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現在のWiiとDSシリーズの生産能力について伺いたい。 それと、任天堂が上場している意味について伺いたい。私には、上場していてもメリットは何もなくてデメリットしかないのではないかというイメージがある。特に株価の、マーケットの要因で非常に乱高下が続いており、瞬間は時価総額の半分以上がキャッシュを占めるという日もあったぐらいの状況の中で、企業の防衛として自社株買い等を含めた資本政策を新しいかたちで打っていく可能性等も含めて、どのような考えか聞かせてほしい。 |
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岩田: まず上場の意味からお答えします。極端な話、「MBOとかしたらどうですか」というのを外から言われることがないではありませんが、私にその考えはないです。 確かにマーケットの外部要因によって、ある意味、ものをつくって世界に売るということに自分の全エネルギーが集中できないことがわずらわしく思えることが一切ないとは申しあげません。それは私たちも人間ですから、外的要因で、自分たちの努力とは別のことで翻弄されることはもちろんハッピーではないですが、一方で私たちは公開という道を選んだことで、かつて任天堂に資金がなかったとき、株主の方々に任天堂の将来を、いまよりは低い評価かもしれませんが買っていただいて、それで育てていただいたわけです。だから、資金が必要じゃなくなったから、自分たちはもう都合が悪いから(株式市場から)退場という発想が、私の自分の価値観とかみ合わないので、そういう方向での資本政策はまったく興味がないです。 ただ一方で、任天堂はせっかく潤沢にキャッシュがあるわけですから、自社株買いを含めてさまざまな資本政策についてのオプションは非常に多く持っているわけで、そのときに自分たちが最善と信じたことを、いつでも必要に応じてやろうと思いますので、あらゆる可能性は排除しません。ただし、私はどこかからお金を借りてきてMBOをしようという発想はまったく持っていません。これは自分の価値観に反します。 それから生産能力ですが、以前にお話ししたものと大きくは変わっていません。DSが250万で、Wiiが240万です。ちなみに部品等の積み上げによって、本当に必要な時期、たとえばわれわれで言うと11月の時期とかに、ちょっと無理をお願いして、1カ月だけほんのちょっと積み上げるということはできますが、定常的にそれができる構造ではありません。それから、DSiは一応別枠で用意しています。ただDSiの生産能力がどこまでの大きさになるかということは、今日ちょっとコメントするのは早いと思いますし、いま生産能力をどんどん増やしている過程にありますので、これは機会を改めてのお話とします。ただDSiをつくることで、年末海外に向けてDS Liteを出せる量が減るということはございません。 |