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Q&A
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Q6
任天堂の業績を見ると、Wiiは、もっと攻撃的なプライスにもできたのではないかと思うが、2万5千円というプライスにした考え方を教えてほしい。また、ハード自体の採算は。

発売時にワールドワイドでどれくらいの数量が用意できるのか。その後の供給体制は。

DSは、発売の時にはそれほど勢いはなかったのが、翌年から一気に跳ね上がるという、今までにない普及の曲線を描いたと思うが、Wiiに関してはどのような曲線をイメージしているのか。
岩田
値段については、ま、いろんなことを考えています。そして、また自分たちが作りあげて最終的に総合的にできあがった魅力であったり、かかったコストであったり、様々なことを考えて、そして付けるわけです。2万5千円は当然大赤字ではありません。が、2万5千円だと、ものすごく儲かるのかといわれると、いや、やっぱり新しいゲーム機のハードというのは、ソフトを入れれば採算は取れますが、ソフトを入れないと最初は結構厳しいものですよ、というのが、現実です。もちろん、ハード単体が赤字なのか、赤字じゃないのか、赤字の幅はいくらなのか、というような話になっていくと、それは競争上の理由で申しあげられませんとしか言えないんですが、私たちがこの値段でかつ、私たち自身がソフトメーカーでもあるということを加えて考えると、これで十分収益に寄与できるだろうということで、この値段づけをいたしました。ちなみに、「ハードは最初は赤字で出すのが当たり前」というのはなんか変な議論ではありまして、そういうことを繰り返している業界は本当に健全でありうるのかというようにも思いますので、そのハードが赤字であるかどうかよりも、それは、あるべきペースでちゃんと普及するのかどうかということが重要だと思うんですね。ですから、私たちはあるべきペースで、普及するのに自分たちとしてベストだと思う値段、そしてプロモーションにものすごくコストが恐らくかかるであろう、それはだってゲームに興味のない人に最終的に届かなくてはいけないプロモーションをこれから任天堂はやらないといけないわけですね。無関心と闘うために。それを考えると、その予算も多く取らなくてはならない。いろんなことを考えて、この値段にいたしました。

ローンチの際の数量ですが、マーケットで極端な混乱があるようなことがあってもいけませんし、Wiiは今日現在、量産製造を始めておりますから、出す気になれば(発売日を)繰り上げることもできました。ただ、そのときに「ものすごく少ない数量で、ご迷惑をおかけしたのでは問題だろう」ということで、私たちは、むしろ、商戦期を逃さずしっかり出そうということで決めています。ただ、今日現在で輸送の段取りの問題も含めて、発売日に何台出すということを申しあげるのは早すぎますので、何かまた改めてそういうことを申しあげられる機会が来ればお話ししたいと思います。

最後に、DSの勢いが出てくるまでに一年くらいかかったということ、それはある意味ご指摘の通りかと思います。最初からDSは飛ぶように売れていたかと言われるとそうではなかったかも知れません。史上最速ペースだといって、あのグラフがいろんな過去のプラットフォームを突き抜けたのも1年近く経ってからのことでございます。何でこうなったかというと、それはゲーム人口拡大の私たちの努力が少しずつ実ってきてお客様にだんだん伝わってきたということではないかと思います。そもそも、ゲームに興味のない人は、ゲーム機のことを日ごろ考えていませんから、任天堂が鐘や太鼓をたたいてですね、笛を吹いて騒いでも、全く目に入んないんですね。私、男性なんでよく思いますけども、女性用化粧品の宣伝はどんなにされても、お姉さんがきれいかどうかは見ますけど、そこのブランドが何で、どういうベネフィットがあって、何と何のブランドはどういう関係なのか、ちっとも認識できません。で、ゲームをしない人にとってのゲームの広告も同じなので、恐らくものすごく時間が要るんですよ。で、今のDSが過去にない状況を作り出したのは、今までもともとゲームに興味があってゲームをされていた方が買ってくださるペースの上に、今までいなかったはずのお客さんが上乗せされているから、季節はずれの時期に、毎週15万台出しても全然足りませんというですね、これはご迷惑もおかけしているので、喜んでばかりもいられずに、反省もたくさんしているんですけれど、ただそういうことが起こるのは、そういうことがあったからです。ですから、そういう状況が作り出されて、広がるまでに時間が要るわけです。で、Wiiに関してはできることなら、それが一年後じゃなくて、発売直後からそうなって欲しいんですけれども、同じように恐らくちょっと時間は要るかも知れません。ただ、DSがそういうことを既に一回やりましたので、「前よりは短い時間でできるといいな」という、願望は持っております。
宮本
ソフト次第って言われているみたいで。やっぱり、本当にWiiを使いこなしたソフトが出てくるのに、確かに1年くらいかかるのかもわかりませんけど。今回のDSもシンプルなアイデアで作れますし、それから、ベテランの、あのスタッフがやれば、ゲームボーイアドバンスよりも早く作れます。ポリゴン能力とかがあるので、わりとゲームキューブで使っていたノウハウをそのまま使える、とかあったんですね。で、そういう意味では、今回も、非常にパワーは実はあるんですよ。ゲームキューブよりも。ですから、ゲームキューブベースの技術を使うとすごく、早くものが作れます。だから、アイデア一発でかなり決定的なソフトが出てくる可能性があります。その一つのソフトが市場をガラッと変えるということ、早く今日以外のソフトでも起こせるようにしたいと思います。ヘルスパックは一つの可能性かな、と思っています。
岩田
いやー、ヘルスパックは、すごい楽しみにしているんですよ。やっぱり、ゲーム機と、毎日体重を量ることが関係があるということは、なんかすごい今までと全く別のことで、ちょうど「脳を鍛えることはゲームじゃなかった。」、「犬を飼うことはゲームじゃなかった。」、「英語の勉強をすることはゲームじゃなかった。」って、かつては言われてきたのですけれども、全部今DSが、「それはゲームの一種かも知れないね。」、と言ってもらえるようにできたんですね。宮本が今度は、体重を量ることもゲームにしてくれると私は信じていますので。



