株主・投資家向け情報

2010年5月7日(金)決算説明会
質疑応答
| 1 2 3 4次のページへ
Q 1  次のコンソールについて。昨年、「Wiiでまだ面白いソフトが作れる、実際2010年用のソフトも仕込んでいて、HD化は次のハードになるため当面先で、まだあまり考えていない」と話されていたが、1年経ってどのようにお考えか。また、貴社がWiiとDSで開拓したカジュアルユーザーの一部は、もしかしたらソーシャルゲームなどに流れているかもしれない。そういった方々に独自のコンソール、ハンドヘルドを持たせてゲームをさせるというのは、クラウドコンピューティング時代の中ではだんだん時代遅れになっていく可能性もあるように思うが、貴社のプラットフォームではないところで貴社がファームウェア・OSを提供して、ゲームをカジュアル化することは可能なのか、アイデアとしてあるのかないのか、あるいはそういう考えに否定的か。
A 1

取締役社長 岩田 聡:

 新しいゲームの開発は常にしています。新しいゲーム機が出来上がったら、出来上がった瞬間から次の(ゲーム機の)企画を考えるわけです。その意味で、「次の据置型ゲーム機の開発をしていますか」と聞かれたら、いつでも「しています」と答えます。一方で、それを「今すぐ出さねばならないかと思っているか」というと、全くそうは思っておりません。Wiiでまだできることがあると思っておりますので、具体的に今日、「次の据置型ゲームはこういうものにし、いつ出すつもりだ」と申し上げるような材料はございません。

 それから、「ソーシャルゲーム」という言葉は、定義が非常に曖昧な言葉だと思います。「無料で遊べる非常にカジュアルなゲームのサービス」のことを指していると考えたらいいでしょうか。まず、私たちは、ゲーム機とゲーム機用のソフトという構造が未来永ごう続くと思っているわけではありませんが、一方で、数年の間にゲーム専用のハードというものが(時代遅れになって)なくなってしまうとも思っておりません。私自身は、「そういうシナリオは考えられない」と思っています。また、私たちが「なぜゲーム専用機を作るか」と言いますと、それは、「ゲーム専用機だからこそできる魅力的な、他のデバイスではできない体験を提案する」ということが、私たちの生命線だと思っているからです。

 その意味では、多機能なマルチメディアデバイスに向けて何かソフトを供給するというのは、私たちにとっては一番興味のない分野の仕事です。と言いますのは、そうすることは私たちにとって、新しく魅力的な体験をお客様に提案するのではなくて、一般的な体験に、単に任天堂のキャラクターや任天堂の過去のゲーム資産を乗せるというだけの形になってしまい、その形はビデオゲームソフト屋として優先度の高いことではないからです。今のゲーム機の構造は、私たちが何もしないで足を止めてしまえば時代遅れになるかもしれませんが、私たちも次から次へと新しいことを考えて新しい提案をするわけですから、時代遅れになるとは全く思っておりませんし、「時代遅れになるのでソーシャルゲームを投入せねば」と考えたことなど全くございません。

Q 2  3Dおよび3DSについて。まず、非常に素朴な疑問になるが、3Dのゲームは、岩田社長の言われるようなゲーム人口の拡大に本当につながるのか。3Dのゲームはヘビーユーザー寄りという印象を強く持っているが、その辺の考え方について教えてほしい。また、2Dから3Dになると、ゲームの開発費は、一般的には何割かアップするのではないかと思えるが、開発費に与える影響について教えてほしい。加えて、恐らく容量が上がり、チップの値段、ソフトの値段も上がるのではないかと思うが、併せてご説明いただきたい。最後に、3Dゲームは子供の体に何らかの影響を与えるのではないかという見方をされる方も多いようだが、これについて岩田社長はどのような認識を持っているかということと、これに対する貴社の対策について教えてほしい。
A 2

岩田:

