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業績予想の前提条件の変更に伴う具体的な数字と要因分析について、もう少し解説してほしい。為替前提の変更に伴う売上高、営業利益への影響額および営業外の為替差損益について、通期ベースで教えてほしい。 また、DS、Wiiのハード、ソフト、それぞれ下方修正されているが、マーケット全体による影響、ソフト不足、マジコンあるいは違法ソフトによる影響、恐らくこの三つの影響があると思われるが、DSとWiiそれぞれについて、どういった割合で影響が出ているか。 |
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専務取締役 経営統括本部長 森 仁洋: 上期の業績予想は本日(2010年9月29日)の為替を参考にして計算しております。本日はドルが84円、ユーロが114円くらいだったと思います。下期は、ドルが85円、ユーロが110円という計算をしておりますので、下期には大きな影響は出ないと思っております。上期について、まだ9月の決算を締めておりませんので、具体的な数字でお話しすることはできませんが、大体の感覚としまして、営業利益と経常利益の差額プラス私どもの営業外収益部分が、為替差損という形で影響するものと思います。 岩田:
DSとWiiのハード、ソフトの前回の予想と今回の予想の差異についてですが、まずニンテンドーDSに関しては、今年の年末にニンテンドー3DSを発売しないことにいたしましたので、そのことによってニンテンドー3DSの今年度内の数量が減りました。これが一つの要因です。また、今年の上期は昨年と比べますとDSの販売数が減っています。そのことを考慮いたしまして、この新しい数字を決めました。Wiiのハードについては、数字を若干減らしておりますが、極めて大きな変動という数字ではないので、これは現状の足元を見て新しい予想を下に再計算した結果だとお考えください。 違法ソフトといいますか、海賊行為といった方がいいでしょうか。ゲームソフトをコピーして遊んでしまうというようなことがニンテンドーDSでもWiiでもそれぞれ起きていて、私たちもいろいろな対策を講じるわけですが、いたちごっこのようになかなかなくなりませんし、法律でも完全に防ぐことはなかなかできません。こういうものの影響がもちろんないとは言えませんが、一方で、「ソフトはこういうことになったから売れないんだ」という議論がよくあります。例えば、つい最近の例ですが、スペインはソフトウェアの海賊行為に対して法的な手段を取ることが他の国よりも難しい国だと言われています。そういうデバイスが他の国では違法であるという判決が出るのに、スペインではなかなかそういう判決をいただくことが難しいということもあって、結果として、「ニンテンドーDSのマーケットは海賊行為が横行しているのですごく縮小してしまった」と言われていましたし、しばらくニンテンドーDS用のソフトがヒットチャートの上位に来ることも事実なかったのです。ただ、日本で『絵心教室DS』という名前で出た、絵の描き方を教えてくれるソフトが『アート・アカデミー』という名前で今年の夏ヨーロッパで発売されているのですが、これはスペイン全体のあらゆる機種のソフトの中で週間ヒットチャートで一番になりました。たくさんの人が興味を持って社会の話題になれば、いくら海賊行為があってもソフトは売れるわけです。ですから、もちろん海賊行為をどう防ぐかというのは、私たちはプラットフォームホルダーの責任として今後も取り組みますし、ニンテンドー3DSのように新しいプラットフォームにする時はそれを強化する絶好のチャンスですので、積極的にやります。しかし一方で、「海賊行為のせいでゲームは売れないんだ」と私たちが言うのは言い訳だとも思うのです。本当に多くのお客様に興味を持っていただき、楽しんでいただけるものができたら、そのような環境でもソフトはヒットチャートの一番になれます。これらのことを同時に、両面から考えたいと思います。海賊行為の影響は確かにありますが、買ってまで遊びたいと思っていただける方をいかに増やすかがポイントなので、その影響のせいで数が減ったというふうには簡単に考えないようにしたいと思っています。 |
8 | ソーシャルゲームの急拡大による影響というのは、あまりないという見方か。それとも、より脅威的な存在になっているというような認識か。 |
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岩田: 最近非常に頻繁に、「ソーシャルゲームの急拡大によって任天堂のビジネスに影響が及んでいるのではないか」という話がされるものですから、ちょっと調べてきましたので、スライドを使います。
「ソーシャルゲームが流行したから任天堂の業績が悪くなった」というような話が報道されることがあります。時期的に任天堂がWiiやDSで業容を拡大した後、少し踊り場が来てちょっと下がったという今の状況と、日本で携帯電話用のソーシャルゲームが急拡大した時期というのが一致するものですから、「これには因果関係があるのではないか」、すなわち「DSやWiiのお客様が大量にシフトしているのではないか」、「今までゲームにお金を払って遊んでいたけれども、ゲームが無料で遊べるようになったので、それが原因だ」ということがよく新聞に書かれたりしておりますので、本当にそうなら私たちは何かしないといけませんし、そうでないなら、「そうではありません」とはっきり申し上げた方がいいと思い、ちょっと調べました。 |