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2010 E3 Expo アナリスト Q&A セッション
質疑応答
Q 10  Wiiプラットフォームについてです。Reggie社長が言われた、非常に良好なWiiのハードウェア販売は今も続いていますが、私はソフトウェアのタイレシオ(ハード1台に対するソフト販売本数)はそれほど良くないと思っています。そこで2つに分けて質問します。まず第1に、Wiiプラットフォームのソフトウェア販売が、積極的なバンドル販売の割に少ないようです。サードパーティ・サポートなど多くの理由があると思うのですが。現在の販売速度が良いのか悪いのか、なぜそうなのかについて、任天堂ではどのようにお考えですか。
 2番目の質問は、次のWiiプラットフォームである次のハードウェアのサイクルは、ハードウェア販売の速度だけに基づいているのでしょうか。それとも減速するソフトウェア販売量によって、プラットフォームの勢いが低下し、Wiiの次のゲーム機の投入タイミングが左右され始めていますか。
A 10

Reggie Fils-Aime, President & COO Nintendo of America Inc.:

 まず、ソフトウェア販売を米国の視点で述べさせてください。

 チャートにすると明確で、Wiiのソフトウェア販売は、同じ時期のPS2のソフトウェア販売よりも、非常に多いですね。Wiiと他社の最新2機種との比較でも非常に多いです。それではプラットフォームのソフトウェア販売を考慮する時に、適切な尺度とは何でしょうか。絶対的な販売数ではWiiが多くなっています。ミリオンセラーの数で見れば、Wiiは明確な結果が出ています。『Wii Fit』、『Wii Fit Plus』、『New スーパーマリオブラザーズ Wii』、『マリオカートWii』といったタイトルは、数年前に発売されましたが、今も引き続き非常によく売れています。私にとって更に大きな挑戦的な課題は、Wiiで、サードパーティのソフトがこれと同じような長期にわたる成功、同じような絶対的な高水準の販売を達成してもらうことなのです。このトレンドは見え始めています。『ジャストダンス』を見てください。まず控えめに言っても、世界中で数百万本が売れています。これがプラットフォームのすべてのソフトウェア販売を引っ張るイニシアティブとなるのです。注目するのがソフトウェア販売やハードウェア販売であろうと、岩田からハードウェア移行期、いつが適切な移行期なのかを説明してもらいますが、任天堂がプラットフォームを考える時、息の長い商品寿命を考えており、『Donkey Kong Country Returns』、『Golden eye』、『Disney Epic Mickey』、もちろん2011年に投入予定の新しい『ゼルダ』でも、これを想定しています。


岩田:

 私は、Wiiというハードがすぐに次のハードを必要としているとは思っていないのですが、それでもいつかはそうしないといけないですから、そのいつかの日のことを、いつかはわからないことを前提に次のハードの話をします。

 これは昨日、私がステージでお話ししたことでもありますが、任天堂がニンテンドーDSを出した時やWiiを出した時、今のような結果になると業界のほとんどの人が考えておられなかったわけです。その時点では、本当に任天堂の自社ソフトを中心にハード普及台数の土台を作る以外に方法がなかったからです。しかし、昨日のニンテンドー3DSの発表を思い出してください。「次のプラットフォームは期待できる」と感じていただければ、サードパーティの人たちは、最初からあれだけサポートしてくれるのです。ということは、我々が次の据置型機を出す時がいつか来たら、その時に、我々はいかにサードパーティの人たちに、「この新しいゲーム機はきっと成功する」と思ってもらうかが大事だということです。そう思ってもらうことができれば、彼らは最初から全力でそのプラットフォームをサポートしてくれて、それに任天堂の自社のタイトルが加わります。そうなれば自然とそこには沢山のソフトウェアが集まり、いろんな人たちが参加してくれ、またそのソフトを買おうと思ってくれるいい流れが作れますから、そうなった時に、今言われているような問題は、よりよい方向に変わっていくと私は信じています。

Q 11  明らかに今年のホリデーシーズンから来年第1四半期にかけて、幅広い商品レンジ、つまりマーケットには新しいデバイスと新しいゲームがあります。過去の商品と価格維持でどういう影響があるとお考えですか。小売店側は陳列スペースの関係で新作と旧作を並べて置けないと思います。
A 11

Reggie:

 米国の視点から答えさせてください。発売後も継続的に売れ続けている商品の、主要なタイトルは、今後も非常に良いと予想しています。前述の『マリオカートWii』や、『スーパーマリオギャラクシー1』、そして現在は『New スーパーマリオブラザーズ Wii』が、それに該当します。引き続き店舗ではこれらが強力な存在となり、ホリデーシーズンにかけて今後も好調な販売が見込まれます。サードパーティのソフトにおいても、販売が好調なタイトルは、長期にわたって棚に並べられるでしょう。当社もそう働きかけておりますし、幸いにしてWiiとニンテンドーDS用にできるだけ大きな陳列スペースをいただいています。このようにして棚に並べてもらえる当社のタイトル数が増えると、さらに多くのタイトルの勢いが増して、店頭に置かれる期間が長くなる機会が増えます。ホリデーシーズンの当社予想では、長期間販売が好調なソフトは好調を維持すると見ており、新しいタイトルもそうなると見ています。私が思うに、実際に難しいのは、同じような強力な勢いがないゲーム機の場合では、店頭に並べてもらえずに小売で停滞することがあるでしょう。勝ち組もあれば、負け組もあるはずです。

Q 12  オンライン戦略とタイトルの使用動向についてで、『New スーパーマリオブラザーズ Wii』などのタイトルは、オンライン対応していません。今後の自社ゲームにおけるオンライン対応をどのように考えていますか。
A 12

岩田:

 任天堂の宮本茂が『New スーパーマリオブラザーズ Wii』を作った時に、オンラインの機能を作るかどうかを決めたわけですが、彼がなぜ『ニューマリオ』に関してオンラインを作らなかったのかという話を、まずします。どんな時にも開発というのは、人手も時間も予算も有限です。その有限のリソースの中で、どうすればこのプロダクトの価値が最大化し、もっともユニークなポジションにできるかということを、私たちはいつも考えていますし、宮本ももちろんそうだと思います。彼の今回の結論は、オンライン機能があることよりも、2人、3人、4人が集まって一緒に遊ぶという部分の体験をいかにユニークで面白いものにするかということにフォーカスした方が、ニューマリオの価値が最大化すると考えたためだと思います。

 一方で、「任天堂のオンラインのテクノロジーは遅れている」とか、「任天堂はオンラインに対して消極的なので不満だ」という声も、もちろん私たちの耳に届いています。これはソフトタイトルごとに考えようと思っているのですが、タイトルによってはオンラインの機能をもっと強化し、我々のオンラインの仕組みをもっといいものに変えていく必要がもちろんあると思います。現実に、私たちは、現状のオンラインのシステムに決して満足していませんので、もっとよくしようと計画しています。一方で、すべてのプロダクトをオンライン対応にすべきかというと、必ずしもそうは思いません。むしろ、オフラインでも面白いものを作れるというのは、任天堂の貴重な価値のひとつだと思っていますので、その部分に関しては、「オンラインに注力するよりも、オンラインでない状態で遊びを最大化するべきタイトル」と、「ぜひオンラインを付けてもっとオンラインの仕組みをよくするべきタイトル」と、明確に分けて作っていきたいというのが私たちの考えです。


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