株主・投資家向け情報 > 株式情報 > 株主総会 > 第74期 定時株主総会 質疑応答

株主・投資家向け情報

2014年6月27日(金) 第74期 定時株主総会
質疑応答
Q 11  ここ1、2年についてはWii Uとニンテンドー3DSで(業績を)立て直す計画だということはわかるが、長期的に見たときに、私はゲームが好きだし、任天堂にはこれからもゲームビジネスをやってもらいたいのだが、もしかすると健康器具のメーカーになってしまうのではないかという不安が私にはある。私は当社株を10年程度長期保有したいので、ゲームファンが納得できる10年後のゲームの明るい夢といったものを聞かせてほしい。ハードウェアとソフトウェアを一体化したビジネスには終わりが来るような気が私にはするのだが、このまま続けていくのか。そうすると次のハードウェアで失敗すると大変なことになるという心配も出てくるので、特に宮本専務から将来の夢をお聞かせ願いたい。
A 11

宮本:

 ゲームの未来に期待していただいてありがとうございます。先ほどの株主様からのご質問とも関連しますが、このようなゲームに関するご質問は当社の経営と関係がないわけではないと思っています。というのは、エンターテインメントの企業というのは、収益性を上げるということが問題解決の本質ではなく、「大きな売上をどのようにして維持していくか」、「10年後にどうつないでいくか」ということが非常に重要だからです。当社は浮き沈みがもともと激しい娯楽のビジネスを行っており、私が30年以上前に入社したときにはまだ会社に大きな借入金がありました。そして今、現在の当社の資金力は、過剰であると言われることもありますが、我々が新しいことにチャレンジする上で非常に重要なものだと考えています。ただ今ご質問いただいた株主様には申し訳ございませんが、10年後に何がどうなるのかということを私は申しあげられません。別の株主様から先ほどお話がございましたように、当社の一番安かったハードウェアよりも安い「スマートフォンのお下がり」というものが(ゲームが遊べるハードとして)出てしまったことに対して、恐怖は感じております。ただ、それが(ゲームの未来の)すべてになってしまうとは私は考えておりません。効率よく利益を上げることも大切ですが、例えば任天堂は、お子様方がネットワークとつながったときの安全性といった面に真剣に取り組む会社であり続けるべきだと思いますし、お子様方がそういったメディアを使いこなしていく中で、今後ますますそうした媒体は一般に広がっていきますので、「そのような技術を使った新しい娯楽のスタイルを任天堂の土壌の中でどのように展開していけるか」、そして「そこからどのように大きな売上の数字につなぎ、利益を上げていくのか」ということが当社にとって最も大切なことだと考えます。もちろん、当社は採算性を上げる努力も常に行っており、例えば、先日のE3でも、過去に比べるとかなりコストを抑える一方で、以前より多い(ホームページの)ページビューを確保するなど、(採算性向上に)取り組んでおります。

 (ご質問の)「10年後」については、これまでも新しい娯楽というのは常に生まれてきましたので、私はどちらかというと何とかなると思っています。そして、「何とかなる」ためには、今自分たちが何とかしなくてはいけないという緊張感を持って取り組む姿勢が必要です。社内では今ものすごく緊張感が高まっていますので、期待してお待ちください。ゲームの楽しさというものは時代の流行ではなく、やはり人間は動物(の本能)としてゲームが好きなのだと思います。また新しい商品をつくって世の中をあっと言わせていきたいと思います。

竹田:

 私からも少し補足させていただきます。当社は娯楽のビジネスをしており、生活必需品を扱っているわけではございません。ですので、浮き沈みは何回も経験しておりますし、その中で新しいこと、人々に驚いていただけることをずっとやってきました。「ハード・ソフト一体型のビジネス」という表現を使っておりますが、(詳細に言えば)ソフトウェア技術、ハードウェア技術、アイデア、芸術、音楽、グラフィックスやさらに心理学的な要素も合わせて商品をずっと作ってきています。ですから、「健康」と申しましてもただ単に健康になることを目指しているわけではなく、「健康のために自分自身を楽しく改善していく」ということを目指しており、これも娯楽の一つだと考えています。(株主様が心配されているような)いわゆる健康企業を目指すということではありませんので、ご理解ください。

