株主・投資家向け情報

2014年10月30日(木) 経営方針説明会 / 2015年3月期 第2四半期決算説明会
質疑応答
Q 4

現在御社のハードウェアやゲームには世界中の地域でリージョンロックがかかっていて、一地域で買ったゲームはほかの地域ではプレイできないというスタイルになっているが、その制限をアンロックする計画はあるか。

A 4

岩田:

 かつて、ゲームビジネスでは、ローカライズ等に非常に長い時間がかかるという歴史があったり、各国ごとにマーケティング上のさまざまな制約や都合があったり、あるいはゲーム上で動くコンテンツのライセンスされる領域が必ずしもグローバルではなかったりと、いろいろな事情があって、ある意味、お客様のためというより売り手側の都合でリージョンロックというものが存在していたと思います。ゲーム機の歴史の中で、現在はそういう状況になっているわけですが、今後どうしていくべきなのかについては、アンロックをした場合、お客様にとってのメリット、それから私たちにとってもメリットがあるかもしれませんし、逆に、アンロックしたことによって生じるさまざまな課題の解決ということがありますので、今日の時点で、アンロックするつもりだとかしないつもりだとかということは申しあげることはできないのですが、将来に向けて検討されるべき課題の一つだとは認識しています。

Q 5

QOLの説明でクラウドサービスを介したスマートデバイス活用の言及があったが、例えばゲームで行える可能性はあるのか。他社がクラウドサービスを使って、スマートデバイスも含めたプラットフォームの統一化を目指すと明言しているが、その可能性がなければどうするのか、可能性があるのであれば3DSとどのように両立していくのか、技術的に越えていかなければいけないハードルがあれば教えてほしい。

A 5

岩田:

 まず、スマートデバイスに関し、クラウドにサーバーがあることの優位性とはお客様といつでもインターネットを介してつながっていることですので、つながっているがゆえにできることがたくさんあります。また、クラウドのもう一つのメリットは、お客様の増減に伴って、サーバー群の処理能力を自由に増やしたり、小さくしたり、コストを効率よく運営できることも含めて存在すると思いますが、ゲーム事業でそのスマートデバイスやクラウドサービスのメリットを活用する可能性はもちろんあると思います。一方で、私たちは、前回から申しあげていますように、スマートデバイスの活用とは、「お客様とより強いつながりをつくる」ということを目標にしています。直接、私たちがクラウドとスマートデバイスを使って、ビデオゲームでビジネスをするということとは一線を画しているということは、これまでお話ししている通りです。ですから、今のご質問が、QOLで行うように、クラウドとスマートデバイスを使って、直接ビデオゲームのビジネスをするつもりがあるのかということでしたら「ノー」という答えになりますし、それを利用する気があるのかと問われれば当然「イエス」です。スマートデバイスを使ってお客様とのつながりをつくって、そのつながりをビデオゲームの世界で利用していったり、どのようにしてビデオゲームにより興味を深くもっていただいて、私たちのプラットフォームの参加者を増やしていくかということについては、前向きに考えていますし、現在さまざまな準備を進めているところです。

Q 6

QOLで改善策を提案してもらっても、お客様がそれを継続できなければ、一時的に売れても長期的にビジネスにはならないのではないかと思うが、その辺りについて具体的にどう解決していくつもりか。

A 6

岩田:

 任天堂は娯楽ビジネスにずっと携わってきて、「ビデオゲームで遊んだら、自分の努力以上に大きなこと、たくさんのご褒美が返ってくるので、ついつい続けてしまう」という、いわゆる「ゲームにはまる」ということについて考え抜いてきた企業のつもりです。それは、私たち作り手の思うように作用することもあれば、思うように作用しないこともありますし、それにすごく響いていただけるお客様がいらっしゃれば、響いていただけないお客様もいらっしゃいます。それは商品によってさまざまな幅があるわけですが、そのような、私たちがこれまでやってきた経験を、どのようにしてこのQOL事業に活かすのか、ということだと思います。ハードルは2つあると思っていまして、一つは、生体情報を計るというのは、普通はお客様に努力を強いるということです。すなわち、普段しないことをしなければいけないということです。「何か身に着けなさい」とか、「この機械の前に座って、何かをして、何分待ちなさい」ということをお客様に求めますと、それに対してよほど大きなご褒美が得られないと続けていただけないということです。続けるための第一義として、「いつも寝る場所でただ眠っていただくだけでよいです」という状況にいかに近づけるかということがあって、今日お話しした「Five “Non” Sensing」というのはそのためのことです。それから、みなさんは自分のさまざまな生活の隙間の時間で、スマートデバイスを触られる時間帯がおそらくそれなりにあると思います。スマートデバイスが触られる仕組みの中に、通知(ノティフィケーション)という仕組みがあって、何か新しいものが来ると、例えば「メールが届いた」でもそうですし、「ニュースで何かアップデートがありました」、あるいは「みなさんが注目されている銘柄の株価が大きく変動しました」ということは、能動的にお知らせがくると思いますが、ノティフィケーションをどう使うかということがカギになると思っています。実際にQOLサービスを展開するまでにはまだ少し時間がありますので、今の段階ではまださらに具体的にお話しすることはできないのですが、「計測のハードルを非常に下げて、ただ眠るだけでよいということにすること」と、「人々の生活にすでに入り込んでいるスマートデバイスのノティフィケーションをうまく使って、それがゲームのノウハウと融合した時に面白いことが起こせそうだという手応えを持っている」ということまでを、今日はお話しさせていただきます。


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