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任天堂カンファレンス Q&A セッション
質疑応答
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Q 13  据置型について。足元で新型ソフトが思ったほどハードを牽引してないという事実があり、今後、来期『ゼルダ』や、「バイタリティセンサー」など、まだ詳細発表されていないものが出てくるが、こういったソフトで、インクリメンタルなハードの獲得(ハードの拡販)が可能という考えか、あるいは他に施策が必要だと考えているか。施策が必要だという判断はどういうタイミングでしていくのか。
A 13

岩田:

 まず、Wiiにつきましては確かに足元がすごく強いわけではありませんし、『マリオギャラクシー2』が出たら、それだけでハードがポンポン売れるということが起きていないのも事実です。一方で、すごく足元が悪いと見ていたら、今回の予想の変更で、このような数字は出しておりません。その意味で、すごく悪いと思っているわけではありません。むしろ今の環境だと、またこれからWiiを買われるお客様は、今まで以上に年末商戦期の集中型の消費になるのだろうなと思います。これは任天堂がこう思っているだけではなくて、世界中のいろいろな小売店さんと当然年末商戦のご相談をさせていただいているわけですが、そういう人たちの見方もかなり共通しています。すなわち「年末商戦期にクリスマスプレゼントを買おうという時期に、買っていただけるものになる」という意味で、その時期に私たちはどういう形でお客様に「買うのは今だ」と思っていただくかというのがポイントかなと思っています。その意味で、「据置機はもう限界だから、何かしなきゃ」と思っているわけではありません。ただその商戦期にも、私たちの期待のような動きをしなかったら、その時に黙って見ているとプラットフォームがおかしくなってしまいますので、何か考えなければいけないのかなと思います。一方で、今日「Wiiリモコンプラス」のお話をさせていただきましたが、こういうものもこれからの提案の一つになると思います。

Q 14  ニンテンドー3DSのスペックについて。確か前回の説明会で、3DSはかなりハイスペックなマシンではないかという話をして、実際かなりハイスペックだったと思うが、今回従前と比べてスペックを大きく上げた背景には何があったのか。従来、岩田さんのお話では、DSでやり尽くしてしまったら新しいハードを出すというところがあったと思うが、これほど高いスペックのゲーム機がなぜ必要になったのかというところを説明してほしい。
 それに関連して、スペックをこれくらい上げてしまうと、「すれちがい通信」した場合にバッテリーが持たないのではないかという懸念も持っている。実際、『ドラゴンクエストIX』の時に「すれちがい通信」をするために、朝スイッチをオンにして、帰るまでずっとやっていると、バッテリーがなくなってデータが消えるということもあった。その点はどのような配慮をしているのか。
 スペック表を見ているとSDカードが同梱されているが、3DSにストレージ(記憶装置)は内蔵されずにSDカードから起動できるようにすると理解していいか。
A 14

岩田:

 まず、スペックですけれども、今回はいろいろな開発者の方にとって、「スペックが理由で、(任天堂のゲーム機では)自分たちのソフトが作れない」と思われることがないようにしたいというのが一番の理由です。もう一つは裸眼立体視なのですが、ずっとトライしてきて、今これで出せると思えた一つの理由は、裸眼立体視用の液晶の表示性能も、あるいは解像度もともかく、やはり本体が生成できるグラフィックスのリアリティとのバランスなのです。すなわち、「一定以上解像度がないといけない」「一定以上、立体視液晶の性能が高くないといけない」「一定以上リアリティのある絵が出せないといけない」ということが全部組み合わさって初めて、今日多くの方に体験していただいていると思いますが、あの3D表示のリアリティが出せているということもあって、そのバランスが3D表示のためにも必要だったということもあります。
 また、私たちが「すれちがい通信は面白かったけど、DSではここまでが限界だった」ということであったり、あるいは「DSを使っている時にちょっとそのソフトを中断してあんなことができたらいいのに、こんなことができたらいいのに」、という話は出ても「ニンテンドーDSのスペックではそれが難しかった」というようなことに対して、システム面で、具体的に言えば「どれだけメモリを積むか」とか、「CPUをどうするか」とかいろんなことが関与するのですが、そういうことについて強化をすると、ゲームを中断して何かをするということについてもいろんな提案ができそうだというようなことがあります。
 それから、3D表示とAR(拡張現実)技術は相性がいいのですが、ARを使おうとすると、ある部分で処理性能が必要だとか、いろんな要素を考えた結果、あの性能になりました。

 バッテリーについては、恐らくどうしても今までのニンテンドーDSよりは、頻度高めに充電していただく機械になると思います。なので、クレードル、専用充電台つきで販売させていただくのですが、これは、「家に帰ったらこの上に置いてくださいね」というイメージを持っております。
 それから、本体にストレージ(NANDメモリ)が搭載されていないわけではありません。ただ、それは主にシステム用に使おうと考えています。お客様のニーズというのは、非常に多様性があります。ほとんど拡張で使わないという方から、例えばニンテンドー3DSでいろんなソフトをダウンロードされる方もいると思うのですが、そういう場合たぶん、任天堂が標準で用意するSDカードでは足らなくなると思います。足らなくなった時に、「大容量のカードに差し替えたらそれで大丈夫」としたかったので、今回はSDカードを差し替えれば、まるで本体の記憶容量が増えたように、そこにソフトが記録できて、ちゃんとそこから直接起動できるといったことを意識した設計をしています。そのこととセキュリティの維持というのが、実は背反するポイントですが、そこの完成度はしっかり上げて世に問いたいと思っています。

Q 15  これだけスペックを上げてしまうと、やはり開発費が心配だが、立体視でかなりハードウェアのパワーを使ってしまうので、開発費としてそれほど上がらないのか。従来、(ハードウェアの)世代が上がってくると開発費が上がってきたと思うが、平均でならした場合には、これまでのようには上がらないと考えていいか。
A 15

岩田:

 平均というのをどうとらえるかは非常に難しくて、これは別にDSに限らず、あらゆるプラットフォームでそうなのですが、いわゆる大作と言われて、各ソフトメーカーさんが威信をかけて開発されるようなタイトルと、ほとんど数を見込まずに、実験的に作ってみようというソフトでは、開発費のダイナミックレンジはもともと大きいわけです。ただ、ニンテンドーDSよりも、上の部分の天井が高くなっていますから、頑張ってすごいことをやろうと思えばすごいことはできますし、すごいことをやりにいけばいくほど、それだけ開発費はかさむ可能性はあります。ただ、すべてのソフトの開発費が高くなるのではなくて、ダイナミックレンジが広がると考えていただければいいと思います。

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