1 | (プレゼンテーションの中で)サードパーティ・ソフトメーカーのソフト発売予定について簡単に言及されていたが、私が昨日、Business Partner Presentationに出席した際に、自社タイトルに焦点を当てているような印象を受けた。競合が激しくなっている中で自社のプラットフォームにソフトメーカーをより引き込むために、何かできることはあるかお聞きしたい。 |
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1 | 取締役社長 岩田 聡: 私たちは今年の後半からたくさんの自社タイトルを連続的に投入して、Wii Uプラットフォームの勢いを取り戻そうとしています。もしプラットフォームに勢いがつけば、そこにはソフトメーカーのみなさんにとってのビジネスの機会ができますから、サポートは間違いなく変わっていくと思います。 もうひとつ重要なことは、先ほどもご説明したように、現時点でも、Wii U用のソフト開発を積極的に展開してくださるソフトメーカーさんもおられることです。その中から成功例を早く作ることが、とても重要だと思います。 プラットフォームに勢いがあり、他のソフトメーカーさんが成功しているのに、そのプラットフォームをサポートしなかったら、みなさんはきっとそのソフトメーカーさんのところに行って、「なぜサポートしないのか」とおっしゃると思います。 |
2 | Wii Uを他と差別化する重要な要素のひとつは、非対称的ゲームプレイという他と異なったゲームプレイの形式である。このことを消費者はまだ理解していない。Xbox OneやPlayStation 4と競争する年末商戦期にWii Uのことを考えてもらえるよう、非対称的ゲームプレイの良さをどのように説明していくのか。 |
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岩田: 「非対称ゲームプレイ」というのは、Wii Uの差別化の非常に大きな要素のひとつで、それをご理解いただくために『Nintendo Land』というソフトを作りました。アメリカではそのソフトを「Deluxe Set」と呼んでいる32GBのメモリーを搭載した上位機種のハードに同梱しました。そのソフトを遊ばれた人は「たしかに面白い」とおっしゃってくれましたが、「それがどう面白いのか」を他の人たちに簡単に説明できる良い言葉が、いまだに見つかっていない状態ではないかと思います。 私たちがWiiを売り出したときに『Wii Sports』を同梱しましたが、そのときに果たした役割と同じ役割が『Nintendo Land』ではまだ果たせていないということだと思います。 当然、このまま何もしないでいるわけにはいきませんので、これから発売するたくさんのWii U向けソフト一つひとつで、Wii U GamePadがあると、「このように便利だ」「このようにうれしい」「このようにゲームが変わる」という部分をお見せしたいと思っています。 また、「非対称ゲームプレイという表現では、お客様に魅力が伝わりにくい」ということも私たちは学びましたので、これから多くのお客様の手に渡るソフトでは、別の表現でGamePadの良さを伝えていき、そして、「なるほど、これはたしかにGamePadがあって良かったな」と思っていただける状況を増やしていきたいと思います。 その意味では、『ピクミン3』以降のタイトルそれぞれに、「GamePadを活かして『なるほど』と思っていただける機能を必ず入れていくようにしたい」というのが私たちの目指していることです。 |
3 | 任天堂がデジタルビジネスを加速させる計画であり、特に初めてFree to Play型(基本プレイが無料でゲームを進めていく中で課金が発生するタイプ)のゲームを提案しようとしていることは大変興味深い。どのように進めるつもりか、もう少しだけ話してもらえないか。昨年もこの場で話題となったことだが、それは新しいIPなのか、既存のIPを使うのか、そしてパッケージ型ゲームのビジネスにどのような影響があるのか。 |
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岩田: デジタルの形でソフトウェアが供給できるようになったことで、私たちがお客様にソフトを提供し、そこでどのようにマネタイズ(収益化)するかという方法に自由度が生まれました。 ただし、マリオやポケモンのようなゲームをFree to Play型にしようと考えているわけではありません。なぜかと申しますと、マリオやポケモンのようなゲームは、パッケージソフトとして最初にまとまった金額を払っていただける信頼関係が、すでにお客様との間に確立できているからです。一方で、私たちが、何かまったく新しいチャレンジをするときに、お客様は「それがまだ面白いかどうかわからない」としたらどうでしょうか。お客様は、それにまとまったお金を払ってよいものかどうかわかりません。そのようなときに、過去の任天堂のプラットフォームではできなかった、さまざまな柔軟なマネタイズの仕組みがある今のプラットフォーム(ニンテンドー3DSやWii U)であれば、Free to Play型でご提案ができると思います。 任天堂はこれまでずっとパッケージ型のビジネスを行ってきた会社ですが、そのようなFree to Play型のチャレンジもやってみようと考えており、今年度内には、具体的なご提案ができると思います。 一方で、Free to Play型ソフトは、バランスを逸してしまうと、一部のお客様にものすごくお金を使っていただく結果にもなりかねず、それではお客様との良好な関係が築けませんので、お客様との関係が長続きするように、バランスの取れた、お客様から見てリーズナブルなものにしていきたいと考えています。 |