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2011年10月28日(金)第2四半期(中間)決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文
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本日は、お忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。社長の岩田でございます。
まずはじめに、中間決算が予想に対して未達になったこと、ならびに、通期見通しの業績予想を下方修正したことに対して、大変重い責任を感じております。
ゲームプラットフォームのビジネスは勢いのビジネスであり、その勢いを維持するためには、プラットフォームを活性化する有力タイトルが必要になりますが、前年にリリースした自社タイトルが今年も売れ続けるという流れは予定通りにはつくれませんでしたし、次のプラットフォームの準備をしなければならない状況の中で、 既存プラットフォームの有力タイトルの完成が今年の後半にずれ込み、今年前半には有力タイトルがタイムリーに準備できませんでした。
また、今年発売した新しいプラットフォームであるニンテンドー3DSは、市場や業界関係者のみなさま、そして、世界各地の予約状況にも見られたようにお客様からも大きな期待をいただきましたが、発売後、そのご期待に添うような販売推移とならず、「このままではニンテンドーDSの後継機としてあるべき普及の軌道には乗せることはできない」との判断で、今から3カ月前の7月末の決算発表時に、急遽、本体価格の値下げを決定し、発表いたしました。足下での結果は、まだハードの販売ペースの改善という結果しか見えておりませんが、3DS有力タイトルの発売は、今年11月以降に集中しておりますので、年末商戦に大きな盛り上がりを生み出すことで、来期以降の展望を確信していただけるようにすることで責任を果たしていきたいと思います。
今年は、例年に増して、年末商戦の比重が高まりそうですが、これについては後ほど、データもふまえてご説明いたします。
今日、本題に入る前に、ひとつお話ししたいことがあります。

 


それは、当社の情報発信のあり方について、今、任天堂が考えていることをお伝えしておきたいということです。
私が、E3やニンテンドーカンファレンスなどの発表機会に加えて、決算説明時にプレゼンテーションを行い、それをその日の夜までにホームページを通じて動画とテキストで発信し、少し遅れて質疑応答をテキストで掲載するようになってかなりの時間が経ちます。投資家のみなさまに情報をお届けするこの機会は、同時に、私たちのお客様に新しい情報を伝える機会でもありましたし、開示姿勢としてご評価いただいている手応えも感じてきました。
しかし、その一方で、投資家のみなさまが聞きたいと思っておられる情報と、私たちの製品のお客様、特にゲームファンのみなさんが聞きたいと思っておられる情報には、重なりはあるものの、食い違いがあることも同時に感じていました。
同時に、Twitterなどに代表されるソーシャルメディアの普及により、情報の伝わり方と速度が大きく変わり、この場での発言が思いもよらない歪んだ形で広まってしまうことも何度か経験しました。
そんな状況の中で、先月、ニンテンドー3DSカンファレンスを、国内のイベントとしては初めて、インターネットで生中継しましたが、平日の昼間にもかかわらず、大変多くの方にご覧いただき、大きな反響をいただきました。特に、日本国内では、このカンファレンス後に、新しいソフトが発売されたわけではないのに、ニンテンドー3DSハードの販売が伸びるなど、お客様に適切な情報を直接お伝えできたことで、3DSプラットフォームに対する期待を高めていただくことができたという手応えがありました。
この結果をふまえて、私は、インターネットで直接多くのお客様にメッセージをお伝えできる時代が来ていて、その体験がソーシャルメディアを通じて直接ご覧にならなかった方々にも広がっていく可能性があること、そして、以前から考えていたとおり、「投資家のみなさまへの情報発信」と「お客様への製品に関する情報発信」は明確に分けるべきではないか、ということを確信するようになりました。
その結果生まれたのが、ちょうど1週間前に行った、

 


