株主・投資家向け情報

2007年3月期 決算説明会
質疑応答
Q 6  アメリカ市場はあまり大きく変化していない。アメリカ市場に注力したいということだが、DSのポケモンの発売以降で、ゲームボーイアドバンスからDSへのシフトというのを見込んでいるが、特にWiiの今年のアメリカ市場での戦い方についてもう少し細かく説明してほしい。
A 6

岩田:

 先ほどアメリカ市場の変化がもっとも遅かったということを申しあげたのですが、DSにおいて市場変化が起こったのは、どうもやはりアメリカが一番遅いんですね。それは脳を鍛えるソフトが、ヨーロッパとアメリカでほとんど同じ時期に売り出したのに、なぜこんなに差があるのか、あるいは、毎週売れていくボトムの台数といいますか、「毎週だいたいこれぐらいは売れるよ」という台数が、ヨーロッパの方がしばらくずっと高い時期が続きましたので、かつてを考えますと、アメリカっていうのはヨーロッパの2倍は売って当たり前という形でずっとやってきたわけですから、これは異常なことであるわけです。で、(市場の変化という意味では)ヨーロッパが先に開花し、アメリカはまだまだだと申しあげているんです。

 もちろん、ポケモン等の効果で、DSの普及は進むと思うのですが、ポケモンが売れることはもちろん喜ばしいことなのですが、ポケモンが売れるだけではゲーム人口拡大という当社の考え方からすると、不十分なんです。私がポケモンが100万本売れましたと聞く一方で、「どうして今週『Brain Age』は1万本しか売れてないの? ヨーロッパは3万本売れているのに」というようなコミュニケーションをアメリカとしています。ですから、そういうところが本当に動いてくると「本物かな」ということなので、そこを持続的に常に新しいお客様にアピールする努力を続けるようにしようということが一つございます。

 一方Wiiに対する熱ですが、これは私は日本以上にアメリカで実は強いものを感じます。NOA(米国任天堂)の社員たちも、「自分の仕事と離れたところで、これほど自社商品を話題にしてもらえた記憶がない」と言うくらいで、おそらくアメリカの家に集まってパーティーをするという文化と、Wiiという、特に『Wii Sports』というソフトに代表される「誰もが一瞬で遊び方を理解し、5分でもう十分楽しめて、そしてパッとやめられる」という商品の特性との相性が文化的に良いのだと思うんですね。

 そのこともあって、私たちはそういうところでWiiの普及を進めるということが当面の課題だと思ってまして、年の後半になりますと、先ほど申しあげたようないわゆるやり込み要素満載のソフトが出て参りますので、その時期にさらにまた普及を加速させる、という形で、今期は世界最大の市場アメリカで、WiiもDSも最大に売れるようにしたいというふうに考えています。

Q 7  岩田社長が2005年9月の東京ゲームショウの時に、例えばメトロイドプライムなどで、コントローラが非常にファーストパーソンシューターに向くというコメントを出されているが、この辺のコアユーザーからの手応えというのは感じておられるのか。
A 7

岩田:

 私が開発の関係者並びに商品評価をしている人間たちから聞いている範囲で申しあげます。といいますのは、当社では(このジャンルの自社商品を)まだ売っておりませんから、一般のお客様の声はまだ聞けませんので。じつはファーストパーソンシューターをされる方は、家庭用のテレビゲームだけではなくて、PCの上でそれらのゲームを遊ばれておられるんですね。で、「ファーストパーソンシューターは、むしろ家庭用ゲーム機のコントローラのレバースティックとボタンよりは、キーボードとマウスで遊ぶ方が快適なんだ」というふうに言われるようです。それはターゲット(狙い)をマウスでつけ、移動はキーボードという形で遊んでいるわけですけども。その「マウスとキーボードの操作が一番良いんだ」と言っている人たちが、WiiのWiiリモコンとヌンチャクでのコントロールがそれに非常に近い印象があるという感触をお持ちになっていて、従来のビデオゲーム機の標準とされているコントローラよりも、こういうゲームについて可能性を感じるというコメントを聞いています。

