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2011年10月28日(金)第2四半期決算説明会
質疑応答
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Q 1

 Wii Uについて、ニンテンドー3DSとは違って初動からつまずかないようにしたいという話があったが、もう少し詳しく教えてほしい。具体的には、価格面で最初から戦略的な価格設定をするのか、そのためには「ハードがある程度赤字でもかまわない」というところまで考えておいていいのかという点と、自社ソフトをローンチから揃えるのか。また、ネットワーク分野の戦略について、Wii Uでは最初からそれなりのものが出てくるのか教えてほしい。

A 1

岩田:

 まず、今お話がありましたWii Uについてですが、ハードが赤字なのか、ハードの価格はいくらなのかということについては、今お話しする材料がありません。

 ニンテンドー3DSの反省を踏まえてというのは、たくさんの反省材料があって初動がつまずいたわけですから、(Wii Uでは)そうならないようにしたいということです。ただ、今これからニンテンドー3DSを盛り上げなければいけない時期に「ニンテンドー3DSはここがいけなかった」ということをここで発言して報道されても何のためにもならないと思いますので、「課題として感じているいろいろなことについてしっかり対応します」ということだとお考えください。

Q 2

 デジタルビジネスを強化していくということだが、今後のコンテンツ管理方針について聞きたい。先ほどのプレゼンテーションにあったように、動画配信などのゲーム以外の分野が増えつつあり今後期待しているが、一方コンテンツが増加すると、クオリティーのばらつきやコンテンツのジャンル重複などが生じてくる可能性も考えられる。こうした際に、御社のチェックがある程度必要な体制となるのか、それともコンテンツの供給者に自由に任せていくのか、今後のコンテンツの管理について方針を教えてほしい。

A 2

岩田:

 私たちはプラットフォームホルダーとしての側面と、ソフトウェアのパブリッシャーとしての側面を持ち、二つの観点からコンテンツというものを見ています。

 プラットフォームホルダーとしてのコンテンツのクオリティーという問題については、個々のコンテンツのクオリティーに対して責任を持たれるのは各パブリッシャーさんであり、コンテンツ所有者のみなさんです。例えば、仮に私たちが、Netflixさんであるとか、Huluさんに対して、個々の動画のクオリティーがいいとか悪いとかいうことを申し上げるということは全く考えておりませんし、彼らがそちらの専門家だと考えています。私たちはプラットフォームホルダーとして場を提供し、機会をお客様に提供するので、その中で、お客様にとって魅力のあるコンテンツに行き当たりやすいようにうまくできたサービスが伸びて、そうでないサービスは淘汰されていくというのが自然な流れだと思います。ですので、そこに関しては個々の配信業者さんやコンテンツ所有者のみなさんなどに委ねるべきだと思っています。

 一方で、パブリッシャーとしての任天堂は、私たちが任天堂の名前で出すソフトウェアのクオリティーについては非常に強いこだわりを当然持っておりまして、「任天堂のソフトを購入したのにガッカリした」ということが極力ないように努めています。もちろん、お客様によって好みというものがありますので、任天堂のすべてのソフトが「どんな方にも必ずご満足いただける」というのは現実味がないかもしれませんが、私たちはクオリティーをしっかり管理して、「この中から買っていただければハズレはない」という形を目指したいと思います。

 それと同時に、先ほど『ニンテンドーeショップ』での「おすすめ投稿」の話をいたしました。インターネット上のレビューというのはどうしても、これが本当に遊んだ方のレビューなのか、そうではないのかが非常に紛らわしいということが一つの課題になっていると思います。これに対して、『ニンテンドーeショップ』での「おすすめ投稿」のようなゲームプラットフォームと一体化した仕組みをつくりますと、一定時間以上遊んでいただいた方だけが一人1票だけ投票できるという仕組みであることによって、例えば、多いものですと(一つのソフトに対して)万単位の投票があるので、実際に遊ばれた方の総意がレビューに反映されやすくなりますし、そういうレビューがしっかりお客様に伝わるようにしていきます。今後は、『ニンテンドーeショップ』の中だけで閉じるのではなくて、ウェブに出すことで、世の中のいろいろなデバイスを通じてご覧いただけるようになりますので、検索性や認知度を高めていくことで、先ほどおっしゃった「コンテンツのクオリティーをしっかり管理する必要があるのではないか」ということについて、別の形でも答えを出していけるのではないかと思っています。

