株主・投資家向け情報

2014年10月30日(木) 経営方針説明会 / 2015年3月期 第2四半期決算説明会
質疑応答
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Q 1

『amiibo』によって何が面白くなるのかを説明してほしい。できれば宮本専務からも話を聞きたい。

A 1

取締役社長 岩田 聡:

 Wii U GamePadにはNFC(「Near field Communication」の略で近距離無線通信機能)のリーダー/ライター機能を標準で搭載いたしました。このNFCリーダー/ライター機能に関しては発売時には私たちから活用提案を十分お示しすることができず、『ポケモンスクランブル U』という商品で一つ実用例をお見せした以外はなかなか展開ができませんでした。今年になってSuica(をはじめとする交通系電子マネーによる)決済に利用可能になり、そして今回、年末に『amiibo』という新しいカテゴリーの商品を発売することで、本格的な活用段階にようやく入れるようになりました。『amiibo』はフィギュアのベース部分にNFCのチップが搭載されており、そのチップにはそのフィギュアが何であるのか、どういう物であるのかという情報のほかに、読み書きができる領域があり、ゲームの側から『amiibo』に搭載されているNFCチップにデータの書き込みができます。読み書きともに非常にスピーディーにできまして、さっと載せるとほぼ一瞬で終わります。先日も海外のメディアのみなさんに、実際に動作する『amiibo』を見ていただいたのですが、「大変読み書きが早いので驚いた」と言っていただきました。これはある意味当たり前で、鉄道の改札を通る時に(交通系電子マネーを用いての改札機通過が)一瞬で読み込みができなかったらたぶん改札は滞ってしまうわけで、あれと同じような感覚で読み書きができるとお考えいただくと良いと思います。(フィギュアの様な)実際に形があるものとゲームの中の世界がリンクするということには本当にいろいろな活用方法があると思っていまして、単に(Wii U GamePadのNFCリーダー/ライター部分に)何かの『amiibo』を載せたら(ゲーム中に)何かが出てくるというような非常に単純な使い方をはじめ、今回『スマブラ』(※)で実現することは、自分のライバルでありパートナーを『amiibo』というフィギュアとして育てて行く遊びで、例えば一人で遊ぶ時に自分の相手としてのライバル、あるいは自分が友達と遊ぶ時に頼もしい相棒を育てていくというような遊びになり、これはゲームの遊び込まれ方が変わる「掛け算」になるアイデアだと思っています。来年に向けてさまざまなゲームで『amiibo』対応を検討しておりますし、また、『amiibo』の形自体も必ずしもフィギュアでなくても良いのではないか、つまり、『amiibo』はいろいろな形態をとって良いのだと考えています。宮本は今、(Wii Uの)GamePadの活用方法をさまざまな角度から考えていますが、その中で特にNFCのリーダー/ライター機能の積極活用について今年開発チームに大号令をかけていますので、おそらく来年その成果となる商品が出てくると思われますが、今話せる範囲で話してもらおうと思います。

※『大乱闘スマッシュブラザーズfor Wii U』(2014/12/6発売)、および『大乱闘スマッシュブラザーズfor Nintendo 3DS』(2014/9/13発売)を指します。
なお、『amiibo』発売時は『大乱闘スマッシュブラザーズfor Nintendo 3DS』には対応しておらず、後日の対応を予定しています。

専務取締役 宮本 茂:

