯楽の)進化がその面で感じられるようになるわけで、私はソフトが充実すればするほど、Wii Uの構造は有利になると思っていますので、ぜひ近い将来のそういう展開をお待ちいただければと思っております。 |
2 | 近未来のゲームシーンはどうなるとイメージされているかを聞かせてほしい。そのときの御社の戦略についてもお話ししていただきたい。だんだんとゲーム専用機はなくなってきてクラウドゲームになり、一方で携帯のゲーム機は生き残っていくと思っている。最近の御社の戦略や発表を見ていると、据置型ゲーム機と携帯ゲーム機が一体化していって、携帯ゲーム機そのものがコントローラーの役割も果たしながら、最終的にはクラウドゲームと携帯ゲーム、そういった形で残っていくというイメージを描いている。御社として、近未来のゲームはどういう姿になっていると考えておられるか、また、そういう中にあってどういう戦略を考えているか、岩田社長と宮本専務からイメージでもいいので聞かせてほしい。 |
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岩田: クラウドゲーミングは最近よく耳にする言葉の一つですが、「クラウドゲーミングでできることとできないことがある」ということを、みなさんにご理解いただきたいと思っています。クラウドというのは、処理を手元のデバイスではなくて、インターネット上のサーバーで行おうという試みです。そういうことをすると何が起こるかといいますと、インターネット回線でのデータのやりとりには絶対に時間がかかりますから、手元で何かをしてから結果が返ってくるまでに時間がかかるということになります。もちろん、時間がかかっても全く遊びに支障のない種類のゲームもありますので、そういうものであれば、「手元にあるのは入力手段と表示手段であって、処理は全部サーバーの上で行う」ということは可能かもしれません。一方で、インタラクティブ性の高い、特にアクション系のゲームは、ボタンを押してから実際に画面に反応するまでの時間が重要であったり、フレームレート(画を1秒間に更新する回数)の違いによって動きの滑らかさが変わりますので、ゲームの種類によって、インターネットの向こうに持って行けるものと持って行けないものがあるわけです。物理法則上、データの転送には時間がかかりますので、今のインターネット技術において、実際にサーバーまでデータが届き、サーバーの上で瞬時に画像が生成されて送られてきたとしても、絶対に遅延が発生します。したがって、すべてのゲームがクラウドゲームになるといっても、できないことがかなりあるはずなのに、そのことがあまり一般向けには語られずに「未来はクラウドだ」というような趣旨のお話をされる方が多くて、大変違和感を覚えております。 私はクラウドがどうこうというよりは、今おっしゃっていた、「ゲーム専用機というものがだんだんなくなっていくのか、そうでないのか」あるいは、「携帯ゲーム機とホームコンソールゲーム機は一つになるのか」ということについては、当然、「ゲーム専用機はなくならない」「ゲーム専用機がなくならないような未来を自分たちで切り開く覚悟で仕事をしています」というのが任天堂のスタンスです。また、プラットフォーム統合というのは、先ほどのご説明でも申し上げたとおり、「プラットフォームを一つにします」と申し上げているのではなくて、「プラットフォームのソフトのつくり方の作法や、OSや内蔵ソフト、ソフト資産といったものを一つのものに統合して、いろいろなプラットフォームで(相互に)転用できるようにしよう」ということを申し上げているので、逆にプラットフォーム統合がうまくいけば、プラットフォームの種類は増やせるかもしれないのです。今、私たちが携帯ゲーム機とホームコンソールゲーム機しかつくっていないのは、これ以上増やしてしまうと、私たちの開発力が分散してしまうからですが、一つのソフトがいろいろなプラットフォームに転用できれば、それだけ展開できる幅が広がるということです。プラットフォーム統合というのは、「ハードが1種類になる」ということを意味するわけではなくて、むしろ、ソフトのつくり方の作法がそろうことによって、「何よりも貴重なソフト資産がいろいろなハードで共有できるようになる」ということがポイントだと思っています。当然これから、ますます技術が進んで電池で動かすデバイスでできることは増えていくでしょうし、ゲーム機そのものの処理能力も上がっていくでしょうが、一方で、それを単純に突き進めていくと、ソフト開発というものが複雑になり過ぎて、今度はそれだけのコストをかけてつくったものが本当に回収できるのかというところに直面すると思います。ですから、私たちは単純な性能向上や、単純にグラフィックスを豪華にするということに関しては、ある程度、もう飽和点に近づいていると思っており、むしろそれ以外の点で新しい提案ができるかどうか、あるいは、「こんなことをゲームにするとは誰も思わなかった」というものをゲームにしてお見せできるかどうか、そういうことのほうがビデオゲームの未来において重要ではないかと思っています。 