プロローグ

Prologue 1980年12月18日、その日の午後。通りに停めていた車の中で少し長すぎた昼寝から目を覚ました俺は、助手席に投げ捨てていたポケベルに手を伸ばし、その電源を2日ぶりに入れた。 そのとたん、俺を呼ぶ無機質なベルの音が車内に響いた。「エドに電話するか……」俺は車を降り、公衆電話を探しながら通りを歩いた。 そして歩きながら、ぼんやりとこう考えていた。あと少しこの仕事をこのまま続け、あのアパートで年を越し、これからのことを考えるのは、まだ先でいいと。 4/5