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杉森建のときどき更新されるれろ
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第3回「2Dゲームの火を消さないために」
その1「2Dアクションに飢えた人達へ」
2005.10.19
 いまは、ポリゴンで描かれた3Dタイプのゲームが主流になりつつあります。3Dのもつリアリティにあふれた表現力や、自由に視点を変えられるダイナミックさは、ゲームを次のステージに引き上げる技術として、たいへん魅力あるものです。でも、 『スクリューブレイカー』は、いわゆる“2D”のアクションゲームで、ぼくは昔からこういうタイプのゲームが大好きだったんです。
 何年か前から「3D難民」という言葉が頭の中にありました。本当はアクションゲームが大好きでいろんなゲームを遊んでみたいんだけど、3Dタイプのゲームがちょっと苦手で、昔より遊びたいものが少なくなってしまっている人達。それを、自分自身のことも含めてちょっと社会問題的に「3D難民」と呼んでいたのです。
 自分たちが遊びたいと思うゲームを作るのは、ゲームフリークのポリシーのひとつですが、今回はそれを踏まえたうえで、3D難民(=2Dアクションゲームに飢えた人たち)が待ち望んでいたようなゲームを作る、そういう気持ちで『スクリューブレイカー』の開発を始めました。

その2「2Dゲームのおもしろさを伝えたい」
2005.10.21
 ぼくがどうして3Dのゲームが苦手なのか、お話ししておきましょう。
 1つめは「3D酔い」というやつ。3Dゲームに特有の「揺れる画面」を見ていると、すぐに酔っちゃうんですよね。どんなにそのゲームがおもしろくても、遊んでいるうちにオエ〜ってなったりして、ゲームが続けられなくなってしまう。会社の昼休みなんかに、3D画面のゲームをすいすいプレイしているスタッフを見ると、うらやましいくらいです。
 2つめは、「方向音痴」だということ。そもそもダンジョンというのは、プレイヤーを迷わせるために設計されています。そのうえ迷路自体までがぐるぐる回ったりされると、方向音痴の人間にはもう何が何やら! 同じ3Dダンジョンでも、方向感覚が優れている人と、方向音痴の人とでは、体感する難度はまるで違うんじゃないでしょうか。
どっちに行こうかな……
どっちに行こうかな……
 3つめとして、「ゲーム性の違い」というのもありますね。たとえば、剣で敵と斬り合うゲームの場合、3D画面で作るとすれば、刀を一振りするだけで周囲の敵を一掃できるといった、豪快なゲームデザインが似合います。だけど、ぼくはやはりドット単位で敵の攻撃を見切るような、2Dゲームらしい緻密な遊び方に親近感を抱いてしまうんです。
 いまは、ゲーム機の表現力が昔とはケタ違いに向上しています。そのため2Dのアクションゲームが注目を集める機会は減っている気がします。だからこそ、『スクリューブレイカー』でもう一度、2Dアクションのおもしろさを思い出してほしいと思っています。
その1「2Dアクションに飢えた人達へ」
2005.10.25
 ゲームフリークは『ポケモン』を作っていますが、じつは昔から2Dのアクションゲームをたくさん作ってきた会社でもあります。それらの経験から得たノウハウは、今回の『スクリューブレイカー』にも存分に活かされています。
 今回とくに気をつけたのは、「チュートリアルを丁寧に盛り込む」ことでした。プレイヤーが慣れないうちは、ラセンダーをドリアップさせるのすら戸惑うでしょうから、ドリアップをいかに自然な形で覚えてもらうか、そしてドリアップすることで何ができるようになるのか、そのあたりの見せ方には、かなり気をつかったつもりです。
 また、このゲームは、敵キャラクターもただダメージを与えれば倒せるわけではありません。それぞれに独特の倒し方が存在するわけです。そうした攻略のヒントを、たとえばカンブーが通信で指示してくれるようにしてみたり、あるいは敵キャラクターの姿から自然に弱点が見抜けるようなデザインにしてみたりというように、遊びやすさを高めるための様々な工夫を凝らしました。
『スクリューブレイカー』は、懐かしの2Dゲームを作りたいという想いから企画しました。でも、いまのユーザーさんは目が肥えていますから、生半可なものでは単なる古くさいゲームだと思われてしまうでしょう。たとえ、昔ながらの2Dゲームであっても、いま作るのであれば、いまの時代──21世紀なりのゲームを作らなければいけません。そういう意味でも、制作中は苦労の連続でしたが、そのおかげで、かなり理想に近い作品ができたとも思っています。

 ではでは、第4回のコラムでお会いしましょう。ドリャラ〜〜ップ!