ミロンの住んでいる"エプシロン星"の住人は、
お互いに触れるだけで相手の気持ちを理解することができた。 そのため、文字や言葉は発達しなかった。 離れた人に自分の気持ちを伝えるためには、音楽が使われたのだ。 人々は、楽器を使って自由に会話を交わすことができた。 しかしこの物語の主人公ミロンには、その能力がなかったのだ。 「どうしてぼくだけ人の気持ちがわからないんだろう? どうしてぼくだけ楽器をうまく使えないんだろう? もしかしたら、ぼくはこの星の人間ではないのかもしれない。 もしかしたら、ぼくみたいな人間がまだこの星に いるかもしれない……」 そう思ったミロンは、仲間をさがす旅に出ることにした。 ちょうどその頃、ミロンの住むイシュタル村に、 ある危険が迫っていた。 村の長老はその危険を周りの7つの谷に伝えるために、 伝令を送った。 が、だれ一人としてこたえる者がなかったのだ。 ミロンは旅のはじめにこの謎を解くため、 7つの谷を治める王女エルシラに会うことにした。 というのは、エルシラの住むロクタスの街に 一番最初に伝令が届いているはずだからだ。 しかし、ロクタスの街についたミロンが見たものは、 楽器を魔人に奪われて困っている街の人々の姿であった。 というのも、北の果てに住む魔人が、 エルシラの住むガーランド城を占領してしまったからなのだ。 魔人はエルシラを城の奥深くに閉じ込め、 街中の楽器を隠してしまったのだ。 魔人退治をかってでたミロンにロクタスの司祭は言った。 「城にはこんなときのために、 王女様がさまざまな道具を隠されました。 このシャボンがあなたに魔法の道具の隠し場所や 道具を売る店の場所を教えてくれるはずです。 城の中には魔人や魔人の手下のほかに、 街の若者や王女がおります。どうか、助け出してください」 ミロンはガーランド城の中に隠された謎を解き、 奪われた楽器を取り戻して、 閉じ込められている王女を助け出すことができるだろうか……。 |
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