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2014年6月27日(金) 第74期 定時株主総会
質疑応答
Q 6  中国市場は新しいフロンティアになると思うが、任天堂はどのように取り組んでいくのか。
A 6

取締役・営業本部長 大和 聡:

 中国ビジネスに関しましては、当社はiQueという別ブランドでニンテンドー3DSを中心にビジネス展開をしております。昨年の9月、上海に自由貿易試験区というものが設立され、ゲーム機ビジネスが開放されるという件につきましては、当社が日本、米国、欧州で行っているビジネスモデルが通用するのかどうかを含めて現在研究中です。今後、続報が出せると思いますので、それまでお待ちいただきたいと思います。

竹田:

 なお、中国市場に関しまして、何か新しい発表を行う場合は、中国現地から発表するというスタイルをとりたいと思います。

Q 7  Wii Uのソフトウェアラインナップについて質問したい。Wiiのときは『ゼノブレイド』や『斬撃のレギンレイヴ』といった、リビングでみんなで楽しむというよりもむしろ一人でのめり込むようなタイプのゲームがいくつか続けて出ていたが、Wii Uになってからはそういったゲームがまったく出ていない。Wii Uで方針が変わったのか。
 一人でのめり込むタイプのゲームについては、『ゼノブレイド』の続編や『ベヨネッタ2』が予定されているが、Wii Uが発売されてから2年経ってやっと出てくるわけであり、この期間の空き方について説明してほしい。
 先ほど宮本専務から「オープンワールド」といった一般的な言葉でゲームをくくるのは好きではないという話があったが、これは、任天堂の強みでもあり、逆に弱点でもあるのではないかと思う。ゲームのタイトルや画面を少し見ただけでは、どんなゲームかまったくわからないので買いづらいが、例えば「オープンワールド」という言葉を使えば、ほかの「オープンワールド」と呼ばれるゲームが楽しければきっとこれも楽しいのではないかという安心感があり、買いやすい。今後、一人でのめり込むタイプのゲームをつくっていくのであれば、そういった安心感をどうやってアピールしていくつもりなのか。
A 7

竹田:

 少し多岐にわたるご質問ですので、まずは開発の方から少しお答えして、あとはマーケティングでございますので、営業的な方からという形でご説明させていただきたいと思います。まず高橋の方から。

高橋:

 いわゆるゲーム熟練者向きのタイトルがWii Uに関しては出るのが遅かったことについてのご質問ですが、おっしゃるとおりです。しかし今回のE3では、モノリスソフトの高橋哲哉さんが中心になってつくっている『XenobladeX(ゼノブレイドクロス)』を発表しました。本作は、Wiiの『ゼノブレイド』の続編というよりは、『ゼノブレイド』シリーズの一つとしてとらえていただければと思います。またこのソフトについてはこれからさまざまな形で具体的な内容をお伝えしていきたいと思っています。
 もう一つ『Devil’s Third(仮称)』というヴァルハラゲームスタジオの板垣伴信さんが中心となってつくっておられるソフトも発表しました。これらのソフトが発表されるのが少し遅れた感はありますが、これからはこのようなソフトについても、楽しんでいただけるようにしていきたいと思っています。

宮本:

 先ほどの私の発言に対してご意見をいただきましたので、一言言い訳をさせてください。(Wii U向けの新しい『ゼルダの伝説』に関して)「オープンワールド」という言葉を私があえて使ったのは、株主様からもご指摘があったとおり、そう申しあげたほうが(お客様に)理解していただきやすいと考えたからです。ただ、「開発内部での議論においては、一般的に使われている言葉を多用して開発することは、(新しい驚きのあるものをつくっていく上では)私は好きではない」という意味で申しあげましたことを、ご理解いただきたいと思います。

