本日は、お忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。社長の岩田でございます。
まず、当社の第3四半期決算発表翌日の1月29日に設定しておりました決算説明会の前日深夜から当日朝にかけて突然の発熱があり、急遽当日になって決算説明会の日程を延期させていただくこととなり、みなさまにご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。
本日は、経営方針説明会ではなく、年間最大の商戦期である年末商戦後の決算説明会ということで、年末商戦の結果とビジネスアップデートを中心にご説明させていただきます。来期については、ニンテンドー3DSとWii Uのビジネスについて、さらなる販売拡大に努めていきますが、それと並行して、スマートデバイスの活用、自社キャラクターIPの積極的な活用、そして、QOL向上プラットフォームビジネスなど、新たな取り組みも複数予定しております。これらの展開については、現時点でお話しできることが限られており、部分的にお話ししても全体像を説得力を持ってお伝えすることは困難です。期末の決算説明会時には、業績予想も含めて、できるだけ具体的なお話をしたいと考えていますので、本日のプレゼンテーションには、これらのお話は含まれていないことを、予めご承知おきいただきますようお願いいたします。
過去3年、当社は収支のバランスを崩し、第3四半期までの累計で営業赤字が続いておりましたが、今期については、減収とはなったものの、営業黒字に復帰し、収支のバランスは改善いたしました。
これから、ニンテンドー3DS、Wii Uそれぞれについて、推移をご説明いたします。
まず、ニンテンドー3DSについてです。
まず、今決算でのひとつのハイライトとして、ニンテンドー3DSシリーズの累計普及台数が5000万台を突破し、5041万台になったということがあります。
これまで、いろいろな3D表示のできる製品が世の中に出ましたが、3D映像表示のできるプラットフォームとして、ニンテンドー3DSは、圧倒的に大きな存在に到達したと言えるのではないかと思います。
一方で、今期のニンテンドー3DSは、当初の想定どおりに普及が進んだとは言えません。これは、国内と海外で少し事情が違いますので、ご説明いたします。
これは、ニンテンドー3DSの今上半期における各地域でのハード・ソフトの前年実績に対するセルスルーの比率です。
一昨年10月に『ポケットモンスター X・Y』を発売してから、昨年の前半は有力タイトルの発売間隔が空いてしまったことがあり、全世界的に、ニンテンドー3DSのハードの販売ペースは低下していました。
特に日本市場においては、発売以来記録的なハイペースで普及が進んできましたが、既にゲームボーイアドバンスの累計普及台数を上回っていることなどもあり、ハード販売が踊り場を迎え、前期に対して他地域に比べても大きく減速していました。
一方、ソフトウェアについては、日本では、7月に『妖怪ウォッチ2 元祖/本家』や9月に『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS』などの販売があったことや、海外では、前年発売の『ポケットモンスター X・Y』が安定して売れ続けたことなどから、ハードウェアと比較すると一定の販売規模を維持していたのは、ご覧のとおりです。
これは、ニンテンドー3DSの今期第3四半期における各地域でのハード・ソフトの前年実績に対するセルスルーの比率です。
Newニンテンドー3DSを日本で10月11日に発売しました。ご覧のように日本では、ハードウェアの勢いが再加速していることがおわかりいただけると思います。オーストラリアでは11月21日にNewニンテンドー3DSを発売していますが、このグラフではハードウェアの勢いが伸びていないように見えます。これは、前年10月上旬に『ポケモン X・Y』とニンテンドー2DSを発売しており、四半期を通してハードの販売が伸びたのに対し、昨年は11月後半のNewニンテンドー3DS発売まで勢いが回復しなかったためです。12月単月を見ますと、前年同月比で94%となり、日本と同水準となります。一方で、アメリカやヨーロッパにおいては、Newニンテンドー3DSの発売を、年明けの2月13日に設定しましたので、年末商戦期に新機種待ちのお客様が出てしまい、ヒットソフトが出たにもかかわらず、ハードを伸ばしきれませんでした。この業界の基本原則は、「ソフトウェアがハードウェアを売る」ということだと言われているのですが、Newニンテンドー3DSの発売が控えており、そしてNewニンテンドー3DSを先行して販売した地域でお客様から高いご評価をいただけたことは、年末に売れるはずの需要を年明け以降にシフトさせてしまったり、他の製品に優先順位が移ってしまう状況を作ってしまいました。