Q7
今日のプレゼンはWiiが情報通信端末になったという印象がすごく深かった。
DSとWiiが渾然一体となって情報通信端末が、さらにモバイル通信端末という方に進化していくのかという印象を受けたが、その考え方について教えてほしい。

オンラインゲームが高度に進化し続けているが任天堂にとってコンペティターなのか。
岩田
確かに今日の発表の一面を、機能だけを例えば見て一面だけを切り出して、「私たちが何をしたいからこれを作ったのか」ということを純粋に切り捨ててしまいますと、任天堂は情報通信端末を作りにきたのっていう風な認識をお持ちになるかもしれません。ただ、私たちがしたいことは、「どうしたらゲームをやっていただける人が増えますか?」っていうことに尽きるんですよ。最後はやっぱり、画面の上でビデオゲームという、ずーっと積み重ねられてきた、人間がコンピュータに何かを入れるとコンピュータが何かを作って返してくれて、それが面白いということですね、そういうことを任天堂がやる上で、その部分でハード、ソフトを一体にして作って、世界一面白いものを作れる会社でありたいと思っているわけです。ですから、それを実現するために「どうしたら、そういうことに興味を持っていただける方は増えるだろうか?」、「どうしたらこのリモコンに毎日触ってくれる人は増えるだろうか?」っていうことを考えたときに、ああいうお天気だとかニュースっていう、あるいはインターネットっていう触るきっかけがあるものというのが有効に働くのではないかというポイントなんですね。ですから、私たちはDSとWiiを使って渾然一体となる情報通信端末を作ろうという野望は持っていませんし、また、僕らが作った様々なインタラクティブなエンターテインメントで、楽しんでもらえるお客様が1人でも増えたら、僕たちは幸せですし、僕たちの目的のゴールに近づいたということになるんですね。

それから、オンラインゲームがコンペティターになりうるのかという意味で、あらゆる娯楽はお客様の時間という限られたリソースを取り合うという意味ではコンペティターです。私たちはオンラインゲームがコンペティターというよりは、極端な話、面白いテレビの番組も映画のDVDも、小説も、音楽も、お客様の興味と時間を、エンターテインメントのために費やしていただけるお客様の有限の興味と時間を取り合っているわけで、そこは競争です。そこは競争ですが、一方で、相手を叩いたら自分が大きくなるものでもないだろうと思うんですね。それが、普通のビジネス戦争における競争との違いで、そうではなくて相手を叩いてどうこうではなくて、自分達にしかない娯楽、というのは飽きたらおしまい、飽きたら価値がないものですから、飽きられる前にもっと面白いことを考えて次を提案するっていうことで、1人でも興味を持っていただくお客さんが増えるっていうことが全てなんだと思うんですね。ですから、オンラインゲームに関してもオンラインゲームで感じる面白さ以上に、手軽で面白くて何か充実感のある、そういうインタラクティブな遊びを僕らが提案できるかどうかということにかかっているように思います。



Q8
任天堂の戦略が米国・欧州で認められてきたと言っていたが、サードパーティの推移や、作りたい、参加したいというメーカーの数が、DSの好調にあわせて、具体的にどういった形で増えてきたのか教えていただきたい。
岩田
(メーカーの)数で申しあげるよりもですね、例えば今まで任天堂の据え置き型ゲーム機の発売した年に、欧米の主要なパブリッシャーの方々からどれくらいソフトを供給していただけていたかと、そういう指標で申しあげる方が良いのではないか? と思うのですが。欧米の主要なパブリッシャーの方々が、 いや今までの任天堂のここ10年のゲーム機の中で、発売時に一番たくさんウチはソフトを出しましたよっていう事をですね、コメントをいただいているんですね。
それはそういうコメントが多分これからアメリカの方で行われるプレスイベントで出てくるはずですので、それを見ていただくのが一番説得力があるんじゃないかなというように思います。


