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株主・投資家向け情報

2015年6月26日(金)第75期 定時株主総会 質疑応答
質疑応答
Q 4

米国任天堂がメジャーリーグベースボールのシアトル・マリナーズの筆頭オーナー企業であるということは有名な事実だと思う。筆頭オーナーの立場を山内前社長から2004年に引き継いで10年経つが、この間シアトル・マリナーズを持つことによって任天堂にプラスになったこと、そしてこれから先も持ち続けていくことでプラスになることは何か。また、今年1月にランディー・ジョンソン元投手のアメリカの野球殿堂入りが決まり、シアトル・マリナーズにおいても彼の背番号51番が永久欠番になる可能性が出てきたのではないかと推察するが、日本人にとってはマリナーズの51番はイチロー選手だと思うので、この永久欠番の可能性に関して、筆頭オーナーである米国任天堂のCEOである岩田社長のお考えを聞かせてほしい。

A 4

岩田:

 アメリカ地域で販売を担当している子会社の米国任天堂が、現在シアトル・マリナーズの筆頭オーナーであるということは、ご質問いただいたとおりです。前の社長である故山内溥氏が個人で所有されていたものを、球団の経営状況も(故山内溥氏がオーナーシップを取得された)当初の状況と比べてずっと良くなりましたし、「自分も人間である以上いつかいなくなるのだから準備をしておこう」という山内氏の意思もあって、米国任天堂が筆頭オーナーの立場を引き継いで現在に至っています。

 このような経緯で、シアトル・マリナーズという球団と関係を持たせていただくご縁があったわけですし、また、メジャーリーグのオーナーに日本の企業がなるということは、当時、大変例外的な出来事として報道されたように、ある意味「普通では得られない、ただお金を出せば買えるというものでもない」、いわば「特別な存在」にならせていただきましたので、そのことを大事にしていきたいという思いは持っています。

 背番号51番についてですが、米国任天堂はマリナーズの100%のオーナーではなく、球団運営の重要な意思決定については複数のオーナーの方々と協議をして決めています。私はイチローさんと個人的に何度もお会いしましたし、イチローさんとの関係を大事にしたいと思っていますが、(ご質問のようなご推察に)米国任天堂のCEOがこのような公の場で発言するのは適切ではありませんので、その旨ご了解いただければと思います。

Q 5

もともとは京阪本線の鳥羽街道駅の近くに本社があった。その場所を今後どのように使用していくのかをうかがいたい。

A 5

岩田:

 当社は2000年11月に現在の上鳥羽鉾立町の本社に引っ越ししました。それまでは、鳥羽街道駅のそばにある建物が本社でしたので、以前株主総会でお越しになった株主様もいらっしゃるのではないかと思います。現在の本社に移転したときに、鳥羽街道駅近くの旧本社に勤務する人員は一度大きく減りました。その後、本社が手狭になり、開発部門の一部を旧本社の建物に移動して、分かれて仕事をしていました。年々製品の研究開発というのは複雑になり、たくさんの人のエネルギーを集約しないと世界中のお客様にお届けできるような商品がつくれませんので、研究開発を強化するために開発人員を積極的に採用してきました。その結果、今の本社では場所が足りないため分割して勤務するということが起こりはじめ、それで決断をして、(2014年に)本社開発棟を建てました。これで開発のチームはここ(本社開発棟)に集約することができました。任天堂の一つの特長は、ハードウェアとソフトウェアの開発チームが同じ建物の中にいて、フロアは違っても比較的簡単に交流ができ、お互いに相談をしたり刺激し合ったりしながら、世の中に驚きを感じていただけるような商品をつくるということですので、開発人員の集約にはとても意味があったと思います。

 現在、旧本社では、(当社の子会社の)「マリオクラブ株式会社」が当社の製品のデバッグ(開発者が意図したとおりにソフトウェアが動作するかチェックする業務)や難易度調整を行っています。こちらも人員が徐々に増えてきていますし、最近では、シールドルームという電波が中と外で通じ合わないような部屋をつくって、多数のニンテンドー3DSを一か所に集め、無線でやり取りをしながらゲームを遊ぶソフトのデバッグなども行っています。このようにして、(旧本社に)残っている建物はフル稼働しています。将来、旧本社の土地をどのように使っていくかは、現時点で明確に決まっているわけではないため、計画をお話しすることはできませんが、現状では「マリオクラブ」が有効に使用していますので、「マリオクラブ」の人員計画に基づいてこれからの使用法が決まることになると思います。

Q 6

今年のE3で任天堂が発表したソフトタイトル数が非常に少ないと感じた。先ほどサードパーティーに関する話があったが、彼らは各社がE3で発表する将来のソフト展開予定を見て、据置機に対する期待感を測りながら、いずれのハードに自社ソフトを提供すべきかを検討しており、ゲームファンも、今後Wii Uや3DSでどういったソフトが販売されるのかを期待して購入を検討する人が多いと思う。今回のE3で2015年発売タイトルに発表を限定した理由と、今後のE3でも年内発売予定タイトルだけの発表に絞っていくのかどうかについて、理由もあわせて聞きたい。

A 6

岩田:

 今年のE3は例年よりも1週間遅く、株主総会の直前に開催されました。私は本総会の準備を含めて日本に残って遂行すべき業務を優先させていただいたため、今年のE3には出張していませんので、実際にE3に出張した当社役員の代表として宮本からまずお話をさせていただいて、その後映像を見ていただこうと思います。

専務取締役・情報開発本部長 宮本 茂:

