STAFF異聞録をご覧の皆様、任天堂の安藤佳織です。
12月26日(土)にいよいよ発売のWii Uソフト『幻影異聞録♯FE』。
今回は、「任天堂トピックス編集部」から本作についての魅力を語るという機会をもらったので、
プロデューサーの山上と一緒にその取材をインタビュー形式で掲載します!
ロングインタビューですが、本作についての理解を深めていただければ幸いです。
―まず率直に、『幻影異聞録♯FE』はどういうゲームですか?
山上)
「みんなが好きなんじゃないかと思うものを、どストレートにつくってみたRPG」。
テレビで見る芸能界みたいにキラキラしたものに憧れたりしますよね。
だけど、今の「ゲーム」って、そういうものとは別世界のものになっていると思うんです。
もっと日常で見慣れているものをゲームに持ってきたら、
多くの人が身近に感じてもらえるのではと。
―実際のゲームをプレイしてみるとPVなどから個人的に感じていたキラキラしたイメージとは違う印象です。
山上)
最近のドラマでも、背景ではマジメなことをやっているけど、表現は軽いものってありますよね。
そういう表現が今の時代には合うと考えて、テーマはきっちり考えるけど表現はあくまで軽く、
今っぽいものを目指しました。
安藤)
アトラスさん自身も、今までダークなイメージが続いてきた中で、
新しいイメージのものをつくりたい、というコンセプトがあったそうです。
―さまざまなPVが多数公開されていますが、こだわりのシーンなどはありますか?
山上)
画としてこだわりたかったのは、「ペガサスナイトが渋谷に舞い降りる」シーン。
ひとつ現代劇として象徴的なシーンをつくろうとなったときに、
「日本で一番有名な横断歩道は?」「渋谷のスクランブル交差点だ」と思い浮かびました。
それなら、「そこからペガサスナイトがファサっと舞い降りる」シーンにしようと。
これで現代劇と『ファイアーエムブレム』が融合したということが伝わるのでは、と。
―基本的なところですが、「パフォーマ」というのはどういうものでしょうか?
安藤)
「パフォーマ」は、「輝きたい」というキラキラした気持ちが結晶化して、体に宿ったものです。
開発では芸能力と呼んでいましたが、個人個人のオーラみたいなもの、
そのオーラに惹かれて、神様が力を貸してくれるという設定です。
―「芸能力」が強さになるということなんですね。それは、ゲームシステムにどう結び付くんでしょうか?
山上)
悪者と戦うための力をつけるために、自分の芸能の力を上げる必要があるので、
芸能活動をがんばる。すると、表の世界ではいろいろな芸能活動ができるようになっていく。
裏の世界ではどんどん強い敵と戦って勝てるようになる。
これらがリンクしているんです。
山上)
RPGでは、「ゲームが進むと自分が強くなる」という喜びがありますよね。
今作は、ゲームが進むと「歌」を習得することもあるんです。
物語を通して新曲ができると、その人の芸能力が上がり、芸能力が上がるとバトルで強くなり、
そうするとますます芸能活動をするようになって、いろんな演出が追加されるわけです。
安藤)
芸能活動の中で習得する歌とともに、戦闘という意味では新しい技を覚えるようになっていて、
「芸能界の活躍」と「バトルでの成長」はリンクしています。
芸能力を上げて成長して手に入る技は、バトル中に仲間とのかけあいという形で連携していきます。
一人ではなくみんなで敵に対峙する様子がバトルの中で演出されるとともに、
戦略としても「どう連携させようか」という楽しみが出てくると思います。
ストーリーを進めた成果として、バトル中の演出にそれまでやってきたことが反映される。
後半になるにつれ演出のパターンも増え、連携もつながり、どんどんハデになっていきます。
逆にいうと、最初はなかなか連携しなかったり、弱点をつけなかったりするんですが、
ある段階からそれが逆転して快感になるタイミングがくるんです。
山上)
それらが「セッションバトル」です。
ほかのゲームでも、連続でコンボが決まって敵が倒せたりすると爽快ですよね。
それをこのゲームでは「セッションバトル」と言っています。
芸能活動で手に入れた歌に関連した技で、
歌いながらハデなカメラアングルや特別な動きでセッションにリンクしていきます。
すごく爽快ですよ!