Nintendo Directです。これは、任天堂のゲームに関する新しい情報を、インターネット中継をご覧の、ゲームファンのみなさんに直接お届けする新しい試みとして行ったものです。
お客様をお招きして開くイベントであれば、昼間の時間帯に行うことが通常ですが、Nintendo Directは、インターネット中継をご覧のみなさんに直接お届けすることのみを目的にしていましたから、2日前にTwitterの任天堂公式アカウントとホームページでお知らせした上で、多くの方にインターネット中継を見ていただきやすい、午後8時から録画中継をいたしました。
ご覧いただく方に合わせて、より内容を充実させることができるという手応えははっきりとつかめましたので、今後、決算説明会の場では、投資家のみなさまによりフォーカスした内容として構成し、お客様に向けての情報は、今日のような機会と分けて、発信していきたいと考えています。

 


また、これまで、決算説明会のプレゼンテーションの内容は、その日の夜までに動画とテキストでHP(ホームページ)に掲載することで発信してきましたが、即時性とグローバル性を重視するため、この場でのプレゼンテーション終了後、直ちにプレゼンテーションのスライドとテキストを日本語と英語でホームページに掲載することにいたしました。また、動画については、お客様に向けて発信する新規の製品情報がこの場で扱われなくなることで、動画でなければ伝わらない情報がほとんどなくなりますので、今後は、テキストでの発信の速報性により力を入れていきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
また、質疑応答については、その概要を、これまで通り少しお時間をいただいて、テキストにてホームページに掲載いたします。

 


さて、それではまず、世界のゲーム市場の現状について、日本、アメリカ、ヨーロッパの順にお話ししたいと思います。

 


最初に、日本の市場についてお話しします。

 


これが、日本の先週までのソフト販売上位20位までのヒットチャートです。
ニンテンドーDSのタイトルが1タイトル、Wiiが5タイトル、ニンテンドー3DSが2タイトルの合計8タイトルが含まれており、このうちWiiの3タイトルは、昨年以前に発売されたロングセラー・タイトルです。しかし、昨年の同時期、任天堂プラットフォームのタイトルは同じチャートの中に13タイトルありましたので、今年、これまで、任天堂が市場を牽引するような有力タイトルをタイムリーにリリースすることができず、日本の市場での任天堂プラットフォームの存在感が低下してしまいました。

 


これは、メディアクリエイトさんのデータに基づく、日本市場の据置型ハードの販売状況を示すグラフです。
今年は、日本のゲーム市場全体で、年の前半には大きなヒットタイトルがなく、特に、Wiiは7月に『みんなのリズム天国』が発売されるまでは、新規のタイトルが極端に少なくなってしまいましたので、年の前半には勢いが一度失われてしまいました。直近では、Wiiは昨年並みの水準となっていますが、このような水準の販売状況から、

 


昨年は「集まればWii」のプロモーションの効果もあって、ご覧のように、年末に販売が大きく盛り上がりました。
今年は、『JUST DANCE Wii』、『星のカービィ Wii』、『ポケパーク2 〜Beyond the World(ビヨンド・ザ・ワールド)〜』、『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』、『マリオ&ソニック AT ロンドンオリンピックTM』など、年末商戦期に有力タイトルが揃っていますので、これから日本の据置市場も盛り上げていきたいと思います。

 


続いて、携帯型の市場についてお話しします。
こちらは、日本の携帯型ハードの販売状況の推移です。
今年2月にニンテンドー3DSが発売されましたし、日本は世界でも最も早く新しい商品に向けて需要がシフトしやすい市場でもあるため、ニンテンドーDSは、前年に対して大きく減少しています。その一方で、ソニーさんのPSPは、前年の販売水準をほぼ維持しています。
ニンテンドー3DSは、発売時には大きな盛り上がりがありましたが、発売後は、期待に添った販売推移とならず、本体価格の値下げをいたしました。値下げ後は、好調に販売を伸ばし、また、値下げ効果が一服するタイミングで行った、9月13日のニンテンドー3DSカンファレンスで販売が再び上昇に転ずるなど、11月以降、続々と登場する有力タイトルの発売に向けて、ハード販売が先行する状況となっています。
また、ちょうど先週は、ピンク色のハードが新しく発売されたことや、Nintendo Directなどの反響によって、通常であればハード販売が減少する給料日前の週にハードの販売が伸びて週販7万台を超えるなど、来週の『スーパーマリオ 3Dランド』の発売に向けて、販売が加速してきました。

 


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