 ですから、これがもちろん実際にどうお客様に評価されるかはこれからなんですが、私は「このジャンルのゲームを作るなら、Wiiのコントローラは良いね」って言っていただけるようなマーケットを作るというのも、ゲーム人口拡大の重要な要素の一つだと思っています。

 事実、レバーを2個使って、照準を合わせながら移動するという操作は、慣れた方は楽々とされますが、そんなこと日常生活では誰もしてませんから、初めてやる人はみんなできないんですよね。それで、そういう人たちから「リモコンとヌンチャクであれば割と敷居が下がる」というふうに言われてますので、ファーストパーソンシューターの世界にも新しいお客様を連れてきたいと思いますし、このことは、ファーストパーソンシューターだけではなくて、いろいろ凝った操作になったあらゆるゲーム、例えば、EAさんがお得意のスポーツゲームなんかにも同じことが言えるんですが、そういうところにいろんなチャレンジの可能性があると、私は思っています。

Q 8  DSもWiiもゲーム人口の拡大をする全く新しいハードということで、ゲーム売り場以外でも積極的に売りたいと話をされていたが、そのあたりは今どういった感じで進んでいるのか教えてほしい。
A 8

岩田:

 まず、商品の売り場を広げる可能性そのものは、私はあると思っていますが、一方で大変申し訳ないことなのですが、現在ゲーム売り場で売っている台数が足りていないんです。いつも品切れで、迷惑をおかけしていて、「何とかしなさい」というようなお叱りもいただいておりますし、また、私たち自身、先の需要を見通す力が十分なかったと反省しきりなんですけれど、こういう異常な状況が続いてますと、売り場を広げるとかいう前に、「うちの売り場に来てくれるお客さんの需要にまず全部応えてくれ」と仰るのは至極当然で、また、どこの流通のバイヤーさんも「もっとDSやWiiを割り当ててほしい」と仰っている段階ですから、この段階では売り場を広げる行動はできません。

 ただ、ゲーム売り場には足も踏み入れない方々にも、「生活を豊かにする」とか、「取り巻く方々を笑顔にする」とかいう観点でできる新しい提案は、WiiやDSを受け入れていただける可能性があると思っています。ですから、現状の異常な品切れ状態が解消できましたら、ぜひいろんな形で考えてみたいと思っています。

Q 9  ソニーコンピューターの久夛良木さんが会長を退任されるという発表に関して、感想をお聞きしたいのですが。
A 9

岩田:

 私は何も申しあげられないです。もちろん私が決めることでもありませんし、私が何か申しあげようにも申しあげられることは何もないです。申し訳ないです。

Q 10  DSとWiiの現在の生産能力と今後について伺いたい。
A 10

岩田:

 まず、DSについてですが、以前にもお話ししたこともありましたが、月産250万台という体制で製造を続けております。任天堂はゲームボーイアドバンス時代に230万台というのを一度だけ作ったことがありまして、月に200万台以上というのは本当に数えるほどしかございませんでしたが、DSは昨年250万台にしましてから、ずっとそのまま継続しております。

 それからWiiについては、今月産台数を申しあげてはおりません。もちろん今足りていないわけですから、増産に向けて動いていまして、今月から少しずつ成果は上がって参ります。今月作った分は来月には世界中の市場に入っていきますから、来月からは、市場に出る量が少し増えると思います。

 ですが、よく「任天堂はあまりハイテクは使っていない」と誤解されているのですが、必ずしもそうではありませんで、私たちは今のものを「いかにコンパクトに低消費電力のものにして作るか」というために使っているのは、やはりハイテクですから、その最新鋭のハイテクのものをまとまった量を作るのをさらに何割も増やしていくということは、実は簡単ではないんです。ですから、ボトルネックを一つつぶすと次のボトルネックが、つぶすとまた次のボトルネックが、ということで順繰りにやっておりますので、今日の時点でいついつから何万台になりますと申しあげるのはちょっと早過ぎると思っていまして、もう少し先の見通しがついてからお話ししたいと思っています。

 ですが、とにかくこれから順次製造が増えて、市場投入量は増えて参りますので、お待ちいただいている方々には早くお届けできるように努力したいと思っております。


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