―主人公たちは、芸能界を目指すアイドルなんですよね。
山上)
アイドルって表面だけ見ると、なんかキラキラしているだけのイメージもありますよね。
ところが舞台裏をみると、彼らがどれだけ汗をかき、努力をしていたかということを垣間見える。
この後ろ側の部分に本質が隠れていると思うんです。
この、後ろにある信念をきっちり描くことで、
華やかな世界の意味というものが出てくると考えました。
ちゃんとキャラクターの考え方をきっちりともたせ、信念を感じてもらうことで、
目的をもって活動しているということが伝わると、
この舞台や世界観をなぜ選んだのかわかると思います。
―登場人物は芸能活動を経て、「持ち歌」を手に入れるという話を聞きましたが、曲づくりはどう行ったのでしょうか?
山上)
この「芸能界」というテーマをとるにあたって、
「本当に満足のいく曲がつくれるか」というところが一番心配でしたが、
キャラクターの設定をみて、「この人たちが実在する新人アーティストだとすると、どのようにデビューすべきか?」ということをエイベックスさんと考えていきました。
登場人物には「どういう動機をもって芸能界で活動しようとしているのか」「何になりたいのか」
という思いがあるので、それらの設定を全部エイベックスさんにお渡しして、
「この人を○月にデビューさせると考えたら作詞家や作曲家は誰で、どんな曲調にすればいいか」
ってことを念頭に考えていただきました。
―本当にプロデュースしていただいたってことですね!
山上)
そうです。エイベックスさんは「事務所のアイドルを一流にする」ということを考えてこの企画を考えてくださったんです。
だから見事なまでにキャラクターに合った曲にできあがっていて、それに非常に聴きやすい。
それはお客さんが普段応援しているアーティストさんと同じように、エイベックスさんが登場人物を一人の人として考えてくださったからです。
安藤)
Kiriaだと、「この『Reincarnation』という曲はシングル5枚目くらいかな?」
なんて話していましたね。
どういうタイアップがついているかという話も想像しながら会話していました。
―登場人物についてもう少しくわしく教えてください。
山上)
登場人物ひとりひとりには、明確な意志があります。
「こういう風になりたいからここに身をおいている」という。ちゃんとポリシーがあります。
とくにヒロインの織部つばさは、ちょっと悲しい過去があり、
起きた原因や失ったものを探すというのを芸能界に入る理由としていて、
これらもお話の中で明かされているところが楽しみのひとつですよ。
―そういえば、全員が歌手というわけではないんですね。
安藤)
元ギタリストで、現トレーナーとかもいますね。
弓弦エレオノーラは、根拠のない自信のある新人女優。
赤城斗馬は特撮ヒーローの主人公にあこがれている。
いろいろそれぞれ、なりたいものを目指して事務所に入ってきた人たちです。
―主人公である蒼井樹は、他のキャラと異なり、なにかになりたい、という明確な目標がないようですが、よくわからない気がします。
安藤)
樹は、最初は芸能人になりたいわけでもなんでもなくて、
危ないことに率先して首をつっこんでいく幼馴染の女の子に、保護者のようについていく存在です。
だけど、だんだん彼自身も、そうやって突進していく幼馴染や、
悩みながら進んでいく先輩や、チャラそうに見えてマジメに努力している友達や、
そういったまわりの人たちの姿を間近にみていくことで、
だんだん自分自身がどうしたいのかということをつかんでいきます。
山上)
周りのみんなは芸能人になりたくて、「パフォーマ」がある。
でも彼は芸能人になりたくもなんともないのに、なぜ「パフォーマ」があるのか?
しかも「クロム」という大きな存在と共闘出来るほどの力なのか?
……っていうのも、実はストーリーを進めると明かされます。
くわしくはやめておきますが(笑)、たぶんプレイするみなさんが、ハっとすると思います。
安藤)
たぶん、それがわかったときには、
「ああ、樹も成長したな…」と思ってくれるんじゃないかなと思いますよ。
山上)
これだけ周囲の人が強い意志もっているのに、なんで主人公だけハッキリしないの?
