5 | ソフトのラインナップが不十分であるというのが3DSの不調の最大の要因と見ているが、改めて、ソフトが十分にそろわなかった理由を分析してほしい。昔から「ソフトが重要」と繰り返し聞いているが、なぜそろわなかったのか。また、サードパーティーさんの立場から見ると、「3Dは労力がかかる割にソフトの魅力につながらない」という見解があるようだが、この点に関しても教えてほしい。 |
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5 | 岩田: 私たちの描いたシナリオ通りにニンテンドー3DSがスタートダッシュできなかったわけですから、(その原因について)当然さまざまな分析をしておりますし、私たち自身、反省するところはたくさんあります。現時点で私が「あそこがいけなかった」、「ここがいけなかった」ということを仮に申し上げたとして、それが昨今のようにいろいろな形で、部分的に引用され、場合によっては歪められて広まる現状において、「どこがいけなかった」という話を具体的に公の場で申し上げることは今後のニンテンドー3DSのためにならないと思っています。当然反省することは複数ありまして、いくつも考えているのですけれども、その一つひとつを具体的にこうだとこの場で申し上げることは控えさせてください。ただ、少なくとも、6月のE3のタイミングに、私たちが本体機能の更新という形で(インターネットを通じて)ご提供したいくつかの機能が、発売のタイミングに間に合わせられていないといった辺りは大変反省すべきポイントであったと思います。 |
6 | ハードとコンテンツの関係が1対1だけではなくて、いろいろなプラットフォームでさまざまなコンテンツができるようになってきている。また、コンテンツは所有するだけでなく消費するものになっている。こういったトレンドを踏まえて、むしろこれを事業機会として捉えて、新しい成長軸として何か外部に当社のコンテンツを提供するであるとか、事業提携の可能性が将来的にあるのかどうか、というところを改めて教えてほしい。 |
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6 | 岩田: 「ハードとコンテンツの関係が変わってきている」とか、「コンテンツは所有するものから消費するものになっている」とかいうのは、今、一つの流れとして間違いなく世の中で言われていることだと思います。一方で、一つのコンテンツ、それも価値のあるコンテンツは、そんなに簡単に次々と生み出せるのかというと、決してそうではないと思っています。例えば、短期的な業績だけを考えて申し上げれば、当社の看板のソフト資産をいろいろな形でライセンスをすれば、短期的には収益が上がるのかもしれません。ですが、それでそのコンテンツが消費されて価値がなくなってしまった時に、未来の任天堂はどうなるのでしょうか。私が今期の収益だけに責任を持つのでしたら、そういう決断ができるかもしれませんが、任天堂の中長期の展望に責任を持たねばならない立場としては、逆に「いかに消費されない特別なコンテンツをつくり、その価値を維持するか」ということができないと、それこそ任天堂の優位性というのはなくなると思います。また、その時の任天堂の武器は、私たちがつくるコンテンツとハードが一体でご提案できることで、私たちのコンテンツに必要であればハードにそういう機能を仕組んでおくことで、そのコンテンツの価値をより高めることができると思っていますので、原則的に、(たとえ短期的な収益があるのだとしても)私たちが自分たちの持っている知的財産を外にライセンスして出して消費されるものにしていくという考えはありません。 |
7 | 株主還元に関して、今どう考えているかをなるべく具体的に教えてほしい。 |
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7 | 岩田: 今日(7月29日)も株価が大きく変動しましたので、いろいろなお考えがあるかと思いますが、私は何よりも足下のビジネスの状況を改善して、未来にわたって任天堂のビジネスモデルがしっかり機能するということを、この年末までに証明することが何よりも大切だと思っています。当然こういう席で「自社株買いはどういう局面になったらどういう条件でどうします」ということは、フェア・ディスクロージャー上の問題になりますので申し上げることはできません。「なるべく具体的に」というご質問からすると、私の回答は必ずしも十分ではないかもしれませんが、私は、この年末までにビジネスの環境を変えることで株主の皆様にもご評価いただけるようにしたいと思っているということが第一義で、それをしませんと、たとえ何らかの方法をとったとしても、それは一時しのぎにしかならないわけですから、まずそこに最大のフォーカスを置きたいと思います。その上で、状況に応じて判断をするということが原則です、ということ以上に踏み込んでお話ができないことをご理解ください。 |