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2012年10月25日(木)第2四半期決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡

最後に、アメリカの市場についてです。

 


これは、アメリカの今年1月から9月までの、ソフト販売上位20位までのヒットチャートです。
任天堂プラットフォームのタイトルが昨年と同じく7タイトル含まれていますが、昨年は含まれていなかったニンテンドー3DSのソフトが3タイトルランクインしているものの、日本と比較すると、決して存在感は大きくありません。
ヨーロッパと同様に、携帯型ゲーム機のソフトは任天堂の4タイトルだけで、他はすべて据置型ゲーム機のタイトルになっています。また、アメリカでは、マイクロソフトさんのXbox360のタイトルが9タイトルランクインしており、ソニーさんのPS3をリードするという、ちょうどヨーロッパと正反対の状況になっています。

 


これは、昨年と今年の1月から9月のNPDのデータを元に、アメリカ市場で毎月1週間あたり、Wii、PS3、Xbox360が何台売れているかを示すグラフです。薄い色が昨年、濃い色が今年です。毎回お話ししていますが、NPDの月別データは、4週間の月と5週間の月がありますので、1週ごとの平均値としてグラフを作ってお見せしています。

昨年と比較して目立つのは、すべてのプラットフォームが、昨年に対して数字をかなり大きく落としていることです。アメリカ市場は、日本の市場と異なり、据置型ゲーム機が非常に強い市場ですが、今の据置型ゲーム機が出そろってから6年が経過し、プラットフォームサイクルの末期に近づいていることの影響が大きく現れていると考えています。

 


こちらは、昨年と今年のアメリカ市場において、毎月1週間あたり、携帯型ゲーム機が何台販売されているかを比較したものです。
ニンテンドー3DSは対前年比で販売増となっている唯一のプラットフォームであり、PS Vitaが発売された2月を含めて、市場をリードしていますが、その水準は低く、アメリカ市場が日本市場の2倍以上の市場ポテンシャルを持つことを考えると、順調ではありません。ニンテンドー3DS XL発売後、ハードの販売は増加していますが、3地域で唯一、ニンテンドー3DS XL発売時のインパクトが、昨年の値下げ時のインパクトを上回れませんでした。9月には、ほぼ前年並みになりましたが、10月に販売ペースはさらに伸びており、どこまでニンテンドー3DSが挽回できるか、現在、取り組んでいるところです。

 


先ほどまでご説明したデータを、日本のデータも9月末までにそろえて、アメリカ、ヨーロッパと、ハード市場の市場シェアを比較したのがこのグラフです。
一番下に示しているように、日本、アメリカ、ヨーロッパを合算すると、ハード販売における携帯型ゲーム機のシェアは50%をちょっと超えたところです。

日本では、ハード販売における携帯型ゲーム機のシェアが約78%となっており、その中でもニンテンドー3DSの存在が圧倒的で、全ゲーム機の販売の6割近くがニンテンドー3DSです。
アメリカでは、携帯型ゲーム機のシェアが約40%と世界で最も低く、ニンテンドー3DSの存在感が伸ばせていません。
一方、ピンク色のニンテンドーDSが今でも比較的大きな存在感を持っており、これは、アメリカで、ニンテンドーDSiが現在99ドルで販売されていることが影響しています。一方、ヨーロッパでは、ソニーさんのPSPの市場シェアが目立ちますが、これは、ヨーロッパではニンテンドーDSiの価格を下げて販売することはしておらず、99ユーロで販売されているPSPの廉価版ハードが国によっては好調に推移しているためです。以前からの傾向ですが、携帯型ゲーム機の市場シェアは、日本が最も大きく、アメリカは逆に据置型ハードの市場シェアが高いです。今年は、年末にWii Uの発売を控え、据置型プラットフォームは前年に対し数量を落としていますが、任天堂もソニーさんも新しいゲーム機を発売した携帯型ゲーム機の市場シェアが日本のようには高まっていません。

ただし、同じ比較を日本とヨーロッパでは7月に、アメリカでは8月に発売された、ニンテンドー3DS LL登場後だけのデータを取り出して比較したのが、このグラフです。

 


