人間の“運命”をつかさどる神――モイライ。 運命の糸を、あるときはつむぎ、あるときは交え、そして……断ち切ることを生業としていた。 だが、彼女は考えあぐねていた。 そう遠くない未来、人間の運命の糸がすべて断ち切れてしまうことに気づいてしまったからなのだ……。 人間の未来がない!? 運命を操る対象がなくなることへの辛さ以上に、人間への揺るぎない愛情に対し、 モイライはある決断をくだした。 「彼ならば、事態を好転させられるかもしれない」 彼とはアトランティスの青年であった。 彼はとある事件に巻き込まれ、その結果生きてもいない、死んでもいない特殊な状況に置かれていた。 それは普通の人間ならば決してありえない状況であったため、 その扱いに困ったモイライによって、彼は9000年もの長い間、壺の中に封印されていたのだ。 (神が人間に頼みごとをするなんて、前代未聞だよ) モイライはひどく悪態をつきながらも、 人間の運命の糸が断ち切れてしまう原因探求の旅に彼を向かわせようとする。 だが、彼には体がなかった。このままでは何も行動することができない! そのことに気づいたモイライは、旅の途中で出会う人間に自由に乗り移れる 「トランスファー」の能力を彼に与え、下界に向かわせるのであった。 人間の運命と、自らの肉体を求め、彼の冒険は始まる!! 果たして彼を待ち受けているものは“希望”、あるいは……? |