 今、岩田が言いましたようにWii Uというハードはまだまだその魅力をみなさんにお伝えしきれていないほど魅力的で、みなさんにそれを分かっていただく努力をしているところです。Wii Uの序盤で私たちは、GamePadとテレビを使った遊びの面白さ、それから、テレビが点いていなくてもすぐにWii U が立ち上がるという、3DSやDSに近いような感覚でお客様にホームコンソール型のゲームに接していただけるという側面に重点を置いてきました。今は、(本体更新によってシステムソフトを改善することで)その環境がやっと整いましたので、私たちは二画面を活用したゲームを数多く開発中で、E3で発表したソフトのまとめ段階に入っているところです。そういったソフトを来年はかなり大量に発売できる目途が立ったのですが、一方で、二画面の活用ということに私たちはこれまで注力し過ぎてきて、NFCの魅力をもっと早くみなさんに知っていただけるようにすべきだったという反省をしており、NFCを使ったプロジェクトもいろいろと進めています。任天堂はビデオゲームの会社ですが、玩具の会社でもあります。おもちゃには何かしらの「不思議さ」が伴うべきで、その点で今のビデオゲームのソフトにはバーチャル体験の観点では数多くのアイデアがあるのですが、ハードについては各社が一様に高機能化を目指して標準化していきます。そんな中で当社としての差別化が必要で、「新しいおもちゃで遊んだ」という体験が大事だと思います。そういう意味で今、駅の改札など(屋外や商業スペース)でしか使っていない仕組みを、Wii Uでは何かをかざすとその結果がすぐ画面に何らかの形で表れてくるという仕組みを、遊びに使えることが、ものすごく魅力的だと思っています。以前、当社は「カードeリーダー」という商品でいろんなチャレンジをしたのですが、当時実現しようとした面白さがもっと手軽に実現できるのもNFCの魅力です。『amiibo』というフィギュアについて少し説明すると、任天堂のフィギュアが欲しいとおっしゃっていただける方はこれまでも数多くいらっしゃいましたが、当社は他社にライセンス許諾する形でしか当社キャラクターのフィギュアをつくってきませんでした。それを、任天堂自身が品質の高い任天堂フィギュアをつくってみようと決め、任天堂ファンの方にとってはかなり「うれしい」と思っていただけるであろう人形がどんどんできてきています。かなり高品質で細かい細工がされており、フィギュアとしての魅力はもちろんですが、それを遊びに使うということで『amiibo』機能が入っています。さらに、フィギュア以外でも『amiibo』機能を持ったものを創れます。例えば今カード(カードeリーダー)の話をしましたが、カードももちろん『amiibo』の一部として展開します。何種類かのカードを持ってかざすだけで遊べる遊びとか、その結果がきちんと書き込まれているので遊んだ履歴が残っていくとか、具体的にはまだお話しできませんが、カードゲームも『amiibo』によって新しい構造になっていく可能性を持っています。フィギュアも今の豪華な『amiibo』フィギュアだけでなく、小さくて安い、たくさんお買い求めいただきやすいものも提供していきます。そういったものを使って例えば『どうぶつの森』で何かできないかとか、いろんな検討を重ねていますので、期待してほしいと思います。『amiibo』は新しい遊びを創るために使っていくつもりですが、すでに発売されている『マリオカート8』も『amiibo』対応になりますので、「なるほど、こういうことが起こるのか」という体験もしていただけると思います。

岩田:

 『amiibo』は「一つの『amiibo』が特定のソフトだけで使える」というものではなく、少し外側に広がっていて、同じ『amiibo』を「このゲームでかざしてみたらどうなるんだろう」とお客様が感じる、お客様が抱かれるであろうそういった感覚自体がそもそも立派な遊びとしての「不思議な感じ」だと思いますので、そういう形で新しいカテゴリーをつくりたいということを、最初にこの『amiibo』について考えはじめた時からずっと社内で言い続けてきましたし、結果的に社内で「こんなこともできないだろうか」と検討する風潮がどんどん広がっていっている感じがいたします。ありがとうございました。

Q 2

新興国への展開について。他社では9月末辺りから中国展開されているハードもあるが、現在の進捗状況と市場に対する見方、どう進めていくのかについてコメントをいただける範囲でお願いしたい。

A 2

岩田:

 まず、中国については以前から繰り返し申しあげていますが、中国以外の場所で、例えば日本語で私が発言したことが英語に翻訳され、それがさらに現地の言葉に翻訳されて(当初の発言と)ニュアンスが変わって誤解を受けるということを繰り返し体験してきたため、何か中国についてお話しするとしても、現地でお話しした方が良いだろうと考えていますので、中国について、今日こういう計画ですということは申しあげません。各種検討はしていますし、上海経済特区ができて、ビデオゲームのビジネスを正式に中国でできるようになったということは注目すべきことですので、そこで私たちは何をするのが最も良いのかということについては研究中です。

