さわやかな五月(さつき)晴れの季節です。すんだ空気を通して強い陽射しが降りそそぐため、一年でいちばん紫外線の影響が強まる時期でもあります。
ところで、この「五月晴れ」とは、じつは旧暦の5月、すなわち今の暦でいう6月ごろのことで、梅雨の晴れ間をさす言葉だったってご存じでしたか?
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冬に植えつけたジャガイモを、春に早どりしたのが「新じゃが」です。みずみずしい新じゃがは薄い皮ごと食べられますし、手でこするだけでツルリと皮をむくこともできます。「男爵いも」や「メークイン」をはじめ、ジャガイモには数多くの栽培品種があります。日本では馬鈴薯(ばれいしょ)ともいわれ、これはイモの形が馬につける鈴(すず)に似ているから付けられた名前ですが、いまでも農林水産省の統計などでは、ジャガイモのことを「ばれいしょ」と表記されています。
原種に近いアンデス産のイモとの交配などにより、黄色もあざやかな「インカのめざめ」、皮や中身まで赤い「ノーザンルビー」、濃紫色をした「シャドークイーン」などのカラフルなポテトも日本の食卓を飾るようになりました。ぜひ食べくらべてみてください。
原産地のアンデスからジャガイモが初めてもたらされた15、16世紀ごろ、ヨーロッパの人々は、地下のふくらんだ根茎を食べるものだということすら知りませんでした。イギリスの女王エリザベス1世は、ソラニンという毒を含むジャガイモの葉と茎を食べ、食中毒にかかってしまったそうです。また、フランスのマリー・アントワネットは、清楚なジャガイモの花を髪飾りにしたといいます。
ところで、ジャガイモの花は見たことがあっても、ジャガイモの種子を見たことがある人は少ないのではないでしょうか。ジャガイモはトマトと同じナス科なので、トマトによく似た実をつけ、その中に種子もできます。けれども、その種子をまいても小さなジャガイモしかとれません。このため、ジャガイモは普通、種子ではなく種(たね)イモを植えつけて育てます。このような繁殖のしかたを「栄養繁殖」と呼びます。さらにくわしくは「植物の栄養繁殖とは」のコラムをのぞいてみてください。
キノコというと秋のものという気がしますね。でも、個性的なキノコたちは、じつは四季折々、一年中、地面から顔を出しています。あたたかくなってくる5月ごろの山には、たとえばキツネノタイマツが。えっ、どんなキノコかって?
「バラエティ検索」でキノコを選んでから、「時期」に「5月」、「環境」に「山」を選んでみてください。「いきものリンク」をたどれば、生えている環境もたしかめることができます。なぜキツネノタイマツと呼ばれるのか、その理由ははっきりしませんが、ほかにもキツネタケやキツネノチャブクロ(ホコリタケの別名)など、キツネと名のつくキノコがあります。色が似ているからでしょうか。コラム「名前にキツネがつく植物」なども見ながら、みなさんもその答えを考えてみてください。
林の近くの野原や畑など、開けた場所で「カッコー」と元気に鳴いている鳥がいます。その名もカッコウ、夏になると東南アジアから渡ってくる夏鳥です。英語でクックー、ドイツ語でクックク、中国語ではグオゴンと呼ばれ、いずれもその鳴き声から名づけられました。
カッコウをはじめとするホトトギス科の鳥は、ほかの鳥の巣に卵を産みつけ、育ててもらう「托卵(たくらん)」という習性をもっています。托卵する相手には、どんな鳥がいるでしょうか。ぜひ「いきものリンク」をたどって調べてみてください。
八十八夜とは、立春から数えて88日目のこと。例年、5月2日か3日にあたります。遅霜も消えるこのころから、農作業は本番です。田んぼの苗代(なわしろ)をつくり、作物のタネをまき、野菜の苗を畑に植えつけます。そういえば、「八十八」をタテに書くと漢字の「米」になりますね。
童謡の「茶摘み」に八十八夜が歌われるのは、柔らかい若芽がすぐに生長してかたくなってしまうため、とくに香り高い「新茶」はこの時期にしか摘めないという意味なのです。じっさいは、お茶の産地によって、新茶を摘む時期はずれていきます。
ところで、八十八夜がかかわっているのは農業だけではありません。瀬戸内海の漁師は、この時期を「魚島時(うおしまどき)」と呼び、豊漁期に入る目安とします。種子島や屋久島でトビウオ漁が始まるのもこのころです。
今月の情報はいかがでしたか? 来月もみなさんの食卓から旬がわかるような野菜が登場します。どうぞお楽しみに!
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