Q 12  開発環境に関して、ホームコンソール型と携帯型の開発環境が統合されるのは非常に良いことだと思っている。統合されるということは結局、ソフトウェア開発のコストが非常に下がり、かつ高品質なものが提供される可能性があるので、高い利益を上げるためにも望ましいのではないかと考えている。一方で、サードパーティーのサポートが特に海外に対して弱いように思う。例えば、海外のサードパーティーの囲い込みというのがうまくいっていないように感じた。また、ウェブ技術でソフトを開発できるように「Nintendo Web Framework」を提供し、かなり力を注いでいるようだが、日本向けにはなかなかライセンスが提供されないという話を聞いた。任天堂は非常に強い企業だと思うが、サードパーティーをもっと囲い込むことでもっと大きな利益を上げられるのではないか。特にハードウェアの売上というのがかなり重要なファクターになると思うので、サードパーティーにいろいろ開発してもらうことで、上手に売上をあげる技術が必要ではないか。そのあたりの展望について聞かせてほしい。
A 12

竹田:

 (開発環境の統合に関しては)大変専門的なお話ですが、簡単に申しますと、任天堂プラットフォーム向けのゲームをつくるために「任天堂専用の開発ツールでつくるか」、「世の中にある標準の開発ツールを使ってパソコンだけでつくれるのか」というゲームソフトのつくり方に関するお話だと思います。ゲームソフトのコンテンツについて、私たちはユニークなものをつくるよう挑戦していきたいのですが、開発ツールとしては統合されて一つになっていく方が効率がよいと思いますので、当社もいわゆる「ネイティブ」といわれる独自の開発ツールから、できる限り標準の開発ツールのほうに向かっていく努力をしています。

取締役・業務本部長 田中 晋:

 サードパーティーに対する取り組みについてですが現在、日米欧で私たちのニンテンドー3DSおよびWii Uのソフト開発をしていただいているソフトメーカーさんの数は、アメリカでニンテンドー3DSが約40社、Wii Uが約20社、それからヨーロッパでも同じぐらいの数のソフトメーカーさんに契約していただいています。これにダウンロードソフトを開発されているソフトメーカーさんを合わせますと、アメリカでニンテンドー3DSが約130社、Wii Uが約200社、ヨーロッパではニンテンドー3DSが約160社、Wii Uが115社程度、日本ではニンテンドー3DSが約140社、Wii Uが35社程度と、かなり多くのソフトメーカーさんに興味を持って開発をしていただいています。ニンテンドー3DSに関しましては、日本では昨年末からソフトメーカーさんのタイトルにもミリオンセラータイトルが出ていまして、タイトル数もかなり増えてきています。海外のほうではまだ目立ったヒット作がないためタイトル数が少ないように思われるかもしれませんが、数では日本よりも多く出ています。これはパッケージ版だけを見てもそのような状況になっています。
 確かに、Wii Uについては、今までタイトル数がまだ少なく、ソフトメーカーさんのタイトルにビッグヒットも出ていないという状況は事実ですが、これは先ほどからのお話にも出ておりますとおり、まだハードの普及が期待したほど進んでいないという状況があり、ソフトメーカーさんもWii Uへの開発に若干慎重になられているという事情がございます。ですから、ソフトメーカーさんにWii U向けにどんどん開発していただくためにも、当社が自社タイトルでハードをさらに普及をさせて、安心して参入していただけるようにこれからも努力をしていきたいと考えています。

 それから、ニンテンドー3DSに関しましては、日本を中心にかなりハードの普及が進んでおり、活発にソフト開発を行っていただいています。昨今では、(ソフトメーカーさんの)スマートデバイス向けのアプリがニンテンドー3DS向けに発売され、販売本数が100万本を超えているタイトルもあります。この状況をご覧になったアプリの開発者の方が、ニンテンドー3DS向けの開発を積極的に考えていただいている状況です。当社もスマートデバイスでどのようなアプリが人気になっているのかということを先取りして、ニンテンドー3DSのソフトを充実させていく努力もしていますので、今後とも楽しみにお待ちいただければと思います。

Q 13  私は昨年初めて株主になった者だが、ちょっとびっくりしたことがある。と言うのも、任天堂の株式について、岩田社長だけが6700株を持っておられる。竹田議長は200株で、以下、(経営陣は)100株、200株保有だが、それでは一段と力の入った会社の経営はしにくく、簡単なサラリーマンのような気持ちで勤めているように思う。もう少し力を出して、保有株式を増やしてもらうようにはいかないか。
A 13