 それから、新興市場に対しては、かつては日本あるいはアメリカ、ヨーロッパで成功した製品をローカライズして新興市場に持っていくというアプローチをしていました。その(製品をローカライズして発売する)頃には少しコストダウンも進んで「新興市場の人たちにも買っていただけるのではないか」というやり方で、一定の結果が過去には出ていました。しかし、ゲーム機というものはそれほど簡単に原価が下がるものではありませんし、また実際に一つの限界として、そのやり方をしているだけでは、新興国の富裕層のお客様、あるいは非常に熱心なゲームファンで所得の非常に大きな割合をゲームに費やしてくださるお客様に限定した普及にしかなりません。投資家のみなさんが新興国展開にご興味をもたれるのは、「任天堂は幅広いお客様にアピールできるはずだ。ゲームの関与度もすごく濃くて熱い方々から、すごくカジュアルな方まで、DSやWiiで大きくユーザー人口を増やすことができていたではないか。それを新興国でどうやるのか」ということを求められているのだと私は理解しているのですが、そうだとすると、かつてのアプローチだけではうまくいかないと思うのです。

 2年ほど前に、ビジャイ・ゴビンダラジャンさんという人が書いた『リバース・イノベーション』という本を読んだのですが、その本を読んで、「自分たちの過去のアプローチをそのまま継続するだけでは大きなビジネスにならない、本当の意味で新興国を開拓したことにならない」と痛感しました。先日、「これから任天堂はスマートデバイスをゲームプラットフォームの中で、どう活用するかを考えていきます」ということを申しあげましたが、これは例えば「スマートデバイスでお客様と任天堂のつながりをつくって、そのつながりをゲーム専用機に導いていくということをやっていきます」ということをお話ししていたわけですが、新興国への新しいアプローチは「スマートデバイスで新しいお客様とのつながりをつくりながら、先進国でやっているものをただローカライズして持っていくのではなく、新しいことをどうやってするか」ということになっていくと私は思っています。実際に新興国への新しいアプローチをいつ始めるのか、どこの国からやるのか、どのような製品を考えているのかということには、いろいろな考えがあるわけですが、実際に私がお話ししてから展開するまでに時間が空き過ぎてよいことは何一つないので、今日はここまでにさせていただきます。ありがとうございます。

Q 3

QOL事業について聞きたい。来年からビジネスを開始されるという理解をしている。まずQOLセンサーを販売して、その後お客様にカウンセリングのようなサービスを提供していくというイメージを持っているが、ビジネスモデルのイメージがわきにくい。任天堂らしい利益を取り戻す上で、このビジネスが大きな役割を担うのかというところの考え方も含めて整理したい。

A 3

岩田:

 まず、このQOL事業については、来期に事業を開始して、再来期から収益貢献できるようにしたい、という計画で、前回の経営方針説明会でお話ししたことと変わっていません。今日お見せしたスライドには「2016年」と書きましたが、収益貢献できるようになる時期を考えると「2015年」と書くより「2016年」と書いた方が適切かと考え、そのように書きました。そのような時間のレンジで考えているということです。

 ビジネスモデルについては、「こういうサービスをこんな形で、どういう料金体系とビジネスモデルで」とお話しできるタイミングになったら詳しくお話ししたいと思います。ただ、今までは製品を売り切るスタイルのビジネスがほとんどでしたが、こういうサービスになりますと、売り切り型のサービスよりもサブスクリプション(期間課金)型の、継続してお客様とお付き合いをしていくビジネスの方が本質的に向いているだろうとは思います。ただ、最初に何をいくらで買っていただいて、それからどれくらいの料金体系で継続いただくか、という具体的なことについては、実際のサービスの姿や、実際の商品をお見せできるタイミングで詳しくお話しさせていただくことになると思います。基本的には、今までの売り切り型ビジネスとは少し違うスタイルとなります。

 それから、「どこまでの収益貢献ができるか」ということについては、大きな可能性があると思っています。「Five “Non” Sensing」は非常に面白い考え方で、今まで手付かずだった非常に大きなマーケットをつくり得ると思っているから始めるわけです。一方で、どんなビジネスでもそうですが、新しいことを始める時に、それがどれだけの規模になるのかというのは、私自身の心の中で思っていることがあっても、まだ具体的にビジネスモデルや料金体系についてお話しできない段階で、その数字だけを申しあげてもあまり意味がないと思いますので、今日は申しあげません。任天堂が昔、「ゲーム人口拡大」といいはじめて、『脳トレ』や『Wii Fit』をつくりはじめた時に、「このような市場になる」ということを実物をお見せして、ある程度売れはじめる前に申しあげていたとしても、どなたも信じてくださらなかったのではないかと思いますので、むしろ「任天堂はこんなものを出してどうするんだろう」と世の中から思われたけれども、それが結果としてすごく大きな市場になったということが過去に何度も起きているという実績で見ていただくのがよいかな、と思います。


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