岩田:
今は技術の進歩と変化が非常に速くなりましたし、社内のリソースだけでやっているだけでは、十分に魅力的な商品が作れなくなりましたので、いろんな所に、これは、今年の商品に向かって、一年後の商品に向かって、3年後の商品に向かって、ひょっとしたらもっと先の商品に向かって、さまざまな形で研究開発投資を続ける必要がございます。ですからそのこともあって最近増えてきましたし、またソフトの開発等もですね、ゲームキューブのときに、出だしはまあまあ良かった、作った分は全部売れた、という状況がまずあったわけですが、その後、ソフトがしばらく出せない時期があったりして、せっかくの勢いを活かせないまま、失速してしまったという反省がありますから。その意味で、社内のソフト開発の強化はもちろんですけれども、パートナーを含めた、積極的なソフトラインナップの拡充ということを掲げておりまして。例えばニンテンドーDSで言えば、宮本たちのチームがマリオカートやどうぶつの森を、本人たちはゆっくりという自覚があるかわかりませんが、敢えてゆっくりという言い方をさせてもらいますが(笑)、ゆっくり作ってもらうために、その間にソフトを継続的に出し続ける必要があって、そのためにいろんな積極的な投資をいたしました。そういうようなことはWiiでも同じように考えてまして、いかに間隔をあけずに勢いを維持したままソフトを出していくかということは非常に重要だと思っていますので、金額が大きく減るというよりも、若干増えていくのが流れではないかと私自身は思っています。ただ、今の2倍も3倍もの水準が必要かというと、別に任天堂は今すぐに半導体工場を立てようとは思っていませんので、そういうふうにはならないんじゃないかなと思います。
取締役専務・総合開発本部長 竹田 玄洋:
どのくらいの開発費用が任天堂にとって適切か、ということについてはいろいろとソフト、ハードともに議論はしておりまして、ただ我々の目標とするものは、家族の中のあらゆる年齢層、あらゆる方々に対してダイナミックレンジの広い、ゲーム機、従来でしたらゲーム専用と言われるものから方向が少し変わっておりますから、そのこと自体は、かなりダイナミックレンジの広い、新しさを取り入れるという意味ではやはり開発費がかかるのかなというふうに思います。
もう1つ言えることは、テクノロジーのロードマップに載っているものとは違う、任天堂なりのディファレンスを出すために、ある程度新しさをそこのところに求めていこうとすると、いわゆる打率というか、効率を考えながら使っていきたいなという風に考えております。ですから我々の向く方向に応じた開発費の延びではないかなという風にハードウェアでは思っております。
ただ、効率だけは何とか上げていきたいなと思っています。
宮本:
はい、比較的ゆっくり開発をしております(笑)。ありがとうございます。えっとあのやっぱりDSを始める時にですね、それまで2つのハードをベースにしていたものを3つのハードになるというこれはあくまでも新ハードだという風に考えていましたので、それで総開発力が足りないということはずっと常に感じてきたのですが、さらに足りなくなるという危機感は持ちました。
その中で任天堂の社内の開発スタッフっていうのは、まだまだ必要なんですけど、大きくは膨らましていません。ところが社外の任天堂の為に仕事をしている人たちっていうのを含めるともう1,500人を遥かにこえているという大規模な開発組織になっています。
で、正直なところ、他のジャンルっていうか、他のソフトを作っている人たちの中で随分と売り上げが確保できなくなってですね、任天堂がそういう人たちの中で良い人たちがあれば積極的に我々のものに関わってもらおうということで投資をしている部分もございます。
これは幾らぐらい僕は使うか分からないんですよ。あの、ちょっと不謹慎な発言かも分からないですけど、幾ら稼ぐかということが、僕ら、特にソフト屋のテーマと思っていまして、大きな利益を生むことにどんどん投資をしていく、特に面白いそういう可能性を持っている人があればどんどん投資をしていくということが僕の基本的な考えで、そこの投資に糸目をつけないという、すばらしいタニマチとして僕は任天堂で働くことにしたという風に考えていますので、結果を出すためにまだまだコストはかかっていくと思います。
ただ、御存じのように僕は非常に原価意識が高い人間なので、ムービースタジオを造るとかですね、無駄な大きな投資はずっとやれなく今までくり返してきましたし、これからも(投資家の方々に)できるだけ喜んでいただける効率のいいバブルなビジネスをですね、展開していけるように投資していきたいと思っておりますし、あまり心配されるような無茶は僕はすることはないと思いますので、ご安心ください。
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