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2014年10月30日(木)経営方針説明会 / 第2四半期決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡

『大乱闘スマッシュブラザーズDX』や『ポケットモンスター ルビー・サファイア』の発売当時、小学生だったお客様は、今、18〜25歳くらいの世代に成長されています。
私たちが世界各地で行っている調査で共通して出ている傾向ですが、3DS版『スマブラ』の初動を支えてくださっていたのは正にこの世代のお客様であり、初期購入者のお客様の中で、18〜25歳の年代が占める割合は、日本では3DSソフト平均のおよそ2倍の約3割、米欧では約5割に達しています。
『スマブラ』でこの世代のお客様のアテンションをニンテンドー3DSに集めることができたことは、この世代のお客様が『ルビサファ』を思い出していただくことにも大きく寄与しており、このことが、『ポケモン オメガルビー・アルファサファイア』の予約好調につながっているのではないかと私たちは考えています。
この世代のお客様は、ご自身の判断で購入ができるお客様であり、『スマブラ』・『ルビサファ』両方が楽しめるのであれば、周囲を誘って必要とあらば本体も一緒に購入いただきやすいお客様でもありますので、この世代のお客様の潜在需要を開拓することが、この年末商戦では重要になってくると考えています。
予約動向から考えても、この同世代仮説から考えても、この11月に発売される『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』は、業界常識で考える「一般的なリメイク作品のインパクト」を超えたポテンシャルを持っているのではないかと考えています。


また、今年前半にニンテンドー3DSのハードの販売ペースが鈍化した大きな要因として、国内市場でミリオンを超えるような有力タイトルを発売することができなかったということがあるのですが、7月に発売したレベルファイブさんの『妖怪ウォッチ2 元祖/本家』は2バージョン合計でダウンロード版を含む現時点のセルスルーが約280万本に達しています。9月の『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS』のセルスルーは、ダウンロード版を含めると現時点で188万本と、間もなく200万本(ダブルミリオン)突破が確実な勢いです。10月のカプコンさんの『モンスターハンター4G』のセルスルーは、発売3週間でダウンロード版を含めて既に200万本を突破しました。これらが短い間隔でダブルミリオンを突破、あるいは突破が確実な状況になっている背景には、それぞれのソフトが異なる世代を主軸として販売できていることもあります。
そこに11月発売の『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』が加わります。
こうしてみてみると、今年の後半は、わずか5か月の間に、


ダブルミリオンソフトが4連発というとんでもないことが起こる可能性も十分期待できる状況です。
日本のゲーム専用機ソフトの歴史を調べても、第三者機関から高い精度で市場のセルスルーデータが入手できるようになった2000年以降、ダブルミリオン以上のタイトルというのは、ニンテンドー3DSで7タイトル、ニンテンドーDSで15タイトル、Wiiで8タイトル、ゲームボーイアドバンスで2タイトル、他社さんのプラットフォームになりますが、PSPで2タイトル、PS2で3タイトルしか存在しません。
過去に5か月で4本のダブルミリオンというのは達成すれば日本のゲーム市場の歴史上初めてのことですし、また先ほどご紹介した3本のソフトが全てダブルミリオンになることも確実ですが、4か月で3本のダブルミリオンも、初めての出来事になります。
それどころか「4か月以内に3本ミリオンタイトルが登場」ということさえ、ニンテンドーDSでは、2005年、2008年、2009年にそれぞれ1回の合計3回、ニンテンドー3DSでも、2011年、2013年、2014年にそれぞれ1回の合計3回のみで達成しているだけで、ニンテンドーDSとニンテンドー3DS以外のプラットフォームには例がありません。

最近、スマートフォンの普及と関連づけて、ゲーム専用機のソフト市場の現状を過剰に悲観的に報道されることが増えているようですが、今お話ししているこの事実は、ゲーム専用機ビジネスのポテンシャルが未だに非常に大きいことの証明でもあり、また、売れているのは任天堂の自社ソフトだけでなく、サードパーティーのソフトメーカーさんのタイトルも大きな結果を出されています。
世界のゲーム市場全般に、売れるソフトと売れないソフトの二極分化が進んでいることは事実ですが、「ゲーム専用機のソフトの市場でも、これだけ売れているソフトが連続して登場している」ということは、是非ご理解いただきたいと思います。


また、10月11日に日本で海外市場に先行して発売したNewニンテンドー3DS・Newニンテンドー3DS LLについても、足下の状況をお知らせしようと思います。


両機種合わせた初週のセルスルーは23.4万台と、これまで当社が携帯型ゲーム機をモデルチェンジした中では、最大の初週販売数になりました。特にNewニンテンドー3DS LLは、広く品切れとなり、供給の不足でご迷惑をおかけしました。


2週目に入っても、そして


3週目に入っても、勢いは持続しているのは、ご覧のとおりです。
お客様からも、強化した3Dブレ防止機能、Cスティック、高速化したCPUなどを、期待以上とご評価いただいている手応えを感じています。
先ほどお伝えしたダブルミリオン級ソフトの連続発売に加えて、このNewニンテンドー3DSが加わることで、今年の日本の年末商戦では、ニンテンドー3DSが大きな存在感を示せるのではないかと、私たちは手ごたえを感じています。


このような背景があって、国内市場では、ソフトメーカーさんの3DSソフト開発意欲も高く、ご覧のように多くのソフトがこれからも登場しますし、ここに掲載されていない、未発表のソフトも多く予定されているとお聞きしています。
任天堂も、来年以降も、ニンテンドー3DSのソフトをしっかり展開していく予定です。


一方で、海外市場に目を向けますと、今年Newニンテンドー3DSの発売は、アメリカでもヨーロッパでも予定していませんし、『スマブラ』と『ポケモン』は発売されても、『妖怪ウォッチ』や『モンスターハンター4G』はまだ発売されていませんから、有力タイトル4連発ということもありませんので、「国内市場はともかく、海外市場で3DSの普及の勢いを加速できるのか」という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。


海外市場は、日本市場とはニンテンドー3DSの普及の段階も、市場特性も異なります。
普及の段階が異なるというのは、その市場の持っているポテンシャルを、今のニンテンドー3DSはどれだけ実際の普及台数に転換できたか、その程度が異なるという意味です。現時点での日本国内のニンテンドー3DSの累計普及台数は、発売から3年半ほどの間に1700万台に近づいています。この台数は、任天堂が2001年に発売したゲームボーイアドバンスの累計の普及台数とほぼ同じであり、いわば、市場が踊り場を迎える台数に既に到達していたわけです。これが、Newニンテンドー3DSの市場投入が今年必要だった理由のひとつであり、一方で海外の市場は、アメリカでもヨーロッパでも、過去の実績を考慮すると市場の総ポテンシャルは日本市場よりも大きいはずなのですが、まだ、累計普及台数は、アメリカ、ヨーロッパとも、日本の普及台数を下回っています。いわば、普及の段階が違うわけです。
また、市場特性が異なるというのは、ソフトの売れ方の大きな違いです。
日本は、情報の伝達が速く、ハードやソフトが一気に売れる市場ですが、アメリカやヨーロッパは、評価をいただいたソフトは長期にわたってじっくりと売れていきます。



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