 マイクロソフトさんやソニーさんのゲーム機向けに(ゲーム熟練者向けのソフトを)開発されているソフトメーカーさんも、いろいろと実は苦労されていると思います。現在のシェーダーという技術を使った高性能のグラフィックスというのは、開発チームがそれに慣れるのに1年かかり、そこからゲームを作り上げるのにさらに2倍、3倍の時間と人件費がかかります。一説には、(予算が)百億円を超え、採算性が危惧されるプロジェクトもあるようで、(売上ランキングの)ベストテンに入るくらいのゲームでなければほとんど生き残れないという過酷な世界でもあります。

 ただ、任天堂がそれに取り組まないと申しあげているわけではございません。先ほど高橋が申しあげました当社の子会社であるモノリスソフトではさまざまな取り組みをしておりますし、プラチナゲームズさんも『ベヨネッタ』シリーズを2作発表されました。準備に時間がかかりましたが、Wii Uにふさわしいクオリティのソフトがつくれるようになりましたので、これからは順次発売していきたいと思います。

大和:

 先ほど高橋と宮本が申しておりましたような新作が世に出せるようになっても、我々がしっかり市場に押し出していかなければ多くの販売にはつながりませんので、現在の当社の営業の考え方について少しお話しさせていただこうと思います。

 ここ数年、余暇の過ごし方についてお客様の選択肢が極めて多くなりましたので、過去に比べて当社の商品が皆様の欲しいものリストの上位にランクされにくい状況になってきています。また、お客様が自分たちの欲しいものについての情報を入手する手段も、以前はテレビ宣伝、新聞の折り込みチラシや(店頭などでの)宣伝広告が主流で、当社もそのような媒体を通じて情報を発信しておりました。しかし、そういった情報の流れ方もここ数年で激変しているにもかかわらず、当社はその変化に十分ついていけていないのではないかと私は危惧しております。

 先ほど「任天堂はスマートデバイスと今後どう向き合っていくのか」というご質問に対して、開発側の考えはお答えさせていただきました。営業部門としましても、スマートデバイスやSNSも活用して、新作タイトルやそのアピールポイントについて、しっかり宣伝やキャンペーンを行い、情報をお客様にお届けしたいと思っています。その結果として、それらのソフトを今まで以上にしっかり吟味していただいて、売上につなげていくということを、できるだけ早く、前向きにチャレンジしていきたいと考えています。

Q 8  ハードウェアについてお聞きしたい。私自身はソフトウェア側の人間なのだが、任天堂のハードウェアは、ニンテンドーゲームキューブやニンテンドーDSの頃から、「ゲームをつくりやすいハード」ということに大きな努力が注がれているように思う。また、今回のE3の『ゼルダの伝説』の映像や先般発売された『マリオカート8』の映像を見ても、秒間60フレームで非常にきれいに動いていて、Wii Uはものすごくよいハードウェアになっていると私は感じている。新しい技術に対応するソフト開発費に関するコメントが先ほど宮本専務からあったが、今回のWii Uのハードは竹田専務にとって、ゲームをつくるためのハードという観点から、どれぐらい自信を持って完成できたのかという意気込みと、今後自社プラットフォームを展開していくうえでどれぐらい武器として活かせていけそうか、お気持ちを聞かせてほしい。
A 8

竹田:

 Wii Uの設計に関して、私が一番辛かったと感じた点を特に申しあげますと、「高解像度にすることは当たり前で、それが特色にはならない」ということです。それに付け加えて、「『Wii U GamePad』という新しいものを提供し、それをどのようにうまく活かすか」という部分で、今まだ苦労しています。当然ながら、Wii Uにおきましても、ニンテンドーゲームキューブ時代から培っている「大容量ではないがピリっとしたメモリ等の効率の良さ」ということは追求しているつもりです。それは当社のDNAとしてずっと活かされていると思っています。任天堂の持つこのような「人と違うことをやりながらお客様に楽しい驚きを提供する」というDNAは、若い世代の開発スタッフにも伝えて、これからもずっと提供し続けていきたいと考えています。(このDNAが何に表れるのかは)ハードウェアなのかその他の技術なのか変わっていくと思いますが、このDNAをうまく伝えていきたいと思っています。

