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2010年5月7日(金)第70期 決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文

これは、昨年の第1週から第15週までのソフトの販売数を、GfKさんの7ヶ国分のデータ、具体的には、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギーのソフトの販売データを任天堂で集計してまとめた、ソフトのヒットチャートのトップ30です。
この中には、任天堂プラットフォームのタイトルが17タイトルありました。その内訳はWii向けが11タイトル、DS向けが6タイトルでした。この17タイトルのうち、2009年になってから発売されたタイトルは1タイトルだけで、9タイトルは前年の2008年に、7タイトルは2007年以前に発売されたものでした。
これに対して、他社さんのプラットフォームでは、合計13タイトル中、6タイトルは年が明けてから発売されたソフトで、前年に発売されたタイトルは7タイトルでした。
この時期、ヨーロッパでは、ランキングの上位にDSタイトルが多く、DSの勢いが良い時期であったことがわかります。また、ヨーロッパにおいても、Wiiを支えていたのは、2008年前半以前のタイトルが中心で、アメリカではランキング外になっていた『Animal Crossing (どうぶつの森)』が18位になってはいたものの、2008年後半以降の有力タイトルが市場を勢いを下支えするという状況を作ることはできていませんでした。


これは、今年に入ってから、第1週から第15週までのソフト販売数のトップ30です。
今年は、任天堂プラットフォームのタイトルが合計13タイトルに減りました。その内訳はWii向けが7タイトル、DS向けが6タイトルでした。この13タイトルのうち、2010年になってから発売されたタイトルは『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』の2タイトルだけで、8タイトルは前年の2009年に、3タイトルは2008年以前に発売されたものでした。これに対して、他社さんのプラットフォームでは、合計17タイトル中、10タイトルは年が明けてから発売されたソフトで、前年に発売されたタイトルが7タイトルでした。ヨーロッパでも、他社さんのプラットフォームは新作中心になっています。
アメリカと同じように、『Call of Duty』の影響によって、この時期には、 昨年以上に、他社さんのプラットフォームに大作ソフトが数多く発売されました。昨年と大きく状況が異なるのは、任天堂が昨年後半に発売したWii向けの有力ソフト3本が、全てランキングの上位に残っていることです。一方で、DSについては、昨年と比較すると存在感が弱くなっており、これは、プラットフォームの現状の勢いを表している面もあると感じています。
他社さんのプラットフォームでは、アメリカと同様の傾向が出ており、前年から売れ続けているのは、『Call of Duty』やサッカーゲームの定番、『FIFA2010』など、少数のタイトルになっています。

ちなみに、昨年11月に発売された、Ubisoftさんの『JUST DANCE』というWii向けのソフトがこのチャートで3位に入っています。アメリカのチャートでも11位に入っているのですが、年明け以降、非常に面白い売れ方をしていますので、これについては後ほどすこしお話ししたいと思います。


それでは、ここからは、主力タイトルの実績についてお話ししておきます。


まず、『Wii Sports Resort』についてです。
世界の累計販売本数は、1,614万本となりました。
ヨーロッパでは、昨年秋以降、一部の本体と、このソフトのバンドル販売を行ってきましたが、累計販売数のうち約20%が本体とバンドル販売されている分だとお考えください。


次に『Wii Fit Plus』ですが、世界での累計販売本数は1,265万本となりました。
このうち、約60%弱が、バランスボードとのセット販売となっています。クラブニンテンドーで調べた、バランスボード同梱版のハード牽引率ですが、日本で41%、アメリカで47%、ヨーロッパで41%と、年明け以降も非常に高い水準で推移しており、引き続き、『Wii Fit Plus』はハード牽引に大きく貢献しているソフトだと言えます。特にアメリカやヨーロッパではセット販売が好調で、先ほどお話ししたように、バランスボードが品薄となってしまいました。
また、前バージョンの『Wii Fit』が、世界累計で2,261万本の販売となっていますので、Wiiバランスボードの累計販売数は、おそらく現時点で、3,000万台を超えているということになると思います。


そして、最後に、『New スーパーマリオブラザーズ Wii』です。
このソフトは、累計で1,470万本の販売となりました。


このグラフは、日本・アメリカ・ヨーロッパでの『New スーパーマリオブラザース Wii』の累計販売推移をまとめたものです。
最近は、日本・アメリカ・ヨーロッパの比較をすると、赤の日本の販売実績が、緑のヨーロッパの販売実績を上回ることは非常に珍しいのですが、このソフトは、日本で非常に好調で、ヨーロッパを上回る推移になっています。日本で、据置型ゲーム機向けのソフトで、400万本を超えるソフトは、ファミコン時代の初代『スーパーマリオ』以来、ほかに一切存在していないのですが、この推移であれば、400万本を超えて売れ続けることも十分な可能性があるのではないかと感じています。
このように、日本やアメリカと、ヨーロッパの反応が違うことについてですが、これは、25年前に発売された初代の『スーパーマリオ』が、どれだけ社会現象になったかが、日本やアメリカとヨーロッパで異なることに起因するのではないかと考えています。日本ではファミコン、アメリカでは「Nintendo Entertainment System」を略してNESと呼ばれていましたが、この時代にビデオゲームが大衆文化として根付きました。そして多くの人たちが、『スーパーマリオ』で楽しみ、その体験を深く心に残しておられると思います。それに対して、ヨーロッパは当時、任天堂の直営子会社がなく、NESは、日本やアメリカのようには広く普及はしませんでした。このことによって、『スーパーマリオ』にノスタルジーを感じてくださるお客様の数に差が生じていることが、これまでのこのソフトのヨーロッパにおける売れ行きが相対的に日本に比べて弱い要因となっている可能性があると思います。
一方、Wiiの普及台数が、日本よりもヨーロッパの方がはるかに大きいこと、そのほかマリオが登場するソフトの販売実績がヨーロッパの方が大きいことから考えて、ヨーロッパでも大きなポテンシャルがあることには違いがありません。むしろこれからが楽しみと言えると思います。


これは、昨年のソフトではなく、一昨年春に発売したソフトですが、『マリオカートWii』は、今期だけで715万本の販売となり、累計は、2,000万本を大きく超えています。 最近でも、日本で2年前に発売したソフトに対して新たに新作コマーシャルを制作して放映するという前例のないことをしているのですが、


これが、その販売推移です。
ご覧のように『マリオカートWii』は、緑のヨーロッパで、青のアメリカを上回る推移になっています。マリオという存在には、ヨーロッパにおいてもこのようなポテンシャルがあるわけです。『New スーパーマリオブラザーズ Wii』も、このように長期間大事に売り続けていきたいと思います。


ちなみに、この『マリオカートWii』の販売推移に『New スーパーマリオブラザーズ Wii』の販売推移を重ねてみると、このようになります。販売の勢いなどを見ても、日本とアメリカでは『マリオカートWii』以上のポテンシャルがあり、ヨーロッパについても、『マリオカートWii』に匹敵するような可能性があることをご理解いただけるのではないかと思います。



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