岩田
『すれちがいMii広場』では
『すれちがい伝説』と『ピースあつめの旅』という
ふたつの遊びがあるということですけど、
それらはどんなことから生まれたんですか?
河本
もともとは、DSi用のアプリケーションを考えていたときに、
秋房さんから出てきたアイデアなんですけど、
『旅するMii』という企画があったんです。
岩田
はいはい、ありましたね。
河本
すれちがい通信を使って、
Miiが冒険するような内容だったんですけど、
DSiのときは、常時すれちがい通信をするための機能が
本体のなかに入っていませんでしたので、
「ちょっと実現が難しいだろう」ということで、
そのときはお蔵入りになったんです。
岩田
でも、常時すれちがいができる3DSならば、
『旅するMii』のアイデアが
すごく活きるのではないかということになったんですね。
河本
はい。それと、Wiiの『似顔絵チャンネル』には、
「似顔絵パレード」という、通信で出会ったMiiや、
Wiiリモコンから入ってきたMiiなどがたまっていく場所があって、
「これも活かせないかな」という話がありまして、
それらがぐじゃぐじゃとミックスされて、
『すれちがいMii広場』というかたちになりました。
岩田
そもそも『旅するMii』のアイデアが出てきたときは
DSiの開発中ですから、2007年くらいのことですよね。
秋房
そうですね。
岩田
だから、今回、
「4年の時を経て世に出ました」みたいな感じなんですね(笑)。
河本
そこは“あきらめない社風”というか(笑)。
3D自体もそうですし。
岩田
3D自体の構想はもっと長いですから(笑)。
河本
じゃあ、まだまだ浅いですね。
秋房
でも、そうやって
『旅するMii』が陽の目を見ることができて
僕としてはすごくうれしいです(笑)。
河本
でも、本当は自分でつくりたかったんじゃないの?(笑)
秋房
それはそうなんですけど、
今回は河本さんに楽しく仕上げていただいたので・・・。
岩田
企画の発案者としても大満足ということですね。
秋房
はい(笑)。
岩田
あと、すれちがい通信では
メッセージのやりとりができるようになりましたね。
そのあたりは、どんなことを考えてつくったんですか?
河本
まず、グループ内だけで
すれちがいの実験をしたんですが、
単にMiiがやって来るだけでは、
それぞれの違いが薄いという声があったんです。
そこで、フリーメッセージを入れられるようにして、
出会ったときにしゃべるようにしました。
岩田
フリーメッセージとはいえ、
好きな言葉をなんでも自由に入れられるわけではないんですよね。
黒梅
はい。受け取った人が不快に感ることや、
個人情報などを入力しにくくなるような仕組みを取り入れています。
岩田
とはいえ、Miiがしゃべってるのを見るのは、
けっこう面白いですね。
河本
あいさつの中身はお客さんにお任せしているんですけど、
Miiごとにまったく違ったあいさつをするようにしたことで、
ひとりひとりのMiiが際立って見えるようになったと思います。
岩田
同じMiiでも、何回かすれちがうと、
そのMiiだけに向けた、個別のあいさつもできるんですよね。
河本
はい。グループ内であいさつの実験をしていると、
「あいさつ返しをしたいなあ」という声が多かったんです。
そこで、同じMiiと2回すれちがったら、
「個別にあいさつしますか?」と聞かれて、
そのMiiだけに個別にあいさつできるようにしました。
個別あいさつを入れると、次にすれちがったときに、
それを送ってくれるんです。
岩田
会ったこともない人と文通のようなこともできるんですね。
河本
はい。短いメッセージですけど。
岩田
「個別あいさつ」はかなり面白くて、
わたしもけっこう面白く使いましたよ(笑)。
河本
それ、内容がちょっと気になりますが・・・(笑)。
水木
あの・・・実は僕、岩田さんから「個別あいさつ」をもらったんです。
河本
へえ~。
水木
社内でMiiとすれちがったので開いてみたら、
岩田さんが「本物です」とコメントに書いてあるんです。
「うわ、本物が来た!」みたいな感じで(笑)。
岩田
あははは(笑)。
水木
で、そのあいさつに「例の案件、がんばれ」と書いてあって、
ちょっとホロリときちゃいました。
岩田
水木さんには、重要なお仕事をお願いしていたので、
そのことを「個別あいさつ」に書いたんです。
水木
でも、まさか「個別あいさつ」が来るとは
まったく思ってもいなかったので、
記念の写真を撮っておきました(笑)。
一同
(笑)
岩田
確かに、「まさかこの人が?」
ということもけっこうありますよね。
その日に一度もすれちがっていない人なのに、
わたしが自分の部屋にこもって仕事をしていると、
Miiが突然やってくるんです。
それで「え? どうして?」と思って考えてみると
「ああ、自分の部屋の前を通ったんだ」って(笑)。
一同
(笑)
岩田
そういうことを考えるだけでも
けっこう面白いなあと思いますね。
河本
いつすれちがったのかという情報を見て、
いろいろと想像できるようにしたつもりです。
岩田
それに、社内の人が『すれちがいMii広場』で、
Miiをすれちがいさせたいためにしている行動を見ていると、
ポテンシャルを感じますよね。
河本
「この人、何の用があるのかなあ」と思いながら
通り過ぎていく人とかも、たまにいますし(笑)。
鈴木
うん、いますね。
河本
うちのグループでは、『すれちがいMii広場』を
セットしている人が多いので、いっぱい集まるんです。
岩田
その意味でも、リアル『トモダチコレクション』な感じが、
『すれちがいMii広場』ですごく出たと思います。
秋房
そうですよね。
岩田
さて、次は『ニンテンドー3DSカメラ』の話をお訊きします。
秋房さんは、どんなことを考えながら
この機能をつくったんですか?
秋房
まず3Dの写真が撮れるということ自体、
実際に体験してみて、最初素直に驚きました。
それで何と言ったらいいのか・・・
まずは5年後も10年後も使ってもらえるものをめざそうと。
河本
おお~。
岩田
それはけっこう高いハードルですよね。
でも、飛び出た写真を5年後に見ても
「おおっ」って思うことはきっとあるでしょうね。
秋房
そうですね。
『3DSカメラ』で撮った写真は臨場感がすごいので
残したくなりますし。
ただ、3Dには驚きつつも、
それだけにあぐらをかくのはやめようと。
水木
あの・・・実際、僕も消したくない写真がありまして、
わりと沈痛な雰囲気の会議の場で、
パシャッと撮ってしまったんですけど、
みんながすっかりうなだれていて、
その臨場感がばっちり写し出されていたんです。
岩田
臨場感が立体で伝わってくるんですね。
水木
はい。もう、沈痛な空気までが
その立体写真から伝わってくるんです。
なので、絶対に消すことができないと(笑)。
一同
(笑)
河本
でも、それは消したほうがいいんじゃないですか?
水木
やっぱり?
岩田
(笑)