宮本: ソフトをつくる技術者の仕事の中で、いま岩田もお話ししたように、ゲームのソフトをつくる、つまり、遊びそのものをつくる人たちと、それからバックグラウンドをつくるとか、その開発環境や、ソフトメーカーさん向けにいろいろなライブラリーを準備したり、新しいCPUを動かすためのいろいろな準備をしたりする人たちがいます。DSやWii以降の製品には最初から標準ソフトがいろいろ入っていて、ハードを買っただけでサービスが受けられるようになりましたが、このような標準ソフトを制作する仕事も増えており、ゲームソフトそのものの制作時間が延びること以外に、そちらに開発リソースを奪われているという課題があります。実際、Wiiはゲームキューブの流れの上でつくったことで、開発は新しいものをつくるところに集中できました。一方、3DSやWii Uのように新しいCPUとか開発環境を使うと、その準備や環境が整うのを待つ間に時間のロスが出ます。そこで、もっと遊びをつくることに主なエネルギーを集中させたい、というのが今度の開発部門の統合であって、ハードウェアを一つにしようという話では全くありません。ハードウェアという意味では、私は数年前からゲーム人口拡大ということでDSを中心にいろいろな取り組みをしてきました。このときにも携帯電話が対抗にはあったのですが、まだまだ快適に使えるものではありませんでした。それからアーキテクチャも非常に複雑で多種多様過ぎました。我々はDSを使ってインタラクティブの技術を、ゲームを遊んでいない人にももっと分かっていただこうということでいろいろ取り組んで、それがゲーム人口拡大のためのいろいろなゲームだったのですが、それで現実に、インタラクティブなゲームを触ってくださるお客様を拡大できたと思っています。今では、そういうソフトならスマートフォンで十分と言われるくらいにスマートフォンの性能が上がってきたというのが現状ですから、その中で任天堂が次に選んでいく道というのは、いかに私たちの機械で遊ぶほうが面白いかというものをつくっていけるかです。これに関して昨年『とびだせ どうぶつの森』を売り出してみて、「どうしても遊んでみたいものがある」「電池の時間を気にせずに遊びたい」といった、いろいろな要素がきちんとそろえば、私たちのつくるゲームも買っていただけるという手応えを感じています。これは世界でも通じると考えていますので、世界への売り方をいろいろと考えています。 ホームコンソールゲーム機はといいますと、今、リビングのテレビをどう使うかということに真剣に答えを出そうとしている機械は少ないと思います。高性能のゲーム機を動かすために「リビングのテレビを使うのか」「パソコン用のモニターを使うのか」という範囲の発想でつくられていると思います。それに対して私たちは、リビングのテレビがもっと生活の中で便利になり、多様に使えるものにならないかということがWii Uの使命だと思って取り組んでいて、その意味では非常にコストパフォーマンスのよい機械ができたと信じています。ですから、当分はホームコンソール型と携帯型の二つの路線は、目標が違いますから共存していくと考えています。 |
3 | ニンテンドー3DS用ソフト『とびだせ どうぶつの森』について。ニンテンドーDSのときと比べて日本での売れ方が速いのは、ダウンロード販売等の要素もあるとは思うが、新しい要素がかなり貢献していると思う。この辺りのご評価と、これをどう海外展開するか。ニンテンドーDSのときのどうぶつの森は海外ではいまひとつという評価だったと思うが、これをどう変えて3DSの海外販売の改善につなげていくのかを聞かせてほしい。また、Wii Uのソフトでは、「非対称プレイ」というのが非常に大きな一つのスタートのファクターだと言っていたと思う。この辺りの現時点での評価と、なぜあまり伝わっていないのか。また、Wii U用ソフト『ピクミン3』でやろうとしている計算能力を活かした、Wii U GamePadを使うゲームの面白さをどうアピールしていくのかについて、コメントをいただきたい。 |
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岩田: こちらのデータは、発売されてから7年経ったニンテンドーDS用ソフト『おいでよ どうぶつの森』のユーザー構成と、発売されてまだ日がそれほど経っていない段階でのニンテンドー3DS用ソフト『とびだせ どうぶつの森』のユーザー構成です。発売時期が異なりますので単純に比較してはいけないのですが、「お客様の構成がどう違うか」ということをお示しするために、「クラブニンテンドー」のデータをご覧いただきたいと思います。「クラブニンテンドー」は、もともとすべての年齢のお客様が一律に登録されているということはございませんので、それぞれ年齢ごとに(登録されている方が)多いところ、少ないところがありますが、その標準を青い円としますと、飛び出ているところはよく売れているところ、へこんでいるところはその年齢層のお客様にはそれほど届いていないということを意味します。