岩田:
任天堂とDeNAさんは、グローバル市場を対象としたスマートデバイス向けゲームアプリを共同で開発・運営していきます。
この取り組みにより、任天堂IPを活用した新しいエンターテインメントをスマートデバイスを介してグローバルに提供することになります。
岩田:
当然ながら、この事業に取り組む以上、億単位のお客様に楽しんでいただくことを目指したいと思います。
岩田:
活用する任天堂IPについては、特に例外を設けるつもりはなく、全ての任天堂IPについてスマートデバイスで活用するチャンスがあると思っていますが、先ほど申し上げたように、スマートデバイスのゲームは最初に完成度を追求するプロダクトとしての側面よりは、継続的に進化し続ける運営が必要なサービスとしての側面を持ちますので、同時に展開するタイトルをむやみに増やしても、運営のエネルギーとお客様のアテンションが分散するだけで、ビジネス規模の拡大は望めません。したがって、ある程度タイトル数を絞り込む形で展開・運営することになると思います。
岩田:
一方で、IPが同じであるからといって、ゲーム専用機向けのタイトルをそのままスマートデバイスに移植することはしません。ゲーム専用機のコントローラーと、スマートデバイスのタッチスクリーンは、操作の特性、強み、弱みが大きく違いますから、ゲーム専用機の過去タイトルを単純にスマートデバイスに移植することは、一切予定していません。最高のプレイ体験をお届けできないのであれば、任天堂IPの価値に傷が付くだけにしかならないと考えているためです。
これからの開発について申し上げれば、ゲーム専用機にはゲーム専用機向けのタイトルをこれまで通りしっかり開発し、スマートデバイス向けには、同じIPを活用するとしても、スマートデバイスのプレイスタイルに合わせた、全く別のゲームをつくることになります。
スマートデバイス向けのゲームアプリについての詳細は、あらためてお知らせすることにしますので、続報をお待ちください。
岩田:
また、今回の協業には直接関係するわけではありませんが、誤解を受けることのないように、お話ししておきたいことがあります。
任天堂がスマートデバイスでゲームビジネスを展開することにしたのは、ゲーム専用機ビジネスに対する情熱や展望を失ったからではありません。むしろ、どうやってスマートデバイスを活用するかを決めたことで、今まで以上にこれからのゲーム専用機ビジネスへの情熱や展望を持っています。ゲーム専用機に展開されている素晴らしい価値のあるゲームソフトについて、世界中のより多くのお客様に認知してもらうキッカケをつくるために、スマートデバイスを活用するこのアプローチが合理的だと考え、決断しました。
岩田:
ちなみに、任天堂がゲーム専用機ビジネスに対する情熱を持ち続けているひとつの証明として、今のビジネス環境に適合するために、任天堂は全く新しいコンセプトのゲーム専用機プラットフォームを開発コード名NXとして現在開発中です。今は具体的なことをお話しする段階ではありませんが、詳細は、来年にお話しできると思います。
岩田:
スマートデバイスは、もっとも間口が広く、多くのお客様とつながる可能性が高いデバイスと言えます。
そこでお客様をゲーム専用機にいざなうことができるように、スマートデバイスとゲーム専用機の間に架け橋を架けていきたいと考えています。
そして、スマートデバイスを通じて任天堂とつながり、任天堂IPに興味をもってもらったお客様には、よりプレミアムなゲームプレイ体験を、任天堂ゲーム専用機を介して提供したいと思っています。このような方針を採ることにより、スマートデバイスに参入することでゲーム専用機のビジネスが縮小するのではなく、より広い間口でお付き合いする世界中のお客様に任天堂IPの魅力に触れていただき、スマートデバイスとゲーム専用機が限られた需要を奪い合うのではなく、新しい需要を創り出して相乗効果を生み出していけると確信しています。
岩田:
このスムーズな移行を実現するために、現行のニンテンドー3DS、Wii U、そして、今お話しした全く新しいコンセプトのゲーム専用機NX、そして、スマートデバイスやPCなど、複数のデバイスを統合する、新しいメンバーズサービスを、DeNAさんと任天堂が共同で開発し、任天堂が中心となって運営します。これは、これまで運用してきたクラブニンテンドーに替わりお客様と1対1でつながり、複数のデバイスを統合したサービスを提供する、任天堂の新しいプラットフォームの中核要素の一つになります。
岩田:
今日お話ししたこれらの取り組みにおいて、任天堂の強みとDeNAさんの強みは、極めて強力な組み合わせになりえると判断し、このような提携を行うことになりました。
では、ここからは、DeNAの守安さんから、お話しいただきます。
株式会社ディー・エヌ・エー 代表取締役社長兼CEO 守安 功:
こんにちはDeNA社長の守安でございます。あらためまして、本日は急にお知らせしたにも関わらず、お忙しいなかお集まりいただき誠にありがとうございます。
私からはDeNAサイドから見た今回の提携の背景及び狙いについて説明させていただきます。
DeNAは1999年の創業以来、数多くのインターネット関連ビジネスを展開してきました。特に2004年からはモバイルインターネット分野へフォーカスを定め、世界でもトップクラスのモバイルインターネットサービスを構築し、運営するノウハウを蓄積してきました。