宮本:
そうですねぇ、E3に出したものとか、今、作ってるもの、作ってる過程では、処理能力が足りないという実感はないです。これはどこがどう望むかですからね。絶対制限はあるんですよ。だから、今言われているようにHDにすれば、能力が4倍以上必要になるわけですから、という風なことを考えても、目に見えないところで、メモリもそうですよね。メモリが問題無くなってきたら、誰かが勝手に無駄な使い方をする。だから、どんどん管理は難しくなってくるし、機械の性能は早いけど、管理するのは大変だみたいなですね、変なところでロスがあったりします。で、いまWiiで目指してる、家族で遊べたり、一人でも遊べたりっていう、新しいフリースタイルの遊びを作るうえでは、今のところ全然ストレスを感じていませんし、結構まだゲームキューブも全然使いこなしていない状態で、かなり性能が上ったので、結構満足してます。
竹田:
ハード側としては(今回のWiiの性能で)問題ないと思うんですけど。ただ、技術を何に使うかということだけでして、HDを快適に処理しようと思ったら(そういう機械の設計技術は)使えるし、実際Wiiでは90ナノ、SOI等々の最先端技術を使ったりとか、(競合他社の)みなさん同様DRAM混載の技術を使ってる訳ですから、それ(最先端技術)をどういう方向に向けるかという違いだけですから、それは色々考え方があるかと思うので、我々にしてみれば(Wiiが選んだ)その方向が、ソフトを作る人たちと方向があってるんじゃないかという風に思っています。
岩田:
私もまだ心は開発者なので、一言コメントさせてください。私は、要はバランスだと思っています。もちろん先ほどもちょっと申しあげましたけれども、きれいな絵は魅力です。高解像度も魅力です。自分はその違いを認識できるし、別に私は性能が嫌いなわけではなく、私は技術屋の端くれなので性能にはワクワクする部分もあります。一方でそれを選んだときに、今度は機械が大きくなるし、起動は遅くなるし、WiiConnect 24みたいな機能の実装はどんどん難しくなるし、と考えたときに「どっちが魅力的な提案ができるだろう」、「どっちがバランスがいいか」っていうことで判断をしました。これはだから、できなかったからしなかったじゃなくて、選んだんです。これはもう、ものすごく議論が当然ありましたですけども。でも、そう選んだことなんで、それで今こうやってE3を乗り越えてですね、色んな人たちの反応を見て、自分たちの選んだバランスは間違っていなかったのじゃないかと思っています。でも、5年後10年後になれば、当然バランスがありますから、その時その時のバランスで、その時にリーズナブルな、これならお客さんと折り合いが付くなっていうバランスでまとめているので、別に任天堂が未来永劫HDをやらないっていうのではないし、いつかは分かりませんが、そういうことはあってもいいと思います。だけど今は、家庭でのHDテレビの普及率、起動の時間、筺体の大きさや発熱・消費電力、それらを考えたときのバランスが、こういう答えなんです。ですからバランスという点で私は、Wiiで後悔していることはほとんどないですね。
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