Q 9  私にはゲームのことは分からないので、岩田社長が「業績が悪かったら辞める」と言っていたにもかかわらず続けておられることに仰天したのに(※)、任天堂の株主総会では、いつもビデオゲームに関する話や、「ゲームはこうなるべき」という子供っぽい話が議論されることに私は憤りさえ感じている。
 株主総会は、キャピタルゲインや配当といった観点から経営に関して議論するために開いてほしいと思う。
昨年の株主総会の質疑応答をご確認ください。
A 9

竹田:

 大変厳しいご意見ですが、私たち経営陣としましては、今後ビジネスの勢いを回復させることこそが、何よりも私たちの責任のとり方だと考えています。今の株主様の貴重なご意見に対しまして、君島からお答えさせていただきます。

君島:

 株主総会は株主様と私たち経営陣との大事なコミュニケーションの場で、それぞれお持ちのご意見をおっしゃっていただいて、それに対して私たちがお答えして、会社そのものをどうこれから発展させていくかということについて議論していく場だと考えています。そういう意味では(経営の話をすることは)非常に大切なことですし、同時に、エンターテインメント企業である私たちの会社が「どういうエンターテインメントをご提供させていただいているのか」ということについて、ゲームの内容などを含めて株主様にご理解いただくことも非常に大事なことだと思います。そのため、今、株主様からお話がありましたように、経営のことについてきちんとお話しさせていただきますし、また、(他の)株主様からの「エンターテインメントとして、どういうことを具体的にやろうとしているのか」という質問に対しても、引き続きお話しさせていただいて、株主総会そのものを今後ともますます充実したものにさせていただきたいと考えています。引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

竹田:

 今の株主様のご意見は、貴重なご意見として参考にさせていただきます。

Q 10  経営そして営業活動の成果を表すのが営業損益であるが、その営業損益の段階で3期連続営業赤字を計上しているので、本来であれば私は経営陣の経営責任を問いたいところだが、今日は今期(75期)について、すでに3か月ほど経過しているが、業績の見通し、営業損益の段階でどのような予想を立てているのか、説明してほしい。
A 10

竹田:

 昨今の経営の不振に関しまして、株主の皆様方に大変ご心配をおかけしていますことを大変残念に思っております。「今期、どういう業績予想を立てているか」ということに関しまして、君島からお答えいたします。

君島:

 今期は、過去3期連続で営業損失を計上している状況から収益体質にもっていくべく、収支バランスの回復を最優先にして、増収増益を目指したいと考えています。具体的には、売上高は74期実績は5,717億円でしたが、これを5,900億円にし、営業利益は(74期実績の)464億円の営業損失を400億円の営業利益にしたいと考えています。ニンテンドー3DSは販売台数がすでに(全世界で)4,300万台を超えていますので、ソフトウェアを多く買っていただけるように多くのタイトルを今期も発売したいと考えています。またWii Uは、前期は(期初に)大きな販売数量計画を立てていましたが、実績は272万台という数字に終わりました。先ほど専務の宮本がご説明しましたとおり、Wii Uプラットフォームの活性化のために「Wii U GamePadの有用性をいかにしてお客様にご理解していただくか」ということに取り組み、新しい遊び方のご提案をさせていただきたいと思います。また、今期は『マリオカート8』や『大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii U』といった、私たちにとって大変心強いタイトルがありますので、それらのタイトルを中心に販売を増強していきたいと思います。
 今期の売上高は前期の5,717億円から5,900億円と、大きな増加を見込んでいませんが、営業利益は増収を見込んでいます。今期は収支バランスの回復を最優先にして、コスト面もきちんと管理していき、収益体質に早くもっていきたいと思います。現在のところはそれに向かって粛々と努力している状況です。

竹田:

 ただいまのご質問に対して、今期は営業黒字を確保するという業績予想を立て、それを達成できるように努力をしていきたいという回答でした。


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