株主・投資家向け情報

2008年3月期 決算説明会
質疑応答
Q 6  Wiiウェアやバーチャルコンソールを楽しんでいるが、フラッシュメモリの容量が足りなく感じており、SDカードによる回避も面倒に感じているが、改善される可能性はあるのか。
A 6

岩田:

 統計的に見ますとフラッシュメモリがものすごく足りないと感じている少数のお客様とかなりスペースに余裕がある多数のお客様がいらっしゃるのは事実です。ただ、最も熱心な方々がそのように不満を感じられているわけですから、どういう方法が一番よいのか、われわれは考えなければいけないなと思いますので研究します。

Q 7 2008年3月期の特別損失の中にある投資有価証券の評価損は何か。
A 7

専務取締役 経営統括本部長  森 仁洋:

 ほとんどが私どもが運用している米国債やUSドル債の評価額が円高により下がったことによるものです。

Q 8  決算説明会資料では、下期のラインアップが少ないようだが、下期のラインアップは7月半ばのE3で発表するのか。去年の終わりから今年の上期にかけてのカロリーと比べるとやや落ちる展開に見えるが、大型タイトルがあるのかどうかお聞きしたい。
A 8

岩田:

 Wiiについては、前年の終わりから今年の前半にかけては、任天堂がプラットフォームの普及のために準備した強力なタイトルを集中して出す時期だということを意識したものです。当然今年の後半もいろいろタイトルを用意していますが、私自身、情報を出してからそれが過去のものになってしまうスピードが非常に速くなったと感じています。自分がユーザーとして感じるのですが、あまり早くから情報に接してしまうと、発売したころにはもう飽きちゃっているということが起こっているように思うんです。そのこともあって、情報を間際まで出さないでおきたいと考えています。

 当然、今年の後半ならびに来年の頭にかけても、いろいろなものを用意しています。またソフトメーカーさんが「Wiiは本当にうまくいくのだ」と納得されてからスタートしたいろいろな取り組みの結果もいろいろ出てきますので、充実した内容になるのではないかと思っています。ただ、今日具体的にこれこれですと申し上げる用意はしてきておりませんので、ご了解ください。

Q 9  以前、岩田社長が非常に普及したDSという、インフラを使って新しいビジネスを構築したいと言われたが、いつごろスタートし、収益に与えるインパクトなど、その後の進捗を教えてほしい。
A 9

岩田:

 昨年の秋にこのお話をしましたので、本来であれば今日お話しする準備ができているのがベストでしたが、パブリックスペースでのDSの利用に関しては、任天堂単独でできることではない要素があります。パートナーの会社さんとの調整、準備、具体的なプランの内容、それらを今日具体的にお話しする準備は間に合いませんでした。ただ、進めていることは事実で、近い将来に実験的な取り組みが複数スタートできるのではないかと思います。

 もちろん長期的に見てこういうことが新しい収益を(直接的に)生むという姿も考えたいのですが、その前に「パブリックスペースにDSを持っていくといいことがあります」、「そこら中のパブリックスペースでDSを開き、活用し、楽しんでいただける方がいます」というような状況が生まれたときに、DSというプラットフォームの活性が高まるわけです。すなわち「あちこちでDSを使っている方を目にする」という状況が生まれるわけです。それが生まれることが、短期的には一番大きなメリットだと思っています。

 逆に、私たちは国内で2200万台のDSを販売させていただくことはできましたが、何が一番恐ろしいかといいますと、「DSが押し入れの中にしまわれて全く触られなくなること」です。もともと人々はDSのない生活を送ってこられ、それで困ってもおられなかったわけです。それがあるソフトに触れて、「これはおもしろいや」と感じていただいて、実際に触っていただいて、毎日の生活の中に溶け込むようになっていった結果、いままでゲームに触らなかった人まで触ってくださり、世帯あたり3人の人にDSを触ってもらえるという過去にはない現象が起きたわけです。

 ただ、「これが維持できるのか」ということが非常に大きなポイントです。ですから、それを維持するために、私たちが何をしなければいけないのかということの中に、もちろん次々とおもしろい提案のソフトを出すことがありますが、それ以外に、DSがあると便利な場所を増やすこともあります。そういう面を含めてご提案しているのがパブリックスペース利用というコンセプトです。もちろんそれが最終的に新しい収益を生むように、ビジネスモデルとしてどんなことが考えられるかという検討、研究もしておりますので、将来はそういうところでも収益貢献できる日が来るかもしれません。

 少なくとも今年、複数のことを何か始めようと思っているということは申し上げられると思います。

Q 10  マリオカートWiiを最近出され、好調とのことですが、少し前、アーケードのマリオカートがけっこうヒットしていたように記憶しています。アーケードのビジネスがよくない原因の一説にWiiのヒットがあるとも聞いていますが、アーケードに関する任天堂の取り組みや考え、また任天堂の新しいビジネスモデルになりうるのかどうかという点をお聞きしたい。
A 10

岩田:

 アーケードのマリオカートは、任天堂がライセンスをして、バンダイナムコさんが展開されたものでした。バンダイナムコさんとはいろいろなかたちで協力関係を持っています。たとえば先ほど(プレゼンの中でも)ご紹介した「眼力トレーニング」というソフトは、バンダイナムコさんのチームでもともとつくられていたソフトを、「うまく仕上げたら非常にいいものになるポテンシャルがある」ということで、「任天堂と一緒に仕上げてよりよいものにしましょう」と任天堂からお声掛けをして、プロジェクトで一緒にやりました。結果、全世界ベースで250万本以上売れたということが起こったわけで、大変喜んでいただいていると思います。そういうこともそうですし、ほかにもさまざまなプロジェクトでご一緒しています。その一環としてやっているもので、任天堂がWiiやDSでマリオカートを展開するのとは、またちょっと違う次元のビジネスの話でした。

 アーケードについては、アーケードでしかできない、価値がある、楽しい体験を提案できるかということが必要になると思います。任天堂は山内の時代にアーケードのビジネスから撤退して、ずいぶん時間が経っております。私も「DSやWiiをどうやって世界中のお客様にお届けし、受け入れていただくのか」ということに集中してきましたから、自分の中でアーケードについて考える時間がなく、アーケードについてどうすればいいかというアイデアは今持ち合わせておりません。

 ただ、基本的にエンターテインメントのビジネスは、「ほかの何々にお客さんが取られていると考えてはいけない」と思っています。ほかのものにはない魅力が自分のつくっているエンターテインメントにあるから、そこにお客さんが来ていただけるわけです。そういう発想をしないといけないのではないでしょうか。仮に私がこれからアーケードのビジネスのことを考えるとしたら、Wiiの影響は考えずに、「家では絶対にできないことをしよう」と考えると思います。あくまで一般論としてですが。


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