結果、ハードが伸びなければ、一緒に普及するはずのソフトも伸びませんので、大ヒットソフトが複数発売できたにもかかわらず、アメリカ、ヨーロッパでは、ソフトについても、前年実績を下回ってしまいました。
ちなみに、ここにお示ししているアメリカのデータには、デジタル版の販売分は含まれていませんが、アメリカの自社ソフトだけに目を向けますと、2014年暦年全体では、パッケージ・デジタルを合計した販売数は、前年対比2%減と、ほぼ前年並みになります。後でご説明しますが、Wii Uでは自社ソフトが大幅に伸びましたので、任天堂の3DS・Wii Uを合わせた自社ソフト販売数では、前年対比15%増になっています。
このように、ニンテンドー3DSでは、ハードの普及において課題を残しましたが、ソフトについては、
まず、国内で、7月から12月までの6か月間にダブルミリオンを越えたニンテンドー3DS向けソフトが5タイトル登場、という大きな手応えがありました。10月の経営方針説明会において、「ダブルミリオン4連発が達成できるかもしれない」とお知らせしていましたが、それ以上の結果になりました。前回も申し上げましたが、これは、日本のゲーム専用機ソフトの歴史を調べても、第三者機関から高い精度で市場のセルスルーデータが入手できるようになった2000年以降初めてのことですし、それ以前のゲーム市場の市場規模を考慮すると、「日本のゲーム市場の歴史上初めてのこと」と申し上げても差し支えないと思います。これほどの密度でのダブルミリオンタイトルの登場は、日本で最も普及したゲーム機であるニンテンドーDSの最盛期にもなかったできごとでした。
これは、今回のダブルミリオンタイトルの一覧ですが、今回のダブルミリオン5タイトルのうち、サードパーティーのソフトメーカーさんのソフトが3タイトルあります。
「スマートフォンの普及によって、ゲーム専用機のソフトビジネスは縮小していくのでは?」というご意見をお持ちの方もおられるようですが、その一方で、このような実績を持つニンテンドー3DS市場のポテンシャルは、スマートフォンでゲームをつくっておられるソフト開発者の方々にも注目していただいており、2013年末に発売した『パズドラZ』に代表されるように、スマートフォンで生まれたゲームが、ニンテンドー3DS向けに開発されてヒットするというような事例も生まれています。現在も、いろいろな開発者の方々からコンタクトをいただいています。
日本では昨年9月に、海外では昨年10月に発売しました『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS』は、9月末時点での全世界での出荷本数は322万本とお知らせしていましたが、その後も順調に普及が進み、全世界での出荷本数は619万本になりました。
発売前は、「ホームコンソールゲーム機向けのソフトとして実績があった『スマブラ』は、携帯ゲーム機向けのソフトとしても売れるのだろうか?」というご心配をいただく声もありましたが、品質的にも大変高い評価をいただき、今も順調に普及が進んでいます。
ちなみに、『スマブラ』シリーズが過去によく売れた実績を持つ日本やアメリカに比べますと、ヨーロッパでは『スマブラ』シリーズの認知が進んでいませんでしたので、3DS向けの『スマブラ』の初動は遅かったのですが、発売から時間が経過するに従い、口コミが広がって徐々に数を伸ばしてきました。
全世界で11月に発売しました『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』は、全世界合計の出荷本数が935万本となりました。前年発売の『ポケットモンスター X・Y』と比べると発売が1か月以上遅かったため、年内の出荷本数は『ポケモン X・Y』には劣りますが、年明け以降も『ポケモン オメガルビー・アルファサファイア』を持続的に売っていくチャンスが大いにあるという手応えがありますので、これからもずっと定番として、多くの人に手にとってもらうことを目指していきます。発売前には「リメイク作なので、完全新作に比べるとポテンシャルがかなり小さいのではないか」というご意見もいただきましたが、これを良い意味で裏切るような結果を出せるのではないかと思います。