ってことについてなんですが、プレイヤーはこのゲームの世界に徐々に慣れながら、
この中で自分がどう生きていくかを進めていくのに、
主人公があまりに最初から強い意志をもっていると違和感がありますよね。
プレイヤーが「俺も世界を救いたい!」という気持ちになるのに合わせて、
主人公もちゃんと成長していくように描かないと、
プレイヤーと主人公の意見が一致しないと没頭できないと思うんですよ。
お客さんとのペースを合わせて成長させていく主人公なんです。
安藤)
いろんな要素を決めていくなかで、やはり主人公は主人公として、
一個人であってほしいということになって、「樹」という人になりました。
山上)
名前にもこだわりがあります。ヒロインの織部つばさにも。
察しのいい人だったら、「シーダ」と何か関係があるのかなと思ったかもしれません。
私たちが翼という名前にどういう意味を乗せたのか。
ひとつひとつの状況や名称、すべてのことに意味をもたせてつくっています。
それを、ぜひゲームの中から感じていただきたいですね。
―それでは、これからゲームをプレイする人たちにひとことお願いします。
山上)
一見単にキラキラしているだけのイメージに見えるかもしれないけど、
僕たちは全力で作っているんです!
この世界をどのように思うかは自由だけど、それにはすべて意味があるんです。
芸能界の中で一生懸命キラキラしている人の後ろにどういう努力があるのか、本気で描いています。
安藤)
ダークな方向性に持っていくこともできたんですが、「全力で明るくいこう」と決めて作りました。
アトラスさんのゲーム好きな方は、べつに暗いゲームが好き、ってわけじゃないと思ってるんです。
世界観がちゃんとしていて、そこに紐づいている設定の融合性ということに対して、
強い支持があるんだと思っていて。 暗いことに意味があるわけでなくて、
取り込まれている要素に意味があるということだと思います。
山上)
だから外してはいけない部分、お客さんがアトラス作品や『ファイアーエムブレム』に対して
重要視している点については一生懸命考えました。
中世ファンタジーでSLGをつくると、結局『ファイアーエムブレム』のまがいものになってしまうし、ダークな世界でのRPGにすると、アトラスさんのまがいものになってしまう。
だから私たちは新しい道を、新規IPとして2つの力を借りて新しく踏み出したのが、
この『幻影異聞録♯FE』です。
私たちなりの答えを出せているのではないかと思うので、
それはゲームから感じてもらえたらと思います。
12月26日(土)にいよいよ発売のWii Uソフト『幻影異聞録♯FE』。
今回は、「任天堂トピックス編集部」から本作についての魅力を語るという機会をもらったので、
プロデューサーの山上と一緒にその取材をインタビュー形式で掲載します!
ロングインタビューですが、本作についての理解を深めていただければ幸いです。
―まず率直に、『幻影異聞録♯FE』はどういうゲームですか?
山上)
「みんなが好きなんじゃないかと思うものを、どストレートにつくってみたRPG」。
テレビで見る芸能界みたいにキラキラしたものに憧れたりしますよね。
だけど、今の「ゲーム」って、そういうものとは別世界のものになっていると思うんです。
もっと日常で見慣れているものをゲームに持ってきたら、
多くの人が身近に感じてもらえるのではと。
―実際のゲームをプレイしてみるとPVなどから個人的に感じていたキラキラしたイメージとは違う印象です。
山上)
最近のドラマでも、背景ではマジメなことをやっているけど、表現は軽いものってありますよね。
そういう表現が今の時代には合うと考えて、テーマはきっちり考えるけど表現はあくまで軽く、
今っぽいものを目指しました。
安藤)
アトラスさん自身も、今までダークなイメージが続いてきた中で、
新しいイメージのものをつくりたい、というコンセプトがあったそうです。
―さまざまなPVが多数公開されていますが、こだわりのシーンなどはありますか?
山上)
画としてこだわりたかったのは、「ペガサスナイトが渋谷に舞い降りる」シーン。
ひとつ現代劇として象徴的なシーンをつくろうとなったときに、
「日本で一番有名な横断歩道は?」「渋谷のスクランブル交差点だ」と思い浮かびました。
それなら、「そこからペガサスナイトがファサっと舞い降りる」シーンにしようと。
これで現代劇と『ファイアーエムブレム』が融合したということが伝わるのでは、と。
―基本的なところですが、「パフォーマ」というのはどういうものでしょうか?