竹田:

 私たち経営陣は、自社株の保有数と、経営に対する熱意や力というものは関係ないと考えています。今期、経営状態を改善させ、黒字にするという決意は、持ち株数とはまったく関係がないと考えていますのでご理解願いたいと思います。ただ、貴重なご意見ですので、参考にさせていただきたいと思います。

Q 14  (第74期定時株主総会招集ご通知の)「対処すべき課題」という項目に「当社が保有するキャラクターをより積極的に活用し、当社キャラクターをビデオゲーム以外の場でも、より多くの人の目に触れるようにすることとともに、キャラクターライセンスビジネスから一定の収益を得る」とあるが、具体的にはどういったことを行っていくのか。また、どれぐらいの収益を見込んでいるのか。
A 14

竹田:

 「任天堂の持っているキャラクターをどのように活用していくか」、「それをどのように収益につなげていくか」というご質問に対して、高橋からお答えします。

高橋:

 キャラクターIPの活用に関しまして、いくつかある中の直近の話としましては、NFC機能を埋め込んだ任天堂キャラクターのフィギュアである『amiibo』を年末から展開する予定です。これは『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』に対応予定で、来年には(他のWii Uソフトや)ニンテンドー3DSでも対応していく予定です。
 なお、収益に関しましては、まだいろいろと不確定な要素があり、具体的な数値を出しにくい状況ですので、控えさせていただきたいと思います。

竹田:

 (当社が保有するキャラクターを自社でより積極的に活用する例として、)第1弾が『amiibo』という商品で、任天堂のキャラクターをフィギュアにして商品化したものです。ちなみに『amiibo』という名称には、「ami(友)」という意味を込めております。収益に関しましては未定というご説明にさせていただきます。

Q 15  任天堂の公式サイトで時々更新していた「社長が訊く」というコーナーが好きだった。最近は岩田社長の健康上の理由で途絶えているのはわかるが、それ以前から更新が少なくなっているのはなぜか。
A 15

大和:

 私たちの商品を幅広く認知していただくための一つの手段としてホームページを活用しています。私たちはこの先も、独自にお客様に対して直接情報発信を行っていきますが、その他にも「お取引をいただいている流通パートナー様、開発パートナー様など、多方面の方々とさまざまな協力体制をつくって、自分たちのつくった製品をできる限り多くのお客様にご理解をいただく」という取り組みも考えています。E3では多方面の方々に幅広く私たちから直接情報発信させていただきましたが、今後も、さまざまな媒体を使って(一人でも多くの)お客様に情報をお届けすることについて日々研究を進めてまいりますので、この先も、さまざまなご提案をさせていただけると思いますので、よろしくお願いいたします。

竹田:

 「社長が訊く」に関して岩田の健康上の理由との関連でご質問いただきましたので、岩田の近況について少しコメントさせていただきます。皆様にはお気遣いいただきましてありがとうございます。本日(岩田)は株主総会に出席できませんでしたが、実際はもう私とも電子メールで連絡を取っており、業務上の決裁を含めたやり取りをすでに行っています。今の時点ではそれ以上のことは申しあげられませんが、6月24日に株主の皆様に対してメッセージを発信させていただいてから、世界中の多くの方々からソーシャルメディアなどを通じてお見舞いのメッセージをたくさんいただいており、本人も大変感謝しています。私たちは、岩田の復帰を待って、これからも新しい「社長が訊く」のコーナーをみなさんに提供していける日が来ると思っています。

宮本:

 「社長が訊く」をご覧いただきありがとうございます。「社長が訊く」の頻度が減っているのは、岩田の体調とはまったく関係ございません。これについては半年以上前から「社長が訊く」を通じてどの程度お客様に直接情報をお届けできているかについて、情報発信のあり方を検討しており、任天堂はもっと大勢の方にさまざまな方法でPRをしていくべきではないかということを考え、「社長が訊く」の露出を少し下げているのが実態です。今後は大和が申しあげましたとおり、お客様とさまざまな方法で幅広いコミュニケーションを目指していきたいと考えています。


このページの一番上へ