戦の絶えなかった国ペルシャ。その国の王サルタンは自ら戦争の指揮をするため、兵を率いて他の国に出向いていった。そのサルタンの不在をいいことに、宰相ジャファーは反逆を起こそうとしていたのだった。 「いまこそこの国を我が手に!」 ジャファーは美しき姫と結婚することによってこの国を乗っ取ろうと企てた。しかしその頃、姫は旅の若者と恋に落ちていたのだ。その恋は1日毎に深まる一方。業を煮やしたジャファーは部下に命じて無理矢理若者を牢に閉じ込め、姫に結婚を迫った。 「さあ、姫よ。決心はついたか」 「いやよ。誰があなたなんかと」 「私も本当は、手荒な真似はしたくないのだが…」 そう言うとジャファーは大きな砂時計を魔法で出現させる。 「この砂が落ちるまで待つとしよう。私と結婚するか、死ぬか、考えておきなさい。その頃にはあの若者の処刑も終わっているだろうしな」 高笑いを残して去っていくジャファーの後ろ姿に、姫はがっくりとうなだれた。そして少しずつ流れる砂を見つめると小さく呟いた。 「きっと…あの人は助けにきてくれる…」 姫の願いが天に通じたのだろうか。若者は門番の目を盗んで牢を脱走することに成功したのだ。頼りになるのは途中で見つけた剣と、彼の体力、そしてあふれる勇気だけ。若者は姫を助けるため、城の最上階を目指して走りだした。はたして彼は無事、姫を助け出すことができるのか? |
|