むかしむかし、長串村におじいさんとおばあさんが仲むつまじゅう暮らしておった。 しかし2人には、子どもがおらんでのう。 くる日もくる日もお地蔵さまに、どうか子どもを授けてくだされと信心ぶこうお祈りしておった。 そんなある日のことじゃった……。 おじいさんとおばあさんは、不思議な夢を見たのじゃ。 なんと男の子と女の子、2人の赤ん坊を授かると……。 2人してそのような夢を見るとはのう……。 まこと不思議なこともあるもんじゃて。 そして、あくる日のこと。 山に芝刈りに行ったおじいさんは、竹やぶで女の赤ん坊を見つけたのじゃよ。 もう驚いたの、何の……。 いっぽう川に洗濯に行ったおばあさんは、男の赤ん坊を見つけたというわけでな。 おじいさんとおばあさんは、それはもう大喜びでのう。 自分らの子どもとして、2人の赤ん坊を育てることにした……というわけじゃ。 月日は流れ。 2人の子どもも、ものごころつく年ごろになってのう。 一家はむつまじゅう暮らしておったわけなのじゃが……。 そのころから、鬼やら龍やらがそこいらを荒らしまわるようになりおった。 それが何やら、子どもらの生まれの秘密とつながりがありそうでのう。 やがて2人は、遠く遠くはてしない旅に出ることにあいなるのじゃ。 |