知的財産権で守るもの知的財産権で守るもの

コントローラーの侵害品

知的財産部の中で私が所属するグループでは、自社で開発したゲームソフトやハード、キャラクターなどが無断で他者に利用されることを防ぐことにより、任天堂のブランドやビジネスを守る業務を行っています。そこで重要になるのが、「著作権」や「商標権」、「特許権」などの「知的財産権」であり、私たちはこれらの知的財産権を活用し、不正な商品やサービスへ対策を行っています。その中でも私は主にコントローラーなどの周辺機器の侵害品対策業務に携わっています。

たとえばNintendo Switchのコントローラーでは、任天堂の正規品を模倣した侵害品が流通しており、インターネット上でお客様の目に触れてしまうこともあります。ECサイトなどで正規品の画像を用いて侵害品が販売されている場合もあり、お客様が任天堂の正規品と誤解して購入してしまう恐れがあります。

また、侵害品のコントローラーは、正規品と同じ操作性が得られなかったり、正規品には搭載されている機能が搭載されていなかったりなどの問題が確認されています。このような侵害品では、本来のゲーム体験や安全性が保障されません。また、任天堂の製品であると誤解したお客様からの信頼を当社が失ってしまう可能性もあります。

税関での水際規制も

そのような侵害品を発見しアクションを取ることで、お客様が安心して任天堂の製品を楽しんでいただけるよう努めています。

侵害の疑いのある商品を実際に入手し、時にはハードウェアの部門と連携して、正規品と侵害品の違いを検証しています。得られた情報をもとに侵害品を取り扱うECサイトに対して削除要請をおこなったり、販売者に警告を送付したり、警察の取締をサポートしたりしています。また、侵害品は海外から輸入されてくることが多いため、税関での水際規制も平行しておこなっています。コントローラーやキャラクターグッズ含め特定の侵害品については、税関へ権利侵害の詳細や正規品との比較を説明し、あらかじめ申立てを行うことで水際規制を強化しています。

ただ、どんなに早く対策を進めたとしても、効果が出るまでは一定の時間がかかってしまい、その間はお客様が侵害品を正規品と誤解して購入されてしまう可能性があります。そのため、社内の関係部門とも協力し、お客様への情報提供にも努めています。たとえば「並行輸入品」を謳った不正なコントローラーが多く見られた際には、当社のサポートページに、侵害品に関して注意喚起するQ&Aを追加してもらいました。

守るのはお客様の信頼や安心

私は入社1年目からこの不正品対策の業務に携わることになったのですが、入社当時は、知的財産部の仕事は、知的財産権の知識を活かして、権利を取得することが一番重要であると考えていました。しかし、これまで取り組んだ業務を通じて、取得した知的財産権を活用することで侵害品がお客様の手に渡ってしまうことを防止し、任天堂のブランドやビジネスを守ることも知的財産部の大事な仕事であると理解することができました。私たちの仕事は、開発者のこだわりがつまったキャラクターや製品を守ることであり、その積み重ねが任天堂ブランドへのお客様の信頼を守ることにもつながっていると考えています。そして、そのような活動を通してお客様に安心して任天堂の製品を楽しんでいただける環境を整えることが私のやりがいであると感じています。

社員略歴

市川さん知的財産部/2022年入社
2022年「理工系」入社。
コントローラーなどの周辺機器を中心にECサイトや税関における不正品対策や、第三者による当社IPの無断利用への対応などを行っている。
職種
  • 管理・営業系
  • 理工系(ソフト/ハード)
  • 知的財産

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