花といきもの立体図鑑

2012年 4月号

春。陽光を浴びてすくすく生長し、つぎつぎに花開く草花のように、なにか新しいことを始めたくなる季節です。スポーツや習い事もいいけれど、たとえば、今年は庭や公園に生えている植物の名前を全部調べて覚える……なんてチャレンジはいかがですか。

今月の話題

ニンジン

※ニンテンドー3DSでご覧の方は、上記写真をタッチペンで長押すると、立体写真をご覧いただけます。

春においしい新ニンジン。本来のニンジンは秋から冬にかけて収穫しますが、新ニンジンは秋にタネをまいて畑で冬を越させ、春に収穫します。そうすることでみずみずしさと甘みがますのだそうです。

ニンジンは、ビタミンAのもととなる色素カロテンを大量に含むため、特徴あるあざやかなオレンジ色をしています。carotene(カロテン)の語源もニンジン(carrot)です。

J.ルナールの『にんじん』は髪の色からつけられた主人公のニックネーム。L.M.モンゴメリの『赤毛のアン』にも、アンが髪の色を「ニンジン」とからかわれるエピソードがありますね。

ニンジンがオレンジ色になったのは、じつは品種改良の結果で、本来はいろいろな色のニンジンがあるのです。お正月に出回る金時にんじんもそのひとつ。近年はまた多彩な品種が見直され、黄色い島にんじんや紫にんじん、白にんじんなども出回るようになってきました。

ところで、ニンジンの花って意外にかわいいですよね。ほかのセリ科の植物の花ともよく似ています。コラム「セリ科のハーブ」でたしかめてみてください。

ちなみに、名前に「○○ニンジン」とつく植物はいろいろありますが、セリ科の仲間とはかぎらないようです。どうして「ニンジン」と呼ばれているのでしょうか? 「バラエティ検索」の「名前から検索」で「にんじん」と入力してみてください。解説には名前の由来も書いてあります。思いがけない発見があるかもしれませんよ。

さがしてみよう(花編)

レンゲソウ

子どものころ、レンゲソウの花畑で花摘みをした思い出がある人も多いのではないでしょうか。漢字で「蓮華草」と書き、花全体の形を仏さまの立つハスの花に見立てたといわれるレンゲソウ。

根に共生する根粒菌は、田畑の土を栄養豊かにしてくれるので、田植えの時期にはレンゲソウそのものを土にまぜて肥料にすることができます。そのうえ牛や馬の飼い葉にも。まさにありがた〜い植物として、江戸時代から利用されてきました。

レンゲソウから「いきものリンク」をたどって、ちょっと春の田畑をのぞいてみませんか。

さがしてみよう(いきもの編)

モンシロチョウ

「チョウチョ、チョウチョ、菜の葉にとまれ……」と童謡でも親しまれてきたモンシロチョウ。でも、よーく見てください。羽の黒いすじが目立っていませんか? もしかすると、それは姿の似ているスジグロシロチョウかもしれません。「いきものリンク」の上画面にも、見分けるポイントが書いてありますね。

モンシロチョウは日の当たる明るい場所を好み、日当たりのよい場所でよく育つアブラナやキャベツなどの作物に産卵します。一方、スジグロシロチョウは、木陰のような涼しい場所を好み、アブラナ科の雑草であるタネツケバナやイヌガラシなど、いろいろな植物に卵を産みつけます。畑の少ない街中では、スジグロシロチョウのほうが勢力を広げているのです。

季節のことば

春眠(しゅんみん)暁(あかつき)を覚えず

中国の詩人・孟浩然(もうこうねん)がつくった「春暁(しゅんぎょう)」という漢詩の一節です。季節は春、あたたかな寝床の中でまどろんでいると、小鳥たちのさえずりが聞こえてくる……。

1200年以上も昔の詩ですが、「のんびり朝寝坊するのって幸せだなあ」という感覚は今と同じですね。

詩の後半は、「夕べは強い雨の音がしていたな。庭の木に咲いた花もたくさん落ちたことだろう」と続きます。日本でもこの時期は、シベリアや中国大陸からの移動性高気圧と、日本海で発生する低気圧が交互に日本を覆い、不安定な気候になります。このため、うららかな陽気に先だって突然の雷雨が襲うといった天気の激変も起こりやすいのです。

今月の情報はいかがでしたか? 来月もみなさんの大好きな野菜が登場します。どうぞお楽しみに!

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