真上が6歳になり、そこからぐるっと右回りに45歳以上のところまでが男性、真上から左回りに女性というグラフになっているレーダーチャートです。 左側はニンテンドーDS用『おいでよ どうぶつの森』で、このソフトは発売日から長い年月が経ち、最終的に500万本以上売れましたし、多くのお子さまたちにお買い上げいただき、12歳までの年齢層のところに非常に大きな山があります。また、「女性の割合が非常に大きいということが特徴」ということがお分かりいただけると思います。一方、ニンテンドー3DS用ソフトの『とびだせ どうぶつの森』は、発売されて間もないということもあり、DSの『おいでよ どうぶつの森』と比較すると、「男の子への普及はまだそれほど大きくなく、女の子への普及度合いが大きい」ということと、「大人の女性のお客様のかたまりが大きいということ」がお分かりいただけます。また、DSではあまり大きな盛り上がりがなかった19歳から24歳の男女のお客様のところが大きく盛り上がっています。『とびだせ どうぶつの森』は『おいでよ どうぶつの森』の発売から7年経っていますので、今19歳のお客様は7年前は12歳だったわけで、そのお客様たちに「『おいでよ どうぶつの森』を実際に体験して、面白かった」とご評価いただけたので、今回の『とびだせ どうぶつの森』を最初にお買い上げいただいていると思います。その意味では、「(過去の作品でどうぶつの森の)面白さを十分に理解していただいているお客様が多くいらっしゃった」といえます。また、私たちが3DS版で強化したポイントをお客様にうまくお伝えすることができたということもあります。さらに、DS版の時と比べますと、「お客様同士がソーシャルメディアを通して、『お互いのマイブームは何か』ということを目にしやすくなっている」ということもあります。特に、ある時期は、「自分のTwitterのタイムライン上にものすごい量のどうぶつの森に関する話が次々に出てくるので、『そんなに興味はなかったんだけど、こんなに盛り上がっているなら』という形で引き込まれた」とおっしゃるお客様もいらっしゃいました。また、「とびだせ どうぶつの森 Direct 2012.10.5」をYouTube上で公開しており、これは開発者が45分以上、『とびだせ どうぶつの森』の新しく追加された要素について、こういう表現はなんですが、「だらだらとしゃべっているビデオ」なのですが、これがなんと160万回以上再生されており、しかも一番多い視聴経路はスマートフォン経由のYouTubeになっています。以前と比べて、情報の伝わり方も含めて変化があり、このようなことが起きていると思います。 あと、もう一つは、『とびだせ どうぶつの森』の発売で、3DSに女性のお客様が増えたことです。これはニンテンドー3DS LLが発売されてからの毎週の「クラブニンテンドー」の女性比率ですが、16週目(W16)のところが『とびだせ どうぶつの森』の発売週になります。「クラブニンテンドー」というのは、「ポイントをためて景品をもらおう」という、いわゆるマイレージサービス型の仕組みで、どちらかというと男性の会員様が多くなっています。任天堂のほとんどのゲーム機のお客様は最終的には男女比1:1ぐらいになっていますが、「クラブニンテンドー」の会員様は6:4で男性のお客様が多くなっていますので、「50%が女性の登録者だった16週目(W16)は、恐らく実際に購入されたお客様のおおよそ3分の2が女性のお客様だった」と言えるのではないかと思っております。その後も、ずっと明らかに『とびだせ どうぶつの森』の発売以前よりも女性比率が高まっていますので、「このソフトの発売をきっかけにニンテンドー3DSに女性のお客様が増えた」ということは間違いなく言えそうです。 これは、ニンテンドー3DSのハード購入者全体を左側に、『とびだせ どうぶつの森』とニンテンドー3DSのハードを同時に登録されたお客様を右側に分けたグラフです。右側をご覧いただきますと、『とびだせ どうぶつの森』をきっかけにニンテンドー3DSをご購入されたお客様には、19歳ぐらいから44歳ぐらいまでの女性のお客様が極端に多いことが分かります。このソフト一本で新しいお客様が増えており、これは「大きくニンテンドー3DSが動き、全体としてプラットフォームが活性化した要因」だと思います。 ちなみに、先ほど質問された方が「『おいでよ どうぶつの森』は海外ではいまひとつだった」とお話しされていましたが、このソフトは海外でも500万本以上を販売しておりまして、「500万本以上販売したソフトが『いまひとつ』と言われる会社はあんまりないんじゃないか」と思います。確かに日本だけで500万本以上販売しましたので、海外、すなわちアメリカとヨーロッパを合わせて500万本以上といっても、相対的には日本のほうが盛り上がったということは言えると思いますが、海外でも『とびだせ どうぶつの森』の核になっていただけるファンのお客様はすでにいらっしゃいます。