岩田:
また、これは機会を改めて具体的にお話しするつもりですが、それ以外にも、任天堂IPの映像コンテンツ化や、さまざまなキャラクター商品化など、様々な伝達手段を柔軟に活用して、任天堂IPの価値を最大化させていく取り組みが進行中です。
岩田:
任天堂は、過去30年以上にわたり、いろいろなIPを生み出し、シリーズ展開を重ねる中でその価値を積み上げ、それぞれのIPには多くのファンのお客様がおられますが、それぞれのIPによってお客様の構成は異なりますし、ライフスタイルも異なるのが現実です。
当然、個々のIPに最適な伝達手段は異なるでしょうが、最適な手段を選択し、任天堂IPに触れる人口を最大化し、結果、ゲーム人口を拡大させていく、というのが、私たちの基本戦略になります。
これら様々な伝達手段の中で、スマートデバイスは、グローバルな稼働台数、接触頻度、そして1回当たりの時間は短いのですが合計の接触時間において、強力な存在です。
岩田:
スマートデバイスは、もちろん任天堂IPの伝達手段としても活用していきますが、お客様に継続して密に接触していただくために、任天堂IPを活用したゲームビジネスも展開していきます。
岩田:
今日お集まりのみなさんの中には、「これまで任天堂は、スマートデバイスのゲームビジネスに対してずっと慎重な姿勢を崩さなかったはずなのに、どうして方針転換するのか?」ということを疑問に思われる方も多いと思います。
昨年1月の経営方針説明会でも、「スマートデバイスの活用においてゲームコンテンツは禁じ手にしない」と申し上げたとおり、私は、スマートデバイスでゲームをつくることそのものに否定的だった訳ではありません。
岩田:
しかし、デジタルの世界では、コンテンツ価値が容易にデフレ化し消耗しがちであることや、スマートデバイスでは、コンテンツの新陳代謝が激しく、個々のコンテンツの寿命が短くなりがちで、コンテンツ価値の維持が容易ではないこともあって、「どうすれば任天堂IPの価値を維持・発展させながら、ビジネスを展開できるか」、「それには、どういう条件が必要か」ということを考え続けてきました。そこに、ようやく任天堂なりの答えが出せたとお考えください。
岩田:
スマートデバイスのゲームビジネスの世界では、非常に大きな収益をあげておられるコンテンツがいくつか目立っていますので、世間一般には「楽に儲かるビジネス」と認識されている面があるようですが、現実には、競争環境も激しく、持続的に成果を出されているコンテンツ供給者は、全体の中でほんの一握りというのが現状です。任天堂にとっても、少数の勝者の一員になれないのであれば、スマートデバイスでのソフトビジネスに参入する意味がありません。
岩田:
だからこそ、「やる以上は、絶対の勝算を持って臨みたい」と考えてきました。
任天堂は、長年、発売時に高い品質でお客様に満足いただく必要があるプロダクトの会社として結果を出してきましたが、スマートデバイスでのコンテンツは、プロダクトとしての性質だけではなく、毎日変化し続けるサービス運営としての性質を持たなければ、お客様にご支持をいただくことはできません。
岩田:
任天堂は、この勝算を、DeNAさんと協業することで、一緒に創り出すことを目指します。
岩田:
DeNAさんの強みは、世界トップレベルのWebサービスの構築・運営ノウハウにあります。