世界観/ストーリー

バックグランドストーリー 前編

―出会い― 少女は、あてのない探索に、なおも精を出していた。およそヒトにつながる情報はすべからく少女の興味を引いた。ただこの星では、情報はほとんど電子化されていたらしく、その収集は思うようには進んでいなかった。少女は瓦礫の下から、1冊の本のようなものを見つけ、引っ張り出した。表紙にアルバムと書かれたそれを開くと、人差し指と中指を立てながら笑うヒトの姿が何ページにもわたって描かれているのが、かろうじて確認できた。ほとんど色の焼けてしまった写真とはいえ、ここまで多くのヒトの姿を見るのは初めてだった。少女は、ぼんやりと輪郭がわかる程度の写真の中のヒトの姿と、自分の体を熱心に見比べ、そっと「本当のヒト」の姿を真似てみた。「くくっ…」突然背後から聞こえた声に、少女はあわてて振り返る。

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