安藤)
「パフォーマ」は、「輝きたい」というキラキラした気持ちが結晶化して、体に宿ったものです。
開発では芸能力と呼んでいましたが、個人個人のオーラみたいなもの、
そのオーラに惹かれて、神様が力を貸してくれるという設定です。
―「芸能力」が強さになるということなんですね。それは、ゲームシステムにどう結び付くんでしょうか?
山上)
悪者と戦うための力をつけるために、自分の芸能の力を上げる必要があるので、
芸能活動をがんばる。すると、表の世界ではいろいろな芸能活動ができるようになっていく。
裏の世界ではどんどん強い敵と戦って勝てるようになる。
これらがリンクしているんです。
山上)
RPGでは、「ゲームが進むと自分が強くなる」という喜びがありますよね。
今作は、ゲームが進むと「歌」を習得することもあるんです。
物語を通して新曲ができると、その人の芸能力が上がり、芸能力が上がるとバトルで強くなり、
そうするとますます芸能活動をするようになって、いろんな演出が追加されるわけです。
安藤)
芸能活動の中で習得する歌とともに、戦闘という意味では新しい技を覚えるようになっていて、
「芸能界の活躍」と「バトルでの成長」はリンクしています。
芸能力を上げて成長して手に入る技は、バトル中に仲間とのかけあいという形で連携していきます。
一人ではなくみんなで敵に対峙する様子がバトルの中で演出されるとともに、
戦略としても「どう連携させようか」という楽しみが出てくると思います。
ストーリーを進めた成果として、バトル中の演出にそれまでやってきたことが反映される。
後半になるにつれ演出のパターンも増え、連携もつながり、どんどんハデになっていきます。
逆にいうと、最初はなかなか連携しなかったり、弱点をつけなかったりするんですが、
ある段階からそれが逆転して快感になるタイミングがくるんです。
山上)
それらが「セッションバトル」です。
ほかのゲームでも、連続でコンボが決まって敵が倒せたりすると爽快ですよね。
それをこのゲームでは「セッションバトル」と言っています。
芸能活動で手に入れた歌に関連した技で、
歌いながらハデなカメラアングルや特別な動きでセッションにリンクしていきます。
すごく爽快ですよ!
―主人公たちは、芸能界を目指すアイドルなんですよね。
山上)
アイドルって表面だけ見ると、なんかキラキラしているだけのイメージもありますよね。
ところが舞台裏をみると、彼らがどれだけ汗をかき、努力をしていたかということを垣間見える。
この後ろ側の部分に本質が隠れていると思うんです。
この、後ろにある信念をきっちり描くことで、
華やかな世界の意味というものが出てくると考えました。
ちゃんとキャラクターの考え方をきっちりともたせ、信念を感じてもらうことで、
目的をもって活動しているということが伝わると、
この舞台や世界観をなぜ選んだのかわかると思います。
―登場人物は芸能活動を経て、「持ち歌」を手に入れるという話を聞きましたが、曲づくりはどう行ったのでしょうか?
山上)
この「芸能界」というテーマをとるにあたって、
「本当に満足のいく曲がつくれるか」というところが一番心配でしたが、
キャラクターの設定をみて、「この人たちが実在する新人アーティストだとすると、どのようにデビューすべきか?」ということをエイベックスさんと考えていきました。
登場人物には「どういう動機をもって芸能界で活動しようとしているのか」「何になりたいのか」
という思いがあるので、それらの設定を全部エイベックスさんにお渡しして、
「この人を○月にデビューさせると考えたら作詞家や作曲家は誰で、どんな曲調にすればいいか」
ってことを念頭に考えていただきました。
―本当にプロデュースしていただいたってことですね!
