これは、 昨年のアメリカのソフト販売上位20位までのヒットチャートです。
昨年、アメリカは、主要三地域の中で、任天堂プラットフォームが最も振るわなかった市場になりました。今回の業績予想の見直しも、アメリカでの伸び悩みが大きな要因になっています。
任天堂プラットフォームのタイトルは5タイトルのみとなり、ニンテンドー3DSについては、2012年発売のソフトの中で、ここに含まれているのは、10位の『New スーパーマリオブラザーズ 2』のみと、日本と大きく状況が異なります。
任天堂のホームコンソール型自社ソフトを1タイトルもランクインさせることができなかったことも含めて、ヒットソフトで牽引するゲームビジネスにおいて、アメリカでは良い流れがつくれなかったというのが、2012年でした。
これは、ホームコンソール型ハードがアメリカ市場で毎月どのように売れているか、1週間あたりの数値にして比較したグラフです。以前から繰り返しお話ししていますが、アメリカでは、第三者集計機関のNPDは月に一度しかデータを出しませんし、4週間で1か月と扱う月と、5週間で1か月と扱う月があるので、1週間ごとの平均にすることで推移を見ているものです。
濃い色が2012年、薄い色が2011年です。
各社のプラットフォームが製品サイクルの末期になり、2012年は、1年を通じ、前年対比大きなマイナスで推移しました。また、毎年年末には大きな存在感を見せてきたWiiですが、昨年2012年にはWii Uの発売と共にアテンションが分散したこともあり、大きな盛り上がりをつくれませんでした。WiiとWii Uを合計すれば、年末商戦はほぼ前年並みの台数、金額ではWii Uは単価がWiiよりも高いので、売上は前年より伸びたと言えるのですが、決して私たちの事前の想定どおりには推移しませんでした。
また、他社さんも、年末にはかなりアグレッシブに値引きやおまけソフトをバンドルする店頭での販売促進活動を展開していたにもかかわらず、台数は前年を大きく下回っており、業界全体が新たな提案を求められている状況です。
こちらは、携帯型ハードがアメリカ市場で毎月どのように売れているか、NPDのデータを元に、1週間あたりの数値にして比較したグラフです。
アメリカでは、ニンテンドーDSの存在感もまだ大きく、ニンテンドー3DSは、8月のニンテンドー3DS XLと『New スーパーマリオブラザーズ 2』である程度勢いは得たのですが、その後の伸びは十分ではなく、最も売れている携帯ゲーム機にはなったものの、年間台数で前年実績を割り込み、市場規模が日本より遙かに大きなアメリカ市場で、日本の台数を下回る推移となりました。
これは、アメリカのハード市場全体の過去3年間の推移です。
アメリカは、例年日本の約2.5倍のハードが売れる大きなマーケットですが、昨年は、ハード市場全体が前年対比27%減となり、日本の約2倍の台数になりました。
任天堂がゲーム機を年間で最も多い台数売っている会社であることは変わらなかったものの、決定的なヒットソフト不在により、ハードの販売台数は約850万台となり、依然としてゲーム機メーカーとしては最大の販売数ではあるのですが、過去9年連続していた年間1000万台以上のハード販売を割り込んでしまいました。
こちらは、アメリカのソフト市場全体の過去3年間の推移です。
昨年は、ソフト市場全体が前年対比23%減となりました。
この減少は、デジタル配信への移行によるものも影響していますが、各社のプラットフォームでソフト販売は減少傾向にあり、特に、任天堂プラットフォームに市場にインパクトを与えるヒットソフトが出せなかったことが要因と考えています。
最後に、ヨーロッパの市場についてお話しします。
ヨーロッパについては、各国でかなり状況も異なりますので、先に全体をご説明してから、個別の話をしたいと思います。
これは、ヨーロッパのホームコンソール型ハードの販売推移です。ヨーロッパ各国の調査会社さんが発行するデータを元に、任天堂でヨーロッパ全体の販売数を推定したものです。
2011年には、12月にはヨーロッパ全体でWiiは最も売れたホームコンソールゲーム機として存在感を見せていたのですが、昨年2012年において、Wiiは大きな存在感を示すことができず、また、他社さんのハードも、非常にアグレッシブな値引きやソフトバンドルなどを行う店頭での販売促進活動を行っていたにもかかわらず、前年を大きく割り込む結果となりました。
昨年は、任天堂プラットフォームに限らず、盛り上がりが遅く、ピークの低い年末商戦でした。
また、新しく発売されたWii Uも、世界各地の中で最も早く勢いを失ってしまう結果になりました。
こちらは、ヨーロッパの携帯型ハードの販売推移です。
携帯型ハードの中で、ニンテンドー3DSは相対的には存在感がありますが、盛り上がりが遅く、ピークが低いという傾向は、ホームコンソール型の傾向と同じです。ピーク時にも任天堂の携帯型ゲームハードの週間販売数が30万台に届かない、というのは、私自身、このようにデータをみなさんにご説明するようになって初めてのことでした。
ご覧いただくとおわかりのように第46週くらいまでは、ほぼ前年に沿った推移をしていましたので、悪くても、前年並みの推移とすべくいろいろな店頭での販売促進活動を準備していたのですが、11月下旬以降の推移が期待どおりになりませんでした。
これは、ヨーロッパの主要4か国のハード市場の過去3年間の推移です。ヨーロッパ全体の傾向を見るため、イギリス・ドイツ・フランス・スペインの4か国の集計で示したものです。
昨年のヨーロッパでは、ハード全体の台数も約24%減と大きく減少しました。
アメリカとの違いは、後にくわしくお話ししますが、特にドイツ・フランスでニンテンドー3DSが好調に推移したことで、3DSの年間販売台数が既存プラットフォームとして唯一、前年を上回っていることです。
こちらは、ヨーロッパ主要4か国のソフト市場における販売本数の推移です。
前年の2011年には、携帯型ソフト販売本数の減少が目立っていましたが、昨年2012年には、アメリカと同じように、ソフトの販売本数全体の減少が目立っています。
ここからは、主要4か国について、ソフトのヒットチャートで傾向の違いをお話しします。