ニンテンドーDS『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』が発売されて10年以上の月日が経ちました。この間、脳に関するさまざまな知識や情報が増えましたが、このシリーズの意図するところは依然として陳腐化していません。
DS版「脳トレ」発売後も、さまざまな技術革新の速度は加速する一方です。その結果、私たちは便利な道具をたくさん手にし、より楽な生活をすることができるようになりました。しかし、この「楽で便利」に大きな落とし穴があることを忘れてはいけません。楽で便利を、私たちの心身の側から眺めてみると、「脳も身体も使わなくてもよい」ということなのです。生活の中で、脳や体を使う機会が減っていけば、当然、心身の機能低下も加速します。このソフトは、私たちが楽で便利な文明社会に住んでいるからこそ、日々の生活の中であえて、より積極的に脳を使い、脳を鍛えるために作られています。
私は、後述する「前頭前野」の機能の低下が、健康な生活を維持するために特に大きな問題になると考えました。そこで、情報を処理するスピードに注目しました。これまでの私の研究室での研究成果から、情報処理速度のトレーニングを継続していくと、情報処理速度はもちろんですが、それ以外の、さまざまな前頭前野の機能も向上するというデータが得られました。 毎日、短い時間で結構ですので、集中してトレーニングを行ってみてください。問題をできるだけ速く解くことがポイントです。皆さんの脳の「基礎体力」が向上し、より人生を楽しむことができるようになることを期待しています。

「前頭前野」を上手に使う

脳に蓄えられている知識を実際の場でどのように使うかは、脳の司令塔としての「前頭前野」の働きによります。つまり蓄えられた知識をうまく活用したり、現実をうまく処理したりする「本当の頭のよさ」とは「前頭前野」をうまく使えるかどうかにかかっているのです。そのため、「前頭前野」をうまく使って鍛えることが重要なのです。

人間の左右の大脳は、前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉の４つの部分に分かれています。前頭葉の大部分を占める「前頭前野」は人間だけが特別に発達している部分で、創造・記憶・コミュニケーション・自制力などの源泉となっています。まさに「脳の中の脳」と呼ばれるにふさわしい働きをするのです。

最新の脳科学に基づいた脳のトレーニング

私の研究により、「計算」や「音読」が脳に効果的なトレーニングであることが明らかになりました。下の画像は機能性ＭＲＩで測定した脳の血流を図式化したものです。赤や黄色になっている部分は脳が働いている場所です。赤から黄色になるにしたがってより活発に働いていることを示しています。

考え事をしているときの脳

一生懸命考え事をしていても脳はあまり働いていません。

複雑な計算問題を解いているときの脳

左脳がわずかに働いていますが、右脳は働いていません。

簡単な計算問題を速く解いているときの脳

左右の脳の多くの場所が活発に働いています。

本を音読している時の脳

音読スピードが速ければ速いほど活発に働きます。

ニンテンドーDS『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』を用いた研究

私の研究所では、ニンテンドーDSの脳トレをした直後に何が起こるのか、96名（48名は対照群）で実験したことがあります。すると脳のワーキングメモリーと脳の処理速度の成績がアップする傾向にあるという結果が出ました。

「脳を鍛える大人のDSトレーニング」の研究論文

「脳を鍛える大人のNintendo Switchトレーニング」を使って脳のトレーニング

トレーニングは継続することが大切です。この「脳を鍛える大人のNintendo Switchトレーニング」では、簡単な計算や音読を基本とした脳に最適なトレーニングを毎日楽しく続けられるように作られています。一日ほんの数分だけ、空いた時間でできるだけ続けてトレーニングを行いましょう。

「最新機器を使用したトレーニングの検証

「脳を鍛える大人のNintendo Switchトレーニング」でトレーニングをしているときの前頭前野の働きを、人間の脳の働きを画像化する装置を用いて科学的に検証しました。数十種類のトレーニングを試作し、脳の活性化が計測されたトレーニングのみを厳選して収録しています。

幅広い年齢層からのモニター調査による脳年齢の算出

20代から70代までの各二十数名、計149名から収集した成績データからベストフィットの近似を割り出しました。本ソフトの脳年齢チェックで測定できる脳年齢（内訳である抑制力、処理速度、短期記憶を含む）は、この近似式により算出されたものです。