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杉森建のときどき更新されるれろ
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第6回「正式タイトルができるまで」
その1「引っ掛かりが足りない」
2005.12.02
 今回はタイトルについてのお話です。『スクリューブレイカー』というメインタイトルは、最初にこのゲームの企画を思いついたときから、考えていました。
 ドリルの回転をイメージさせる「スクリュー」に、破壊という動詞の「ブレイク」。また、「ブレイカー」には“押し込み強盗”なんていう意味もあったりして、印象はちょっと悪いですけど、盗賊団が主人公のゲームにはマッチしています。口にしたときの語呂も悪くないでしょう? とりあえず『スクリューブレイカー』を仮題ということにして、開発がスタートしました。
 ところが、ゲームの制作が進んでいくにつれ、どうもこの『スクリューブレイカー』という言葉は、きれいにまとまりすぎているような気がしてきたんです。
 きれいで何がいけないのか、と思われるかもしれませんが、そういうタイトルはゲーム雑誌などで目にしたとき、読者の心に引っ掛かるもの(フック)がなく、印象に残りにくいんですね。むしろ、ちょっとぐらいヘンなタイトルのほうが、見た人の心には強く残るものです。
 そこで、何か特徴的なサブタイトルをつけよう! ということになりました。ゲームフリーク社内だけでなく、任天堂さんからもいろいろなサブタイトルの提案をしていただいた結果、どんなものが出てきたかというと……。

その2「インパクトのある言葉」
2005.12.07
 関係者一同で知恵を絞りあった結果、たくさんのサブタイトル案が出てきました。たとえば「ゴダイヤのちから」。これは物語のテーマをシンプルにあらわしていて、さらにゴダイヤという造語も印象に残ります。あるいは「うばわれたレッドダイヤ」。こちらは物語の導入部をストレートに表現していて、プレイヤーがゲームに入りやすくなるでしょう。
 他にも、「くるりくるくる大作戦」「ドリル少女くるり」「ちびすけおやぶんとゴダイヤ」「ドリルマスターくるり見参!」「ばくれつドリル娘」「スクリューガール」「いかりのレッドリル」などなど、マジメなものから、なんだかよくわからないものまで……。
 けれど、どれも決定打とはなりませんでした。しまいには、タイトルが決まらないのは主人公の名前がよくないからで、いっそのこと「どるり」に改名しよう! なんて話もあったりしたんです(マジで)。
 そうこうするうちに、とんでもないアイデアが浮上してきます。それが「どりるれろ」でした。
 じつは、「どりるれろ」という言葉自体はわりと早い時期から出ていたんです。でも、あまりにもバカバカしいので、誰も本気にはしていなかったんですね。ところが、しばらく時間をおいてみると「どりるれろ」というのはこのゲームの破天荒なイメージに合っているし、なによりも、一度きいたら忘れられないインパクトがあります。
 さすがに、これをメインタイトルにするのは無理がありますが、サブタイトルだったらじゅうぶんイケル! という手応えがあり、見事に採用となりました。

その3「ごーしん、と読んでください」
2005.12.09
 とは言いながらも、『スクリューブレイカー・どりるれろ』では、ちょっと音の響きがゆるすぎる感じがします。あいだに何か堅い言葉を足してみたらどうかということで、最初は「突撃」とつけてみました。『スクリューブレイカー 突撃どりるれろ』。どうですか、かなり引き締まったでしょう? でも、これではまだちょっと、ありきたりな感じがするんですよね。

ネーミング会議
ネーミング会議
 と、こんな風にアーデモナイ、コーデモナイとみんなで頭をヒネっているうちに、ようやく出てきたのが「轟」という漢字でした。
 ラセンダーは、ギア(歯車)を3つ集めたときに最高の性能を発揮します。「轟」は、まさにギアが3つ噛み合ったようにも見えて、まるでこのゲームのために用意されていたかのようです。もう、この文字を使うのは決まったも同然です!
 また、ちょうどその頃、『スクリューブレイカー』は「振動カートリッジ」でリリースされることが決定していたので、「轟」に「振動」をくっつけて「轟振動(ごうしんどう)どりるれろ」としてみました。かなり本気でそうするつもりでいたんですが、最終的には語呂のよさなども考慮して「動」の字をはずし、「轟振(ごーしん)どりるれろ」になった、というわけです。
 タイトルとしてはこれで十分でしたが、「どりるれろ」に意味がなさすぎたのが気になったので、3つに分割してそれぞれをくるり、カンブー、メンテの苗字に割り当てることで、少しだけキャラ設定に関係性を持たせたりもしたのです。

 ではまた、第7回のコラムでお会いしましょう。ドリョリルラレ〜〜ップ!