株主・投資家向け情報

2010年5月7日(金)決算説明会
質疑応答
Q 4  前回の決算説明会(2010年1月29日開催 2010年3月期第3四半期決算説明会)の際、経営のスピードアップということについて、「他社とのアライアンスも含めていろいろ図っていきたい」とおっしゃっていた。それは例えばSNSなどの展開や、コンテンツの囲い込み、ネットワーク対応、デバイスの調達方法など、いろいろ方向性はあると思う。2010年度中に、例えば海外進出、ネットワークの強化など、今の時点でイメージしていることとして、お話しできる範囲で、どういったことを強化していきたいのか。当然、今年は3DS、ないしは既存のハードをちゃんと売っていくということがビジネスとしてはメインだとは思うが、長い目で見た時に今年できる経営のスピードアップというのはどういったことなのかを教えていただきたい。
A 4

岩田:

 1月にお話しした時に、「任天堂が何でも社内でやろうと思い過ぎることは危険だと思っていて、外の方と上手にアライアンスを組んでスピードアップを図りたい」と申し上げましたが、その考えは全く変わっておりませんし、そういうお話をいろいろな所と始めていることも事実ですが、相手様もあることですし、また、準備が整ってからお話しする性質のものだと思っておりますので、そういう方向で物事はいろいろ進めていますけれども、今日具体的に「こういう事例がございます」と申し上げられることはありませんので、ご容赦願います。ただ、「ああ、あの時に岩田が言っていたことはこういう結果になったんだな」と思っていただけるようなことは、これから1年2年と経つうちにいろいろお見せできるのではないかと思っておりますので、その点では、「前進しています」ということだけは申し上げられます。

Q 5  今期のWiiのハード・ソフトの販売台数・本数の前提について、期初なので「頑張りますよ」という姿勢も出せる中、今回は前期比マイナスで計画されている。その現状を、岩田社長としてどうお考えかということについて、コメントをいただきたい。
A 5

岩田:

 今朝の新聞に見出しで、「Wiiハードが限界」とか「不調」とか書いてあったのですが、年間2,000万台というのはそれなりに高いハードルだと思っており、それを実現しても「不調」と言われるのは「大変だなあ」と思ってしまいます。

 今回私たちが計画として掲げている(Wiiハードの今期販売予想数)「1,800万台」も、このコンソールが発売されてから4年経過していることを考えますと、それなりに高い目標だと思っています。まして、今まで私たちが「こういう娯楽がありますよ」「こういう遊びの体験は面白いと思われませんか」とお伝えして、すぐに反応してくださるタイプのお客様には、既にWiiハードを買っていただいているわけです。これからは、私たちのメッセージが簡単には届かない、より説得するのが難しいお客様を対象にものを売っていくことになります。仮に、今年展開するソフトの中の何か一つが大化けして、私たちが想像もしないような爆発をすれば、前年を超える可能性ももちろんあると思います。ただ、その大爆発を前提に業績予想を立てて発表できるかというと、それでは公開企業の経営者として無責任だと思いますので、私たちは、この水準であれば、ある程度の確率で、まあ外部要因がありますので難しい面はあるのですが、それでもある程度の確率で「達成できる」あるいは「近い水準までいくだろう」という、目途をしっかり持てている範囲でお話をしていますので、それが1,800万台の根拠になっております。私は決して前途を悲観しているわけではありませんし、また、悲観するような業績予想だとも思ってはおりません。要は、「これから売っていくということは今まで以上に難しくなる」ということを自覚した上で、今期ビジネスを展開するということです。その結果がこの予想だと、お考えいただくと良いと思います。

Q 6  ゲームサイクルが後半戦に入ってきたというマクロ的な認識がある一方、新しい遊びの提案や、新しいソフトがあればWiiハードもさらに売れるという前提だと思うが、考えの発想として、新しい遊びの提案というのはそもそも難しくなってきていて、今のハードスペックやハード構成などを見た上で、新しい遊びのパイプラインというのが、貴社のゲーム開発、特にWii向けについて今期は絞られていって、「次のコンソールに向けて頑張りますよ」というふうにも見受けられるが、そこについての考え方をもう一度教えてほしい。
A 6

岩田:

 今期発売予定のソフトについて、既にすべてをお話ししたわけではございませんし、これからもお話しすることが当然あるつもりでいますので、今、現行のWiiに向けての開発を絞り込んでいるというふうに認識されているとすれば、それは必ずしも事実ではないと思います。

 それから、一旦ピークを打ったゲームハードが再び活性を大きく取り戻したという事例は、それほどは多くはないのですが、全くないわけではありません。例えば代表的には、「ゲームボーイ」というハードは、かつて一度「終わった」と言われたことがあります。ところが、『ポケットモンスター』というソフトが登場して、ゲームボーイはむしろそこから最大のヒット期を迎えたわけです。ですから、一つのソフトがガラッと状況を変えるということは、ゲームハードでは常に起こり得るのです。ただ、それは計算してはできません。私たちはその中で、そうなる確率が一定以上あるものに絞り込んで投資をし、ソフトを作っています。以前お話ししたことがありますが、ソフト開発の宮本と私が最終的に目利きをして、打率を一定以上に保つことで、任天堂は世界中で売れるタイトルを毎年複数、市場に提案し続けることができていると思っていますので、その流れの中で展開していくことで、私たちは必ずしも「Wiiはもうプラットフォームサイクルの末期だから、これからは投資を絞り込んでいくんだ」という発想はしておりません。


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