 まず、「3Dの提案はヘビーユーザー寄りではないか」というお考えのようですが、私にはそうおっしゃる根拠が分かりません。任天堂がビデオゲームを提案する時、基本的に今私たちは「ゲーム人口拡大」を掲げて、5歳から95歳の人が楽しめるようにと考えてソフトを作るわけですから、当然私たちが作るソフトは、幅広く、年齢も性別もゲーム経験も問わないようなものを必ず主軸の一つに据えることになると思いますので、私たちは「3Dはヘビーユーザー寄りだ」とは決して考えていません。ただし、こればかりは、「なるほど、こう使うと確かに誰でも遊べる3Dのゲームですね」というものを見ていただかない限り、納得はいただけないような気もいたしますので、これは将来、具体的にものをお見せできる時にご判断いただければと思います。

 それから、「3Dになると開発費が上がるのではないか」ということについてです。ゲームがもともと本当の3D空間として作られていれば、カメラの位置を左目と右目にそれぞれ合わせて2回絵を描けば、3D空間の立体映像が作れますので、3Dの世界に既になっているゲームを3D化することは、あまり難しくありません。3Dの世界になっていないものを3D化しようとすると、多少コストはかかるでしょう。ですが、私はそこに本質があるとは、実はあまり思っておりません。当然、立体映像にするだけでゲームが面白くなるのかというとそうではなくて、立体映像の中でインタラクティブな体験をする、「こういうことが面白いのだ」ということとセットで提案されて初めて娯楽としての価値ができると思っておりますので、そのことについては、当然まだ開拓されていない、試行錯誤が必要な領域だと思います。ですから、3Dの映像に限らず、新しい娯楽体験を作ろうと思えば、どんな開発者にも試行錯誤が必要で、その試行錯誤の分だけ開発費は増えるかもしれません。ただ一方で、これは開発のマネージメントで解決できる問題です。その試行錯誤の段階で非常にたくさんの人が動いてしまいますと、開発費が大きくかさむことになります。ですが、そういうものを作る時には少人数のコンパクトなチームで実験を繰り返し、手ごたえが出たところで一気に人を増やして動くという作り方をすれば、それほど開発費が今と変わるとは私は思っておりません。また、ソフトの値段や容量については、今日お答えする材料もありませんし、また、私たちはともかく、ソフトメーカーさんのつけられるソフトの価格というのは、私たちが決められることではございませんので、これはもう少し時間が経たないと具体的なご説明はできないのではないかと思います。

 最後に、子供への影響ということについてです。これは子供さんに限らないのですが、実際に何十人かに1人、大人の方も含めて、立体映像は苦手という方がいらっしゃることが分かっています。ですから、ニンテンドー3DS(仮称)は立体視が特徴ですけれども、その立体視の機能をお客様に強制的に、無理やり押し付けるのではなくて、お客様がいつでもそれをオフにした状態で遊んでいただけるような工夫をすることによって、立体視は苦手だとか、子供さんの目が心配だとかいうことに対応できないかと考えています。

Q 3  E3(*)で3DSを披露する予定だそうだが、それ以外のサプライズは何か用意しているか。先日、某社さんの3D液晶の発表会があり、エンジニアの方とお話ししたところ、貴社に採用されるかどうかはともかく、一般的な話として、「3Dを違和感なく見るためには非常に高い解像度が必要で、また、フレームレートを落とさないためには、高速駆動のMPUと3Dアクセラレータが必須」という話をされていた。そうなってくると、3DSというのは、かなりパワフルなマシンのように思えるが、開発費が心配になってくる。2Dと3Dで開発費に差が出てくるのではないかと推察しているが、この考え方が間違っているかどうかという点についてコメントいただきたい。
(*) E3: Electronic Entertainment Expo。毎年米国で開催されるビデオゲームの発表展示会。今年は6/15-6/17に開催予定。
A 3

岩田:

 まず、E3のことですが、サプライズがあるともないとも申し上げられません。例えば、「サプライズがあります」と私が申し上げたとして、(事前の期待が過剰に高まることの結果として)皆様ががっかりされてしまうのでは何の意味もないと思いますので、あるともないとも申し上げられないのです。これはご容赦願います。

 それから、3DSに関して、「一般論としてこういう話を聞いたがどうか」ということについては、一般論にはコメントのしようがございません。ただ私たちは、3DSというプラットフォームを作る時に、「ある程度豪華なゲームから非常にカジュアルなゲームまで、幅広いものがそのプラットフォームに集うようにしたいと思っています」ということだけは申し上げられます。

| 1 2 3 4次のページへ

このページの一番上へ