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2014年1月30日(木) 経営方針説明会 / 第3四半期決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡

また、Wii U GamePadには、現在、ゲーム専用機プラットフォームとしては唯一となるNFCリーダーライター機能が搭載されています。すでに『ポケモンスクランブルU』という対応ソフトも登場していますが、これまでのWii Uは、せっかくNFCリーダーライター機能を標準搭載しながら、NFC機能のポテンシャルを十分に活用できていない状態にありました。
今年は、以前にご紹介しているJR東日本株式会社様のSuicaを用いた決済機能の実現も含め、複数の提案を用意して、このNFC機能を徹底活用していきます。具体的にNFC機能を活用する提案については、6月にロサンゼルスで開催されるE3でお目にかける予定です。
また、Wii U GamePadのひとつの大きなメリットは、テレビを占有することなく、手軽にゲームを楽しんでいただけることにあり、この点ではご評価もいただいているのですが、残念ながら、Wii Uは、起動してゲームを選択するまでに20秒以上の時間がかかってしまうために、手軽さが大きく損なわれているという現状があります。


この課題に対応するため、初夏に予定している本体更新で、Wii U GamePadで高速起動メニューを実現します。
現在この機能は制作途中で、まだ実機デモはできませんが、どういうことが実現できるかをご説明するための動画をつくりましたので、ご覧ください。


今回実現する高速起動メニューは、直近に使ったいくつかのソフトの中から、本体メニューを介することなくソフトを起動できるようにする機能です。Wii U GamePadでは、発売時からTVボタンを押すとテレビリモコン機能が利用できるようになっていますが、この機能はGamePad側だけで動作しているため、本体起動を待たずにほぼ瞬時にアクセスできます。今回の高速起動メニューも同じ原理で動作しています。
この機能が実現されることで、Wii Uでゲームを起動していただくのに必要な時間は、体感として半分以下にすることができますし、GamePadのメリットをより多くのお客様に実感していただくことにもつながると考えています。
また、これに加えて、GamePadを活かすという観点で、昨年からずっと研究・開発を続けてきたテーマで、少し時間がかかってしまったのですが、


ニンテンドーDSのバーチャルコンソールを実現するための技術的なハードルを解決する目処もつきました。
2画面とタッチスクリーンを特徴とするニンテンドーDSには、非常に豊富なソフトウェアラインナップがありますので、今後のバーチャルコンソールのラインナップには、ニンテンドーDSのタイトルも順次加えていく予定です。


これまでお話ししてきたように、今年は、Wii U GamePadの存在意義を高めるということを、Wii U活性化のために重点的に取り組んでいきます。


また、各タイトルの具体的な展開予定や、今後の新たなタイトルの投入については、ニンテンドーダイレクトなどの機会を通じてお伝えしていきますが、今年Wii Uの軸となる『マリオカート8』は、決算説明会参考資料の6ページでは2014年春発売と記載されておりますが、発売を全世界で5月にすることに決定しました。ここで大きな盛り上がりをつくるべく、『マリオカート8』発売が単発のイベントにならないようにしたいと考えています。


一方、ニンテンドー3DSは、Wii Uとは大きく状況が異なります。ニンテンドー3DSは、私達が目指していた海外市場での年末商戦における爆発的な伸びは実現できなかったものの、昨年1年間で世界中で最も多く販売されたゲーム機であることは揺るぎない事実です。
特に国内市場では、暦年の販売台数は490万台あまりと、目安としていた500万台には僅かに届きませんでしたが、以前にもご説明したとおり、ゲーム業界の歴史を振り返っても、ニンテンドーDSとニンテンドー3DSを除けば、2000年以降のあらゆるゲーム機ハードのピーク時の年間販売台数が400万台に届いていないことを考慮しますと、昨年のニンテンドー3DSの販売台数も、非常に高い水準を維持しています。また、アメリカでは、第三者集計機関のNPDの発表しているデータで、ニンテンドー3DSは、暦年の販売台数で、全ゲームプラットフォームの中でトップシェアになり、累計では1150万台を超えています。


全世界での販売台数も、出荷では4274万台と、プラットフォームビジネスを展開するための十分な規模に到達しました。
このことを象徴するひとつのできごととしては、スマートデバイス上のゲームとして全く異なるビジネスモデルで成功された『パズドラ』が、ニンテンドー3DSのパッケージソフト『パズドラZ』として登場し、発売1か月を待たず、ミリオンセラーになったということがあります。やはりスマートデバイス上で成功した『アングリーバード』が、アクティビジョンさんから3DS向けのパッケージソフト『ANGRY BIRDS TRILOGY』として一昨年の年末に発売され、短期に50万本以上が売れたときにも業界のみなさんが驚かれていましたが、『パズドラZ』のヒットを経て、これまでとは異なり、家庭用ゲーム以外のプラットフォームで育ったタイトルをニンテンドー3DSに投入するご相談も多くいただくようになってきました。このように、すでにニンテンドー3DSは、家庭用ゲーム育ちのタイトルばかりではなく、他のプラットフォームで育ったタイトルに対しても、ビジネスの展開が十分可能な規模に到達しています。
これからのソフト展開と共に、今年、来年と、ニンテンドー3DSを本格的な収穫期にすることを目指していきます。


次に、中長期の展望についてお話ししたいと思います。


まず、最初に「プラットフォームの定義を変える」ということについてお話ししたいと思います。
この取り組みは、中期的に実現することで、今年直ちに全てが実現できることではありませんが、ビデオゲーム専用機プラットフォームが昨今の急激な環境変化に対応し、今後健全なビジネスを展開できるようにするために、非常に重要になるポイントであると考えています。
これまでのゲームプラットフォームの定義は、ゲーム専用機のハードと強く結びついており、プラットフォームというのは、ゲーム機ハード、すなわち物理的なデバイスのことを指していたと申し上げても差し支えないと思います。



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