「右!」 イライラした声が操舵室に響いている。 「ちがう、左だ!ああ、行き過ぎだ〜。もちょっと右!」 クレムリン軍団のボス、キングクルールの声がするたびに、彼らが乗っている船は、あっちこっちに方向を変えていた。もはや部下の握る舵はメチャクチャだ。 「せっかくコングの野郎どもをぶっ潰すチャンスなのに〜」 今までドンキーコングたちに何回もやられてきたキングクルールは、彼らの住むDKアイランドを一発で吹き飛ばす新兵器「ブラストマティック」を完成させ、鼻息も荒くDKアイランドへ向かって航海しているところだった。 |
船内にいやな音が響いて、動きが止まった。船がなにかにぶつかったのだ。 「んんん〜?DKアイランドにぶつかったって!? ええ〜い、このままブラストマティック発射〜!」 ブラストマティックの照準がDKアイランドに合わされた。キングクルールはその様子をじっと見ている。・・・しかし、いつまでたってもブラストマティックは発射されない。 「も、申し訳ありませんキングクルール様。 ブラストマティックが壊れてしまいました・・・」 部下のその言葉にキングクルールは、 「な、なんでいっつもこうなるのだ〜。今度こそは勝てると思ったのに・・・」 |
思わず泣き出してしまった。そんなボスを見て、部下の1人が声をかける。 「ご心配なく、キングクルール様。私にいい考えがあります。 私がコングの連中を捕まえてご覧にいれましょう」 キングクルールは泣くのをやめて、じっと部下の話を聞き始めた。 「そうだ、ついでに奴らが大切にしているゴールデンバナナも盗みましょう。 いろんな場所に隠してしまえば、奴らはゴールデンバナナ探しで大忙しになるはず。その間にブラストマティックを修理するのです」 単純なキングクルールはもう笑っていた。 「ふふふふ。よぉ〜し、さっそく行動に移れ! 早くブラストマティックを直してあの島をぶっ壊すのだ〜!」 |