年明け以降の累計販売数の推移を見ると、PS3は昨年以上に好調ですが、Wiiは前年割れ、アメリカでは好調のXbox360も、ヨーロッパでは、前年とほぼ同じ水準となっています。
このグラフをご覧いただいても、Wiiの年末の伸びだけ、やや特殊であることがおわかりいただけると思います。
これは、ヨーロッパの携帯型ハードの毎週の販売推移を昨年との比較でまとめたものです。
今年3月のニンテンドー3DSの発売を受けて、ニンテンドーDSの販売数が前年に対してマイナスにはなっているのですが、アメリカと同じように、3DSが発売されて以降も、あまり影響を受けずに売れ続けていました。
これは、ニンテンドー3DSの販売推移ですが、初動こそ非常に良かったものの、その後の落ち込みが大きく、DSの方が3DSよりも売れる推移だったことは、アメリカと同じです。一度、値下げで販売が伸びましたが、その後、一度販売が落ち、ようやく最近になって、年末のソフトに向けての期待が高まる中で、販売が上向きになってきました。
これを、今年に入ってからの累計の販売数の推移を昨年の推移と比較してみると、ご覧のようになります。アメリカと同じように、DSと3DSの合計の販売推移を前年のDSの販売実績と比較すると、ほとんど前年と同様の推移であることがわかります。年末の伸びについては、昨年以上の盛り上がりを作り出すことを目指しています。
さて、今日お伝えした足下の状況をご覧になると、任天堂が目指している年末商戦の盛り上がりが本当に実現できるのか、懸念をお持ちの方が多くいらっしゃって当然だと思います。
具体的には、日本において、特にニンテンドー3DSについては勢いが出てきており、ソフトラインナップも充実しており、年末の盛り上がりが期待できるのではないか、ということを多くの方が実感しておられると思いますが、
「足下に勢いのない、特にアメリカやヨーロッパの市場で、Wiiやニンテンドー3DSが本当にこの年末商戦で期待通り売れるのか?」という懸念をお持ちだと思います。
特に、業績の先行きを予想される多くのみなさんは、それぞれのプラットフォームの年末商戦の行方を判断する上で、プラットフォームの足下の勢いを基準にして考えられると思いますから、他社さんのプラットフォームに後れをとっている現在の状況をご覧になればなるほど、年末商戦に向けて強気の期待は持ちにくいのではないかと思います。
そこで、過去3年で、7〜9月の販売実績と、商戦期のピークとなる10〜12月が、どのような販売比率になっているのかをプラットフォーム別に調べてみましたので、これをご覧ください。
これは、2008年から2010年までの3年間、アメリカ市場において、10〜12月、すなわち各暦年の第4四半期の各ハードの販売数が、その直前の7〜9月、すなわち各暦年の第3四半期に比べてどのくらい売れたのかの実績を示すものです。
アメリカの年末商戦を含む各暦年第4四半期は、第3四半期に比べて平均で3倍程度の販売になることがわかります。2008年については、年間を通じてWiiの販売が好調な年でしたから、年末の販売の伸びは、他のプラットフォームと変わりませんでした。しかし、2009年、2010年と直近の2年のWiiの年末の伸びは、他のプラットフォームに対して突出しています。
これは、2009年以降、Wii本体を年末に購入しておられるお客様が、季節性の影響を強く受ける傾向があることや、みなさんが集まって休暇を過ごされる年末年始に向いているソフトがWiiには多く揃っていることによるものと分析しています。
事実、アメリカの大手小売店さんの年末商戦におけるWiiに対する期待は非常に大きく、小売店さんと協力して、年末に大きな盛り上がりをつくるべく、準備を進めています。
また、任天堂の携帯型ゲーム機は、以前から年末の販売依存度が高い傾向があり、DSの販売が通年好調だった2008年、2009年には、それほど年末依存度は高くありませんが、2010年には、やはり他のゲーム機よりも高いことがわかります。昨年の年末には、特別なソフトがなかったDSでもこのような結果が出ていましたので、有力タイトルが複数年末に発売される今年は、さらに年末比率が高まるのではないかと予想しています。
これは、先ほどと同じ分析を、ヨーロッパの市場について行ってみたものです。ヨーロッパ全体の市場の約80%程度を占める主要4カ国のデータを元に計算しました。
ヨーロッパでは、アメリカと比較すると、若干年末商戦の伸びの倍率は低いですが、やはり、Wiiが直近の2年間、突出した伸びになっていることがおわかりいただけると思います。
2008年、2009年とXbox360の伸びが高いですが、これは、年末のアグレッシブな価格プロモーションによるもので、動いた総量は必ずしも大きくはありませんでした。
また、今年年末のニンテンドー3DSハードの販売動向については、プラットフォームが一定以上普及したあとのDSの販売状況よりも、むしろニンテンドーDSの初期にどのように普及が進んでいったのかをご覧いただいた方が良いのではないかと思いますので、ニンテンドーDSの発売後2回目のクリスマスまでの販売推移と、ニンテンドー3DS発売からの累計販売の推移をそれぞれの年の同じタイミングで比較したものをご覧ください。
年末商戦期に発売して、最初の2カ月でまず土台を築いたニンテンドーDSと、3月に発売しているニンテンドー3DSという違いはありますが、直近の販売ペースは、赤いグラフのニンテンドー3DSの傾きが、ニンテンドーDSの傾きを大きく上回っていますし、ニンテンドー3DSのこの年末のソフトも強力ですので、年末の盛り上がりは、ニンテンドーDSの2回目のクリスマスを大きく超えるものになることが期待できると考えています。
こちらは、ヨーロッパでの同じデータです。ヨーロッパは、ニンテンドーDSも年明けの3月発売でしたので、現在のところは、普及ペースは併走しています。この年末に、ニンテンドーDSの実績を大きく超えることを目指しております。
日本の市場のデータもあわせてご紹介しておきたいと思います。日本は、ニンテンドーDSが世界でいちばん最初に本格普及の軌道に乗った市場ですので、今年の年末までに、ニンテンドー3DSの累計販売数が、2回の年末商戦を経たニンテンドーDSの実績に追いつくことには無理がありますが、値下げ以降の3DSの販売ペース、このグラフの傾きをご覧いただくと、DSの同時期の販売ペースを上回っていますから、これから、年末の大きな伸びをイメージしていただけると思います。
来週、『スーパーマリオ 3Dランド』の発売以降、ニンテンドー3DSの普及を爆発的に進め、一部で報じられている、ゲーム専用機限界論を払拭していきたいと思っています。