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2009年5月8日(金)決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文
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おはようございます。お集まりいただきありがとうございます。


まずはじめに、第69期の実績についてお話しします。


第69期、2009年3月期の連結売上高は1兆8,386億円で、前期に比べ9.9%増加いたしました。昨年秋以降に為替レートが大幅に円高に振れたことにより、円換算した海外売上高を減少させる力が働いたことや、国内市場が縮小したことなどの影響を受けましたが、海外市場での伸びが大きく過去最高の売上高を達成することができました。また、営業利益は5,552億円となり、前期に比べ14.0%増加しました。経常利益は、期末為替相場が1ドル98.23円、1ユーロ129.84円と、前期末より特に対ユーロで大幅な円高となったことで1,339億円の為替差損が発生したことなどの影響を受け、増加率が1.8%の4,486億円となりました。当期純利益は、主に経常利益が増加したことにより、前期より8.5%増加し、2,790億円となりました。
これら全ての数字は、過去最高のものとなっています。


これまでもご説明してきたとおり、当社は、連結営業利益の33%または連結配当性向50%の高い方を選択して配当総額を決める配当方針を掲げております。
当期は、連結営業利益の33%を選択した方が配当額が高くなりますので、これに基づき1株あたり1,440円の年間配当を予定しております。この配当額は、前期に対し180円増配、1月時点の業績予想に対して70円増配となる過去最高の配当額となります。既に660円の中間配当をお支払いしておりますので、期末配当は1株あたり780円となります。これを今期の株主総会にお諮りし、総会で決議の上でお支払いしたいと考えています。


ちなみに、海外売上高比率が前期の80.6%からさらに高まり、当期は87.5%となりました。期中の平均レートが前期に比べて大幅に円高になったことによって、円換算した海外売上高を減少させる力が働くにもかかわらず、このように海外売上高比率が高まったのは、主に、海外売上高が大幅に伸びたことによるものです。

海外市場の伸びは、統計にもはっきり表れていますのでこちらをご覧ください。


これは、アメリカのNPDグループが公表している、ゲーム市場の規模の推移です。ご覧のように、2007年、2008年の2年間に、市場が大きく拡大しているのがおわかりいただけると思います。
特に、昨年秋以降の世界の経済情勢を考えますと、このような推移をしている産業は、他にほとんど例がないと思います。Wiiが発売されたのは、2006年12月ですが、Wiiによる市場拡大の寄与のほか、DSが日本やヨーロッパに遅れて、アメリカでも本格的な普及が始まったことがこのような拡大を実現させました。


このデータは、この中から、ニンテンドーDSやWiiなど、任天堂のプラットフォームに関わる部分を色分けしたものです。ゲーム市場の中で、任天堂の存在感は急激に拡大しています。特に2007年から2008年にかけては、市場拡大のほとんどの部分が任天堂のプラットフォームによるものとなっており、任天堂が市場の成長を牽引しているのが一目でおわかりいただけると思います。
3月のゲームデベロッパーカンファレンス(GDC)の基調講演でこのグラフをお見せしたときに、気づいておられない方もいらっしゃったようなので補足しておきたいのですが、この色分けされた部分は、任天堂のプラットフォームのハード、ソフト、アクセサリーを全て含みますので、ここには、任天堂の自社ソフトだけでなく、サードパーティのソフトメーカーさんのソフトも含まれています。


これは、ヨーロッパの中でも特に大きな市場であるイギリス、フランス、ドイツ3カ国のゲーム市場規模の推移です。データが過去4年分しか集計できませんでしたが、アメリカと同じように、過去2年間で急速に市場が拡大したことがおわかりいただけると思います。


そして、これもサードパーティのソフトメーカーさんのソフトの販売数も含んでいますが、その中の任天堂のプラットフォームの占める割合を色分けしたものです。

ここでも、アメリカと同じように、任天堂の存在感が急激に拡大していることがおわかりいただけると思います。市場全体における任天堂プラットフォームの売上高シェアはヨーロッパでは約55%となっており、アメリカが約47%ですから、ヨーロッパはアメリカ以上に高いものになっています。


アメリカやヨーロッパなど海外の市場が、これほどの急激な成長を見せたことは、過去にほとんど例がありません。そして、このゲーム市場の成長を任天堂が牽引していることは、データが示している通りです。任天堂が、「ゲーム人口拡大」を基本戦略として掲げてきたことはみなさんもよくご存じだと思いますし、その過程で、かつてはゲームのお客様としては考えられないような方々が、DSやWiiで遊んで下さるようになったことは、その都度、写真などでご紹介してきました。
そこで、今日は、ちょっと異なる角度で、このゲーム市場の成長を支えてきた「ゲーム人口拡大」の実態についてご説明したいと思います。


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