山上)
そうです。エイベックスさんは「事務所のアイドルを一流にする」ということを考えてこの企画を考えてくださったんです。
だから見事なまでにキャラクターに合った曲にできあがっていて、それに非常に聴きやすい。
それはお客さんが普段応援しているアーティストさんと同じように、エイベックスさんが登場人物を一人の人として考えてくださったからです。
安藤)
Kiriaだと、「この『Reincarnation』という曲はシングル5枚目くらいかな?」
なんて話していましたね。
どういうタイアップがついているかという話も想像しながら会話していました。
―登場人物についてもう少しくわしく教えてください。
山上)
登場人物ひとりひとりには、明確な意志があります。
「こういう風になりたいからここに身をおいている」という。ちゃんとポリシーがあります。
とくにヒロインの織部つばさは、ちょっと悲しい過去があり、
起きた原因や失ったものを探すというのを芸能界に入る理由としていて、
これらもお話の中で明かされているところが楽しみのひとつですよ。
―そういえば、全員が歌手というわけではないんですね。
安藤)
元ギタリストで、現トレーナーとかもいますね。
弓弦エレオノーラは、根拠のない自信のある新人女優。
赤城斗馬は特撮ヒーローの主人公にあこがれている。
いろいろそれぞれ、なりたいものを目指して事務所に入ってきた人たちです。
―主人公である蒼井樹は、他のキャラと異なり、なにかになりたい、という明確な目標がないようですが、よくわからない気がします。
安藤)
樹は、最初は芸能人になりたいわけでもなんでもなくて、
危ないことに率先して首をつっこんでいく幼馴染の女の子に、保護者のようについていく存在です。
だけど、だんだん彼自身も、そうやって突進していく幼馴染や、
悩みながら進んでいく先輩や、チャラそうに見えてマジメに努力している友達や、
そういったまわりの人たちの姿を間近にみていくことで、
だんだん自分自身がどうしたいのかということをつかんでいきます。
山上)
周りのみんなは芸能人になりたくて、「パフォーマ」がある。
でも彼は芸能人になりたくもなんともないのに、なぜ「パフォーマ」があるのか?
しかも「クロム」という大きな存在と共闘出来るほどの力なのか?
……っていうのも、実はストーリーを進めると明かされます。
くわしくはやめておきますが(笑)、たぶんプレイするみなさんが、ハっとすると思います。
安藤)
たぶん、それがわかったときには、
「ああ、樹も成長したな…」と思ってくれるんじゃないかなと思いますよ。
山上)
これだけ周囲の人が強い意志もっているのに、なんで主人公だけハッキリしないの?
ってことについてなんですが、プレイヤーはこのゲームの世界に徐々に慣れながら、
この中で自分がどう生きていくかを進めていくのに、
主人公があまりに最初から強い意志をもっていると違和感がありますよね。
プレイヤーが「俺も世界を救いたい!」という気持ちになるのに合わせて、
主人公もちゃんと成長していくように描かないと、
プレイヤーと主人公の意見が一致しないと没頭できないと思うんですよ。
お客さんとのペースを合わせて成長させていく主人公なんです。
安藤)
いろんな要素を決めていくなかで、やはり主人公は主人公として、
一個人であってほしいということになって、「樹」という人になりました。
山上)
名前にもこだわりがあります。ヒロインの織部つばさにも。
察しのいい人だったら、「シーダ」と何か関係があるのかなと思ったかもしれません。
私たちが翼という名前にどういう意味を乗せたのか。
ひとつひとつの状況や名称、すべてのことに意味をもたせてつくっています。
それを、ぜひゲームの中から感じていただきたいですね。
―それでは、これからゲームをプレイする人たちにひとことお願いします。
山上)
一見単にキラキラしているだけのイメージに見えるかもしれないけど、
僕たちは全力で作っているんです!
この世界をどのように思うかは自由だけど、それにはすべて意味があるんです。
芸能界の中で一生懸命キラキラしている人の後ろにどういう努力があるのか、本気で描いています。
安藤)
ダークな方向性に持っていくこともできたんですが、「全力で明るくいこう」と決めて作りました。
アトラスさんのゲーム好きな方は、べつに暗いゲームが好き、ってわけじゃないと思ってるんです。
世界観がちゃんとしていて、そこに紐づいている設定の融合性ということに対して、
強い支持があるんだと思っていて。 暗いことに意味があるわけでなくて、
取り込まれている要素に意味があるということだと思います。
山上)
だから外してはいけない部分、お客さんがアトラス作品や『ファイアーエムブレム』に対して
重要視している点については一生懸命考えました。
中世ファンタジーでSLGをつくると、結局『ファイアーエムブレム』のまがいものになってしまうし、ダークな世界でのRPGにすると、アトラスさんのまがいものになってしまう。
だから私たちは新しい道を、新規IPとして2つの力を借りて新しく踏み出したのが、
この『幻影異聞録♯FE』です。
私たちなりの答えを出せているのではないかと思うので、
それはゲームから感じてもらえたらと思います。