米国任天堂によるプレスリリースより(抜粋)

 
「Wiiは今ゲームをされていない人、そしてたまにしかされない人達をインタラクティブエンターテインメントの世界に惹きつけると私は信じています。Wiiは幅広いユーザー層にとってゲームの世界への架け橋となる、楽しくて、簡単で、経済的なシステムです。EAはスーパーNES以降のどの任天堂ハードの発売時よりも大きな力でWiiをサポートしています。」
(エレクトロニックアーツ 会長兼CEO ラリー・プロスト氏)

「Wiiはプレイヤーとマシンのインタラクティブな関係を変革し、今までビデオゲームでは不可能だった全く新しい体験を実現します。直感的に扱えるWiiリモコンで、任天堂は最も幅広いゲームプレイヤー層に向けてゲーム体験を進化させることでしょう。アクティビジョンはWiiの発売と、Wiiが提供してくれるチャンスにエキサイトしています。だからこそ、当社はWiiの発売時に5タイトルを発売する予定なのです。かつてのどの新型家庭用ゲーム機発売時に用意したものよりも強力なラインアップを。今までの全ての任天堂ゲームマシンに向けたものよりも大きな開発資産を当社はWiiに投入しています。Wiiはビデオゲーム市場の規模、成長、そして可能性に深遠なる影響を与えることになりそうです。」
(アクティビジョンインク 会長兼CEO ロバート・コウテック氏)

「Wiiのコントロールスキームは当社の有能なゲーム開発チームに、未開の土地を開拓するチャンスを与えてくれています。Wiiは当社にさわやかな刺激を与えてくれています。Wiiはビデオゲームに対する新たなレベルの興味を喚起し、世界中のより多くのプレイヤー達を呼び込むことでしょう。」
(北米ユービーアイソフト社 社長 ローレント・デトック氏)




Q9
サードパーティがチャンネルを使うときの条件をくわしく教えてほしい。 例えばプログラムサイズがどれくらい使えるのかなどの仕様面や、任天堂公認のチャンネルしか認めないのか、あるいは携帯電話で言う勝手サイトのようなものを認めるのか。

プロセッサーは、どういった特徴を持つプロセッサーなのか?
岩田
はい。まずチャンネルについては、いわゆる勝手サイトとしてチャンネルを作ることは不可能だと思います。
それは、あのまぁそうですね、私たちが提供するインターネットチャンネルでアクセスできる、オープンなインターネットの世界の上でのサイトであれば作れますけれども、チャンネルとしてあの中に入れて、例えばある会社さんが作られるチャンネルソフトというのは、これは私どもとのライセンス契約の条件の中で使っていただけるという風になると思います。それで、基本的にはプログラムサイズでありますとか、あるいはそのインフラに関わる負荷ですね、等で制限を設けねばなりませんので、ガイドラインというものを決めて、このガイドラインを守ってくださいねと。その性質上、どうしてもガイドラインを守っていただけない場合は、ご相談をしましょうと。それで、その目的や規模、それからどれくらいの方が使われるのか? ということをよく吟味して、話し合って決めていきましょう、というような流れになります。

それからプロセッサーの話ですけど、基本的に他社さんの方向といいますか、これまでのゲーム業界の進歩の方向というのは基本的にはハイパワー/ハイパフォーマンスなんですよ。どんどん電気食ってくれてもいいから、熱出てもいいから、ハイパフォーマンスなものを作ろうと。で、一方でDSのような携帯型ゲーム機は何を目指しているかというと、ローパワー/ローパフォーマンスなんですね。それで、ローパワー/ハイパフォーマンスというのは実はかなり難しい道なんですけど、じゃあ今、ローパワー/ハイパフォーマンスを目指したらどんなことが出来るんだろう? っていうことを考えてきたのが1つの特徴かと思います。あの、僕らはゲーム機のプロセッサーがどんなに電気を食ってもいいから強力だという方向よりも、静かであったり、24時間インターネットに繋げたりですね、そういうことの特徴の方が、最終的に私たちが目指す"ゲーム人口拡大"に寄与できるのではないかということを考えましたので、そちらに振りました。
一方で、ゲームキューブのソフトが全部そのままディスクがかからないといけませんので、その互換性を持たねばなりませんから、当然アーキテクチャー的にはそこから全く劇的に離れてしまうことは出来ませんので、互換性を持ちながら今の技術を使ってローパワー/ハイパフォーマンスを目指すというのが私たちが目指したことですかね。



Q10
今回"パワーゲームではない"という話だが、ローパワー/ハイパフォーマンスというのは具体的な目標数値があったのか。
岩田
私たちからこれに関して数字を申しあげるつもりはないです。といいますのは、パワーゲームをしているのだったら「ウチの車は何馬力です」って言えばいいわけですけど、パワーゲームをしていない会社が「ウチの車は何馬力です」と自慢をすることが、お客様に何らアピールしないことはハッキリしているからです。


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