日本やヨーロッパは、毎週のデータがありますので、LLが発売された7月の最後の週から、10月2週目まで、アメリカでは月間データしかありませんので、8月と9月の数字です。ご覧のように、足下好調の日本だけでなく、アメリカやヨーロッパでも市場シェアが上昇し、ニンテンドー3DSを取り巻く状況が、この夏に改善したことがおわかりいただけると思います。

ちなみに、昨年、発売から半年も経たずに値下げしたこともあって、ニンテンドー3DSのビジネスは、ニンテンドーDSと比較してうまくいっていない、というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、ちょっとこちらをご覧ください。

 


これは、任天堂が、四半期ごとにご報告している決算報告の数字から、発売から四半期ごとの累計ハード出荷台数をニンテンドーDSのときと、ニンテンドー3DSのときとで比較したものです。現在ニンテンドー3DSは、ハード発売から四半期が7回経過したことになりますが、実は、ニンテンドーDSを上回るペースで推移しているのです。「ニンテンドーDS Lite登場後市場が変わった」という印象をお持ちの方が多いと思いますが、この棒グラフの右2本は、すでにニンテンドーDS Lite登場後の推移です。さらに意識いただきたいのは、ニンテンドーDSは年末に発売したので、ここにすでに年末商戦が2回含まれているのに対して、ニンテンドー3DSは年始に発売したので、まだ、1回しか年末商戦が含まれていないことです。
ニンテンドーDSのときも、日本市場の立ち上がりが早く、次にヨーロッパの市場が本格的に立ち上がり、最も市場の大きなアメリカ市場が立ち上がったのは、最後のことでした。
もし、昨年の値下げによる苦戦のイメージで、「ニンテンドー3DSというプラットフォームは、ニンテンドーDSのようには立ち上がっていない」というイメージをお持ちでしたら、是非、この機会に改めていただければと思います。

 


今年のゲーム市場は、日本市場こそ、ニンテンドー3DSハード・ソフトの好調もあって前年対比プラスですが、海外市場は、前年対比マイナスになっています。海外市場でも、ニンテンドー3DSは前年対比プラスで、3DSソフトの販売数は、昨年と比較すると約2.5倍くらいの水準にはなっているものの、日本市場のように、マーケット全体の縮小を食い止めるほどの存在にはなっていません。
このような状況の中で、この年末商戦の見通しについて、お話ししたいと思います。

 


まず、Wii Uについてですが、9月13日に、日本、アメリカ、ヨーロッパでWii Uのプレミアムセット・ベーシックセットという2種類の本体セットの価格や仕様、ハードと同時期に発売するゲームタイトル、発売日などの詳細を発表しました。各地での発売日は、ご覧のとおりです。
この発表後、世界各地で、小売店さんに発売日の割当可能数をお知らせし、予約を取っていただいていますが、マス宣伝を開始する前の段階から、予約は大変好調に推移しており、すでに予約の締め切りをされている小売店さんが増えていると報告を受けています。
予約は、とくに上位モデルである、プレミアムセットの予約が先行しているようです。また、予約の好調を示すエピソードとしては、アメリカのゲーム専門店の最大手であるGameStopさんでは、発売日分の予約枠が埋まったあと、「Wait List」という入荷待ちのリストを用意したところ、先週の時点で、そこにWii Uの購入を希望されるお客様25万人以上が名前と連絡先を記入されているという話も聞いております。

 


Wii Uに関しては、製造がこの夏から立ち上がったばかりですから、年内は、需要よりも供給力が制約となってしまう可能性が高くなってきましたが、最大限の供給に努めて、発売日以降も各地で継続的に出荷できるように準備を進めています。
今期には、ハード550万台、ソフト2400万本の出荷を見込んでおります。
ちなみに6年前のWiiの発売時の初年度実績は、ハード584万台、ソフト2884万本でした。ソフトの実績については、ハードに同梱されたソフトを含んでいますが、予測にはハードに同梱されるソフトは含めておりませんので、この点にご留意ください。

 



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