Q 3

 「Nintendo Direct」を見て『マリオカート7』のソーシャル性や繋がりの面白さを非常に実感したのだが、きっかけが「すれちがい通信」であるというところで、3G通信と違って、近くに(ニンテンドー3DSを持っている人が)いないとなかなかきっかけがもらえないわけだが、きっかけをつくるためのプロモーションの考え方を教えてほしい。米国任天堂のTwitterを拝見していると、日本と違ってかなり仕掛けている印象があるので、日本での展開や、海外でのアプローチとの差を含めて説明してほしい。

A 3

岩田:

 日本は国土が狭く、人口密度が高く、既に何度か話題になった実績もあるため、「すれちがい通信」をするということそのものにリアリティーを感じないという方は、日本においては比較的少ないと思います。むしろ、ニンテンドー3DSの場合は、特定のソフトを起動してスリープ中でなくても、同時に12本までのソフトが「すれちがい通信」をできるようになっていますので、その意味でいろいろなソフトで 「すれちがい通信」の機能を使うチャンスが増えました。先日「Nintendo Direct」でご紹介した、ポイソフトさんの『ひゅ〜ストン』というダウンロード販売のソフトでは、これは社員数わずか4人の開発会社さんが作られたソフトなのですが、「僕らのような作り手にも『すれちがい通信』を活用するチャンスが来た」ということをおっしゃっていました。これは、私たちが非常にやりたかったことの一つなのですけど、ビッグタイトル以外で「すれちがい通信」が起こるということが日本では既に実現できていますから、この年末年始以降ニンテンドー3DSの普及台数が増えてまいりますと、加速度的に「すれちがい通信」のチャンスがどんどん増えてきます。

 一方、特にアメリカでは、国土が広く車社会で、電車やバスといった公共交通機関で移動される方の割合が日本ほど高くないため、「すれちがい通信」のチャンスがなかなかないのではないかとご指摘を受けています。やはり「すれちがい通信」の面白さというのは体験していただく前と体験していただいた後で大きく印象が変わるようですから、体験していただくということをぜひ多くの方に味わっていただかないといけないわけです。そのためには多少能動的に「こういう場所に集まってみなさんで体験しましょう」というプロモーション活動が必要になります。これは、ニンテンドーDSの『ドラゴンクエストIX』を海外で展開した時も、ファンイベントのような形でファンの方が自発的にされたケースもありましたし、任天堂がご協力をさせていただいたケースもあるのですが、そのような形でやりますと、人が集まり、集まった方が初めてその場で「すれちがい通信」を体験されて、そのことに非常にポジティブで大きな感動が起こりました。ニンテンドー3DSでも普及台数が増えてくるとかなりのチャンスがあると思いますし、恐らく年末になれば、例えば商戦期のショッピングモール等で、かなりの方が実際に体験をされると思います。一度実感していただくと、みなさんのニンテンドー3DSを持ち歩いていただく頻度も変わっていくと思いますので、その結果、良い循環ができるのではないかと思います。

 確かに、3G通信と違って近くにいないと「すれちがい通信」は起こらないわけなので、その点は制約であるともいえますが、この制約と魅力というのは表裏一体でもありまして、「私は紛れもなくこの人と場所と時間を共有したんだ」という感動がやっぱりあるんですね。ですから、そのことを一度ご理解いただくと、「(場所の制約がない)3G通信に対して(近距離にしか届かない「すれちがい通信」は)マイナスだけがある」ということではなくて、逆に「『すれちがい通信』だから味わえる感動とプラスがあるのだ」ということも併せて私たちがお伝えしていきたいと思っていることです。


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