 E3は例年5月・6月頃にアメリカで開催されるトレードショーで、(質問者の方が)おっしゃったような側面があることも一部事実だと思います。以前は、E3はアメリカ(国内向け)のトレードショーだったのですが、インターネットの普及によって、E3で発信された情報は世界中に広がるようになりましたので、任天堂も最近はアメリカ国内のトレードショーとしてだけではなく、任天堂グループ全体でE3に取り組む対応をしています。

 今年は特に、アメリカで今年のビジネスをやっていく上で重要な商品にフォーカスして展示いたしました。年によっては、翌年以降に発売のもう少し先の商品や、さまざまな可能性を提案するための展示をすることもあります。例えば去年は、Wii Uというハードの魅力がまだ十分にお伝えできていないと考え、Wii Uの可能性を示すために、さまざまな実験ソフトを展示しました。今年は去年に比べてアメリカにおいてもWii Uのハードの魅力を理解していただけつつある状況でしたので、近い将来のビジネスに直接つながる商品を数多く展示しました。今年のE3開催初日、任天堂は「Nintendo Digital Event」というプレゼンテーション動画をインターネット上で配信し、世界中に今年のE3での当社出展タイトルを紹介したのですが、年内発売予定のゲームタイトルに絞ったためタイトルが少なく見え、また、ソフトメーカーさんのタイトルも数多く紹介されなかったこともあって、全体として今後の発売予定タイトルが少ないという印象を与えてしまいました。また、来年の早い時期に発売するもの以外は一切紹介いたしませんでしたので、新しい魅力に欠けたというようなご批判をいただいたことも理解しています。しかし、E3会場の当社ショーフロアでは、今年中に遊んでいただけるタイトルや、任天堂らしいタイトルが並んでいるということについて流通のみなさんにご評価いただけたという手ごたえを感じました。ハードウェア大手としては当社以外にソニーさん、マイクロソフトさんがE3で展示をされましたが、両社は今年ではなく来年か再来年に発売予定、または発売日未定のソフトも数多く紹介されており、それらの多くはまだ今年のE3では触って遊べない、私たちが言うところの「プレイアブルではない」状態のゲームが数多く紹介されていたと感じました。また、今はバーチャルリアリティーが全盛で、実際にどのような形で売られるのかがまだ分からない商品が、夢の展示としてE3ショーフロアに数多く並んでいました。バーチャルリアリティー対応タイトルは一度に数多くの来場者が体験できません。また、高性能機のゲーム開発には2年・3年かかるのが当たり前になってきていますので、こちらについても映像出展が多い中、任天堂のブースにお越しいただいた人たちには実際手に取って遊んでいただいて、特に私たちがフォーカスしている「リビングで遊んでいただくゲーム機」としての評価をいただけたと思います。報道に関しても、私は数多くのマスコミ取材を受けましたが、記者のみなさんも、そういった点をかなり評価してコメントをしていただいたという印象を持ちました。

岩田:

 任天堂が、インターネットを通じて今年のE3をご覧になった、特に任天堂の熱心なファンの皆様のご期待に応えられずガッカリさせてしまったということはもちろん承知しています。一方で、E3というのはもともとはアメリカのトレードショーとして生まれたショーですので、そこでどういうことを伝えるのかということは、世界への影響を考えつつも今年のアメリカのビジネスをいかに最大化するかを強く意識しながら考えねばなりません。日本では報じられにくく、日本には伝わりにくい一面があることを考慮いただきながら、この映像をご覧いただこうと思います。

 (映像をご覧いただきながら)これはE3のショー会場です。日本でいうと例えば幕張メッセのようなホール、向こうではロサンゼルス・コンベンションセンターという名称の場所で、そこにある任天堂ブースの様子です。実は任天堂のブースというのは、他社さんとは非常に雰囲気が違いまして、(来場者の皆様が)非常にニコニコして、実際にゲームを触って楽しんでおられる方が多いです。他社さんのブースではゲームの映像をご覧になっている方が多いという点で、当社ブースには大きな違いがあったと思います。ショー会場とは別に、任天堂は今年いわゆる記者発表会を行わずに、「Nintendo Digital Event」をインターネットで配信し、またそれより前に『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS/Wii U』の新要素についてお知らせする映像も配信しました。また、「任天堂ワールド・チャンピオンシップ2015」を開催し、インターネットで生中継しました。「任天堂ワールド・チャンピオンシップ2015」とは、任天堂の複数のゲームを使って、世界一のゲームの腕前を持つプレイヤーを決めるというもので、この会場もものすごく盛り上がっていました。ですから、今年のE3で「Nintendo Digital Event」というインターネット中継にご満足いただけなかったことについては、私たちは真摯に受け止め、来年以降の改善に向けて動かなければいけないのですが、任天堂は今年のE3で全体として非常に不評だったのかというと、流通さんやメディアの方からの評価は必ずしもそうではなかったということもありますので、その点は是非ご理解いただきたいと思います。

 それから、今年のE3で任天堂がなぜ発売の近いタイトルに絞って紹介したのかということにつきましては、先ほど宮本も申しあげましたとおり、「E3で私たちがどういった点をアピールするべきかは、毎年毎年そのときの製品の開発状況やこれからの展開予定などによって変わる」ということをご理解いただけたらと思います。具体性がまだない、あるいは発売時期もまだ申しあげられないような、もう少し先の商品のお話をする必要があるときはそうさせていただくと思いますし、一方で、具体的な商品が用意できていて、発売日もある程度確定してお知らせできる状況にあるときは、それらの魅力をしっかり伝えていくというように、年ごとにテーマが変わりますので、去年と今年ではずいぶん印象が違ったと感じられたかと思います。ただ、いただきましたさまざまなご意見は真摯に受け止めて、来年以降の改善を図りたいと思っています。

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