また、任天堂では、定期的にゲーム人口の推移を調べています。
ハードやソフトの販売推移はどうか、ということとはまた異なる角度からの見方ができますので、この機会に、新しいデータをご紹介しておきたいと思います。
これは、世界で最大の市場であり、かつ、スマートフォンの普及も世界で最も早かった、アメリカのゲーム人口の推移です。
このグラフにおいて、青でお示ししているのは、過去1年以内に家庭用ゲーム機、これは、任天堂のゲーム機だけでなく、他社さんのゲーム機も含みますが、何かでプレイした経験のある人で、私たちは、アクティブユーザーと定義しています。黄色で示されているのは、かつて家庭用ゲーム機で遊んだ経験をお持ちでも、過去1年間は遊んでおられないお客様で、スリープユーザーと定義しています。ピンク色は、これまで家庭用ゲーム機で遊んだ経験を全くお持ちでないお客様で、ノンユーザーと定義しています。
ちょうど直近の調査の結果が入手できましたが、ご覧のように、夏の間も全人口の63%という非常に高いアクティブユーザー比率が維持できました。ただ、多くのみなさんは、この中で、DSやWiiのお客様の比率は下がっていると予想されていると思います。ここから、DSやWiiを楽しまれている方々を色分けしますと、
ご覧のようになります。
WiiやDSの販売ペースが落ちており、最近ではヒットゲームも見えていないということから感じておられるイメージとは異なるのではないかと思いますが、アメリカにおけるWiiやDSで遊んでいただいているお客様の規模の維持はできています。逆に言えば、良いソフトを発売することをお伝えできれば、我々には大きなチャンスがある、ということでもあります。
今期は、ニンテンドー3DSの発売後の推移が当初のシナリオ通りにならずに、あるべき普及の軌道に戻すために大幅な値下げを余儀なくされたこと、そして、今期の前半に自社からWiiにもニンテンドー3DSにも有力タイトルがタイムリーに発売できなかったことなどが重なって、プラットフォームビジネスにとって非常に重要な勢いが一度失われる状況となり、収益面に大きな影響が及びました。
来期以降の任天堂は、しっかりと利益の出せる状況に戻せるのかどうか、ということが、みなさんにとっての大きな関心事だと思います。
まず、ニンテンドー3DSハードの値下げによって今期は大きな損失を出してしまいましたが、コストダウンを段階的に進めておりますので、来期には、収益が改善する見込みです。
また、今期のように、有力タイトルをリリースする間隔が極端に空かないように、いろいろなお客様に対して、次に楽しんでいただくタイトルの選択肢を明確にお示しすることで、プラットフォームの勢いが維持できるようにする準備も進めております。
年末年始のタイトルの発売スケジュールが充実していることについては、すでにご存じの方も多いと思いますが、ニンテンドー3DS向けには、来期も有力タイトルを切れ目なく発売できるよう、ソフトメーカーさんとも準備を進めています。
さらにこの先、近い将来の発売予定タイトルについては、すでにその一部を9月のニンテンドー3DSカンファレンスやNintendo Directでもお話ししましたが、これに加えてさらにいくつかのタイトルを準備しています。
先日のカンファレンスでは、ゲームファンのみなさんに今後の展開をお知らせするという意図もあって、自社タイトルは、シリーズ作中心にご説明しましたが、
ゲームに興味や関心をあまりお持ちではない方にも興味を持っていただけるような、新しいジャンルのソフトも、来期に向けて開発しています。任天堂のゲーム人口拡大という基本戦略の元で、ビデオゲームの定義を拡大し、新しいゲームソフト分野を創り上げていくために、来期には複数の新しいソフトを発売する計画です。
スマートフォンの普及で、かつての『脳トレ』や『Wii Fit』のような新しいジャンルの提案は難しいのではないかという見方をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、任天堂のハード・ソフトを一体に提案できる強みと、年齢・性別・ゲーム経験の有無を問わず、幅広いお客様に受け入れていただける製品を仕上げる強みを活かして、良い意味で驚いていただけるような製品の展開を目指してまいります。
また、それに加えて重要になるのが、任天堂プラットフォームの特徴である、長期間売れ続けるソフトの存在です。
昨年のこの場でも、WiiやニンテンドーDSにおいて、長期にわたって売れ続けるソフトの存在についてお話しし、それが昨年の年末商戦の軸になりました。今年も年末商戦では、これらソフトの存在感が大きくなると思いますが、ニンテンドー3DSにおいても、今期に発売した、あるいはこれから発売するソフトの中で、例えば、『nintendogs + cats』、『スーパーマリオ 3Dランド』、『マリオカート7』などのソフトは、3DSプラットフォームが現役の間、長期にわたって売れ続ける可能性が高いと考えています。それをご理解いただくために、DSでは、これらに対応するタイトルが、どのような売れ方をしていたのか、ちょっとこれをご覧ください。