日本で『とびだせ どうぶつの森』を「Nintendo Direct」で発表をしたときに、インターネットを通じて世界中のお客様がご覧になられ、「早く自分たちも遊びたい」という海外のお客様の声をたくさん聞いておりますので、まずその中核になるお客様のところにしっかり届けたいと思います。 今回の『とびだせ どうぶつの森』で何が起きたかという点においては、「日本で、どのようにして情報が伝わり、たくさんのお客様が参加していただけたか」ということのプロセスが分析できております。これは『脳を鍛える大人のDSトレーニング』のときもそうだったのですが、脳トレを日本で発売してから海外で発売するまでに、「日本でどう広がったか」ということを参考にして、海外でマーケティング活動を行いました。今回も、脳トレの時と同じように、「日本で何が起こったのか」、「どういう経路で伝わって、どういう経路がこの商品の魅力を伝えるのに向いているのか」ということを参考にして、海外のお客様にしっかりお伝えできれば、海外でも今まで以上にどうぶつの森というプロパティーを受け入れていただくチャンスは大きいと思っています。「どうぶつの森で使われている画が海外のお客様に受け入れていただけるのか」ということを心配される方もいらっしゃると思いますが、私自身は大いに勝算ありと考えています。 「(Wii Uの)『非対称ゲームプレイ』がうまくいったのか、いかなかったのか」ということについて言いますと、「『非対称ゲームプレイ』という呼び方がうまくいかなかったかどうか」ということと、「(『非対称ゲームプレイ』の代表作である)『Nintendo Land』という商品がお客様に遊んでいただいた上で評価されたか、されなかったか」という話は別だと思っています。「非対称ゲームプレイ」という呼び方は、多少、「理屈っぽくて、直感的でない」というようなご批判やご意見があったと思いますし、「現実に伝わりやすかったか、伝わりにくかったか」という意味では、「伝わりにくかった」という反省もございます。一方で、『Nintendo Land』に関するご評価という意味では、発売後に「実際に遊んでみたら面白かった」という声はたくさんお聞きしておりますので、「非対称ゲームプレイ」そのものが悪かったとは全く思っていません。要は、「それをどう伝えるか」ということに課題があったということで、「私たちにとって価値をお伝えするベストな言葉が発明できなかった」ということにハードルがあると思います。『Nintendo Land』は、この先、Wii Uビジネスを行っている間はずっと販売していきたいソフトですので、新しい伝え方を発明して「『非対称ゲームプレイ』という言い方はうまくいかなかったが、『Nintendo Land』の価値はご理解いただけた」、あるいは、「Wii U GamePadとテレビ画面を使う遊びはご理解いただけた」というようにしていきたいと思います。『ピクミン3』の話は宮本に話してもらいましょうか。 宮本: どうぶつの森の話に戻りますけど、自分自身もゲームをするときに、「どれぐらい遊んでいるものに共感できるか」ということが非常に大事だと考えています。今回の『とびだせ どうぶつの森』は、特に、「(ゲームを始めて)いきなり村長さんになる」ということも含めて、どうぶつとの会話を通じてお客様に共感していただける要素が過去の同シリーズよりも多く練り込めています。そのような部分は、国籍もファッションも関係なく海外にも通じると思います。そういう意味では、「Twitterをどううまくマーケティングに活用するか?」ということも重要なのですが、まずは、「丁寧にローカライズをしよう」というのが、開発者としての一番基本の姿勢です。「どうやって、カブは株だと分かってもらえればよいか」ということや「日本語の洒落をどう伝えるか」ということなど、たくさんありますので、ご期待ください。 それから、『ピクミン3』がどうなるということについてです。Wii U用ソフト『ピクミン3』の最大の魅力はHD機能による高グラフィックスな描写です。高解像度になっているので、ピクミンのしぐさまで見えます。私はどのゲームに対しても、非対称ゲームプレイを無理やり詰め込もうとは思っていませんが、このゲームではWii U GamePad上で、全体のマップを見せています。ゲーム中、常に自分が何をしているのかが同時に見えるという2つ画面の使い方だけで、戦略ゲームとしての十分な進化ではないかと思っています。おまけでお話ししますと、『ピクミン3』はWii U GamePad上の手元の画面だけでも遊べます。Wii U GamePadの画面だけで遊ぶときは「昔のゲームキューブ版のソフトを手元で凝縮した緻密な画面で遊んでいる」と思ってください。また、Wii U GamePadには2つのコントロールスティックがありますので、より快適に遊んでいただけるようになりましたし、大きなテレビに映したときはWiiリモコンプラスに内蔵されているジャイロセンサーを使って、もっと快適に遊べるようにもなりました。遊ぶスタイルがいろいろ選べるという意味で、Wii U GamePadだけで遊ぶのも新鮮だと思います。どうぞご期待ください。 |